


ガザ/ワシントン:アントニー・ブリンケン米国務長官は、ガザ南部におけるハマスに対するイスラエルの戦争行為に関して、これまでで最も強い公的な批判を行った。彼は、イスラエル政府が宣言する民間人保護の意図と、その死傷者数との間にはギャップがあると述べた。
「南部におけるこの作戦が始まってほぼ1週間が経とうとしている今、イスラエルが民間人保護を重視することが不可欠であることに変わりはない」と、ブリンケン氏は7日、ワシントンでデイヴィッド・キャメロン英外相と会談した後の記者会見で語った。
「そして、民間人保護の意図と、現地で目にする実際の結果との間には……依然としてギャップが存在する」
イスラエルは、2カ月前に同国を攻撃した過激派組織、ハマスを一掃しなければならないとし、軍事作戦に関する警告を含め、市民を危険から遠ざけるためにあらゆる手を尽くしていると述べている。
ジョー・バイデン米大統領は木曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ヨルダンのアブドッラー2世と個別に電話会談を行った。ホワイトハウスによると、バイデン氏は「民間人を保護し、敵対行為地域から安全に移動できる通路などを通じて、民間人をハマスから引き離すことの重要性を強調した」という。
ガザ保健省によると、10月7日、イスラエルがイランの支援を受けたハマス過激派による境界を越えた襲撃に対抗してガザへの空爆を開始して以来、1万7170人以上のパレスチナ人が死亡し、4万6000人が負傷したという。イスラエルの集計によれば、ハマスの攻撃で1200人が死亡し、240人が人質に取られたという。
イスラエル軍は8日、10月20日に地上侵攻を開始して以来、ガザの戦闘で92人の兵士が死亡したと発表した。
ガザ戦闘激化で国連では停戦要求
7日、イスラエルがガザ地区の大都市でハマス武装勢力と戦う中で、さらに多くのパレスチナ人が死亡した。ガザ保健省のアシュラフ・アル・キドラ報道官によるとその数は350人だという。イスラエル軍は、ハーン・ユーニスでの戦いで、トンネルから発砲しながら現れた2人を含む複数の銃撃者を殺害したと述べている。
アラブ諸国は、ガザにおける人道的即時停戦をあらためて求めており、アラブ首長国連邦(UAE)は国連安全保障理事会に対し、8日の朝、草案決議の投票を求めた。
米国とその同盟国イスラエルは、停戦はハマスに有利になるだけだとして反対している。ブリンケン氏は8日、ワシントンでエジプトを含むアラブ諸国のトップ外交官と会談する予定だ。
草案は、「パレスチナとイスラエルの民間人は、国際人道法に従って保護されなければならない」と修正され、「すべての人質の即時かつ無条件の解放を要求」する内容になった。
決議案の採択には、少なくとも9票の賛成と、米国、ロシア、中国、フランス、英国の常任理事国5カ国による拒否権の行使がないことが条件となる。米国は現時点では、理事会のさらなる行動を支持していない。
ハマス壊滅のための戦争による民間人の犠牲をめぐってイスラエルへの圧力が高まるなか、パレスチナ自治政府は、戦争終結後のガザ運営計画について米国当局者と協力しているとブルームバーグ・ニュースが報じた。
ハマスはパレスチナ解放機構(PLO)の下で、ヨルダン川西岸地区、ガザ、東エルサレムを含む新しい独立国家の建設を支援するジュニアパートナーになることが望ましいと、同ニュースはパレスチナのムハンマド・シュタイエ首相の発言を引用して伝えた。
「もし彼ら(ハマス)が合意に至り、PLOの政治基盤を受け入れる用意があるのなら、話し合いの余地はあるだろう。パレスチナ人は分断されるべきではない」とシュタイェ氏は述べ、イスラエルがハマスの完全敗北を目指すのは非現実的だと付け加えた。
ケレム・シャローム検問所の解放
人道的援助がガザにさらに迅速に届くための進展として、イスラエルは、トラックとその貨物の検査のためにケレム・シャローム検問所を開放するという米国の要求に同意したと、米国の当局者が7日に述べた。
エジプトは国連とともに、イスラエルに検査プロセスの迅速化を働きかけてきた。現在、車両はイスラエルとの国境まで走行した後に検査を受け、その後ラファに戻る必要がある。国連によれば、11月24日から12月1日までの休戦期間中に200台近くガザに入っていたトラックは、今では1日に100台以下にまで減少したという。
ケレム・シャローム検問所はガザの南、イスラエルやエジプトとの国境に位置する。2カ月前に戦争が勃発するまでは、ガザに入るトラックの60%以上がこの検問所を通過していた。
戦闘の終わりが見えない中、ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官であるジョン・ファイナー氏は、米国はイスラエルに対し、ガザ地区のハマスに対する主要な戦闘作戦を終了させる厳格な期限を設けていないと述べた。
ガザ地区南部には、ハマス指導部の「多く、もしくは大部分」を含む「合法的な軍事目標」が残っている、とファイナー氏はワシントンで開催されたアスペン安全保障フォーラムで述べた。
一方、ハマスによって拘束されている人質は、イスラエルが赤十字社に面会の手配と健康状態の確認を求めているにもかかわらず、ガザで連絡を絶たれたままだ。
ハマスの攻撃から2カ月を迎えた今、ユダヤの祭典ハヌカの始まりは、イスラエルの多くの人々にとって厳粛な瞬間であった。
364人が犠牲となった野外音楽フェスティバルの会場から、息子アロン氏(22歳)をハマスの武装集団に誘拐された母、イディット・オヘル氏は、奇跡を願っていると語った。
「息子は、今日がハヌカであることを知らない。今日が何日で、昼か夜かも分からないのかもしれない」とオヘル氏は語った。「でも、息子はいつも私たちの心の中にいる」
ロイター