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イスラエルがレバノンの標的を攻撃、ジャーナリスト2名を含む8名が死亡

イスラエル国境のレバノンの村Aita Al-Shaabへのイスラエルの砲撃によって立ち上る煙。2023年11月21日火曜、レバノン南部にて(AP 写真)
イスラエル国境のレバノンの村Aita Al-Shaabへのイスラエルの砲撃によって立ち上る煙。2023年11月21日火曜、レバノン南部にて(AP 写真)
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22 Nov 2023 11:11:45 GMT9
22 Nov 2023 11:11:45 GMT9
  • ミカティ氏はイスラエルの「犯罪」を非難、ヒズボラは兵士の集まる場所への爆撃で応酬
  • レバノン南部国境における武力衝突の激化は、同地での衝突がどんな結果をもたらすか分からない全面紛争に発展する可能性を高める

ナジャ・フーサリ

ベイルート:21日にレバノン南部で、イスラエルの砲撃とドローン攻撃により、8名が死亡した。死者の中にはジャーナリスト1名と報道写真家1名が含まれている。

アル・マヤディーンTVの特派員ファラー・オマル氏、と報道写真家のラビー・アル・マーマリ氏は、イスラエルによるTayr Harfaトライアングルへの空爆で死亡した。偶然両氏と共にいた民間人のフセイン・アキール氏も命を落とした。

アル・マヤディーンは、「イスラエルによる不実な標的攻撃により命を落とした殉職者のファラー・オマル氏、とラビー・アル・マーマリ氏」の死に深い悲しみを表明した。

アル・マヤディーンのガッサン・ビン・ジッド局長は、死亡したジャーナリストらは故意に標的とされたと述べた。「直接攻撃だったのであり、偶然ではなかった」

この事件により、南部前線におけるヒズボラとイスラエル軍の交戦が始まった10月8日以降の民間人の犠牲者数は合計19人となった。

過去45日の間に、70人以上のヒズボラ構成員も死亡している。

ナジーブ・ミカティ首相は「メディアの職業人を標的とする南部でのイスラエルの攻撃」を強く非難した。

同氏はこう述べた。「この攻撃は、イスラエルの犯罪には際限がないということを証明するもので、(イスラエルの)究極の目標は同国の犯罪と攻撃を暴露するメディアを黙らせることだ」

アブダッラー・ブーハビーブ外相はベルギー外相との会談後にブリュッセルで次のように述べた。「レバノンは国連安全保障理事会に苦情を申し立てるつもりであり、我々はこの凶悪な犯罪に対する非難を要求する」

ブーハビーブ氏は、「ガザの戦火を鎮めるための協調努力がなされなければ、戦火は中東に広がることになる」という危惧の念を表明した。

ヒズボラは、アル・マヤディーンTVのジャーナリストらを狙ったことを非難して、こう述べた。「この犯罪と、以前にヤルンでメディアの車列を狙って行われたジャーナリストのイサム・アル・アブダラ氏の暗殺、そしてガザにおける数十人のジャーナリストの殺害は、敵のテロ行為の暴露においてメディアが担う重要な役割を明らかにするものだ。イスラムの抵抗運動はこの攻撃と罪なき命の損失について、罰せられないままにはしない」

ヒズボラはその後、「アル・マナラ入植地周辺の住居に配置されたイスラエルの軍事諜報部隊に、2発の精密誘導ミサイルによる攻撃を仕掛け、これにより部隊に死傷者を出した」と公表した。

レバノン南部国境における武力衝突の激化は、同地での衝突がどんな結果をもたらすか分からない全面紛争に発展する可能性を高める。

米国の国際エネルギー安全保障問題担当顧問であるエイモス・ハックスタイン氏が、戦争が北部のレバノン国境へと拡大することを防ごうとする話し合いのために20日にイスラエルへ到着予定だという発表と、時を同じくして直近の激化があったと、ある専門家はアラブニュースに語った。

「また、イスラエルとハマスが停戦合意に近付いているという発表とも重なっている。イスラエルのレバノン南部におけるエスカレーションは、ヒズボラを北部前線での戦争に引きずり込むことを目的としたものかもしれない。停戦合意にレバノン南部の前線が含まれるかどうかが不明であるからなおさらだ」と、この専門家は加えて述べた。

イスラエルは21日早朝に活動を激化させた。イスラエルの戦闘機がクファルチョウバ、Aita Al-Shaab、Al-Jebinの高地に攻撃を仕掛け、Tair Harfa、Al-Naqoura、Aita Al-Shaab、ヤルン、Rab El Thalathine、Al-Adisa、Al-Khiyam、Kafr Kilaの町々に砲撃が行われた。最も激しい攻撃の標的となったのはWazzani地区にあるレバノン軍の拠点だったが、この拠点は物的損害しか受けなかった。

イスラエルの爆撃は、Kafr Kilaの町にある家屋にも命中し、ライクア・サーハン氏(80)が死亡し、同氏の孫娘でシリア国籍のアラー・アル・カッセム氏が負傷した。この家の中にいたサーハン氏の孫数人は生き残った。

Al-Shaytiya地区では、イスラエルの爆撃により1台の車両に乗っていた4人が死亡した。死者の1人がハマスの軍事部門であるレバノンのアル・カッサム旅団のKhalil Kharaz副司令官であることを示唆する未確認の報告がある。

イスラエル軍は、「対戦車ミサイルの発射に特化したレバノン領土上の3グループ」を標的としたと発表した。

ヒズボラの軍事組織である「イスラム抵抗(Islamic Resistance)」は次のように発表した。「シオニストである敵が南部の村々を標的としたことに対抗し、イスラム抵抗はイスラエルの敵兵が駐留するメトゥラ入植地の家屋を標的として、適切な兵器を使用し、命中させた。さらに、Aita Al-ShaabのはずれのHadab Al-BustanとAl-Rahebの地点も狙い、これらの標的にも命中させることに成功した」

前述の専門家によれば、この作戦の焦点は、「イスラエルの軍事施設を狙い、効果的に監視手段を無効化し、イスラエル軍に最大限の損害を与えることで同軍の作戦を妨害する、ヒズボラの取り組みの強化」に合致するものだ。「この目標は、軍の集まる場所、特にPranet兵舎を高精度で標的としたことにより20日に達成された」という。

レバノン報道編集者組合(Lebanese Press Editors Syndicate)は、「メディアチームへの空爆における不実で直接的なイスラエルの攻撃」を非難した上で、これは「暗殺に等しい意図的な攻撃で、その直接的責任はイスラエル政府にある」と述べた。

同組合は「この虐殺」の問題を国連およびその関連組織とアラブ、アジア地域を含む世界中の報道組合に持ち込んでいる。

同組合は、「国際刑事裁判所および国際司法裁判所でイスラエルに対する正式な告訴がなされるよう」求めた。「イスラエルの犯罪の証拠は音声および動画の記録に残っている」という。

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