
ワシントン:カマラ・ハリス米副大統領は木曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、パレスチナ市民の犠牲を軽減するガザ停戦の実現に向けて圧力をかけ、ジョー・バイデン大統領よりも強硬な態度で会談に臨んだ。
「今こそこの戦争を終わらせる時です」と、ネタニヤフ首相と直接会談した後、ハリス氏はテレビ放映された声明文で述べた。
バイデン氏が日曜日に選挙戦から辞退し、民主党の大統領候補となる可能性が高いハリス氏は、イスラエルとハマス戦闘員との9ヶ月に及ぶ戦争により、ガザを襲っている人道的危機について言葉を濁さなかった。
「この悲惨な状況に目をつぶることは許されませんし、私は黙認するつもりはありません」と同氏は明言した。
ハリス氏の発言は鋭く深刻なトーンで、11月5日に大統領に選出された場合、ネタニヤフ首相に対してより強硬に対処するのではないかという憶測を呼んだ。しかし、アナリストたちは、中東におけるアメリカの最重要同盟国であるイスラエルに対する政策に大きな変化が起こるとは予想していない。
紛争は10月7日、ハマスの過激派がガザからイスラエル南部を奇襲攻撃し、イスラエルの集計によれば1200人が死亡、250人以上が捕虜となったことから始まった。
イスラエルによるガザへの報復攻撃により、39,000人以上が死亡し、ガザ地区沿岸の大半が破壊され、人々は家を追われ、飢饉が発生し、緊急援助物資が不足するという人道的な災難を引き起こした。
ホワイトハウスが提供した会談の議事録によると、バイデン大統領は先にネタニヤフ首相と会談し、ガザ戦争の停戦を実現するためには停戦合意の擦り合わせと、人道支援の支障になっている問題点を改善する必要があると伝えたという。
ネタニヤフ首相は金曜日、ハリス副大統領のライバル、共和党候補者であるドナルド・トランプ氏とフロリダのマー・ア・ラゴで会談する。
停戦合意は、数ヶ月前から交渉の対象になっている。米政府高官は、ハマスが女性や病人、高齢者、負傷者の人質を解放と引き換えに、6週間の停戦を行うという合意に、これまで以上に近づいていると考えている。
「会談では、この合意に向けて前向きな動きがあり、ベンヤミン・ネタニヤフ首相にもちょうど申し上げたように、今こそこの停戦合意を成立させる時なのです」とハリス氏は語った。
ハリス氏は副大統領として、イスラエルの自衛権を断固として支持するバイデン氏に同調してきたが、木曜日にはイスラエルの軍事的アプローチに我慢の限界を感じていることを明らかにした。
「イスラエルには自衛権があります。ただ、どう自衛するかが問題なのです」とハリスは語った。
今年3月に同氏は、イスラエルはガザ地区での地上侵攻において「人道上の大惨事」を軽減するために適切な対応をしていない、と率直に述べた。その後、イスラエルがガザ南部の難民でいっぱいのラファに本格的な侵攻を開始した場合の、「被害」については言及しなかった。
ガザ戦争は民主党を分裂させ、バイデン氏の行事では数ヶ月にわたる抗議運動を引き起こした。アラブ系アメリカ人の支持率が下がれば、11月5日の選挙を左右する、数少ない州のひとつである、ミシガン州での民主党の勝利に水を差すことになりかねない。
こうした懸念に配慮して、ハリス氏はアメリカ国民に対し、「この地域の複雑さ、繊細さ、歴史を理解するための取り組み」を支持するよう呼びかけた。
「停戦を求めるすべての人たち、そして平和を切望するすべての人たちへ。あなた方の存在は見えていますし、あなた方の声も届いています」と同氏は述べ「戦争を終わらせるために停戦を実現させましょう」と続けた。
バイデン氏は水曜日の大統領執務室での演説で、大統領選を辞退し、2024年の選挙でハリス氏を支持することを決めた主な理由として、トランプ氏打倒を目指す民主党の結束を挙げた。
ハリス氏は民主党の革新派と緊密な関係を保っており、その中には、ガザでパレスチナ市民の犠牲が多いことを懸念して、バイデン氏に武器輸出を制約するよう求めた者もいる。アメリカはイスラエルへの主要な武器供給国であり、国連の重要な決議からイスラエルを守ってきた。
バイデン大統領とネタニヤフ首相は、ハマスに拘束されているアメリカ人の家族と面会し、人質の解放を含む停戦への抱負を述べた。息子が捕虜となっているジョナサン・デケル=チェン氏は、「今日は、危機感をもって臨みました」と語った。
AFP