
ナジア・フサリ
ベイルート:国家経済の救済措置についてレバノン政治家たちの意見が分かれている。経済は何カ月にもわたり急落している。
支援に向けて海外から要請される改革の実行について、各党の意見が分裂している。
経済、汚職、高い失業率、基本サービスの欠如などに対して幅広い国民の抗議運動が100日近く続いたのを受け、連立政府が1月に誕生した。閣僚の多くはヒズボラやその同盟組織に属している。
対立する政党、特にサード・ハリリ前首相率いる「未来運動」党が、国内経済の急落に対処する政府のやり方に異議を唱えている。ヒズボラと「アマル運動」が、危機緩和措置のひとつとなり得るIMFの救済措置に反対しているのだ。
ラザル金融顧問会社が、レバノン経済を進展させる方法についてひとつのプランを提案した。他のいくつかの金融セクター関連措置に加え、政府が銀行預金者に株式を与える代わりに預金を差し押さえるというものだ。
しかし、レバノン共和国のイスラム教指導者であり国内スンニ派の最高宗教権威者であるシェイフ・アブドゥル・ラティフ・デリアン氏はこの案を却下した。「我々はこの国の過去の経験から学ばねばならない」と彼は述べた。「今我々がレバノンで目の当たりにしているのは、奪略された公金があるにも関わらずそれについて一切明らかにされていない一方で、人々の銀行預金を不法に奪うという経済戦争だ……国民が被害者であってはならない」。教育・高等教育大臣であるタリブ・マジゾブ氏は、レバノンは「究極の公的利益よりも個人の利益」という影響の結果として非常に厳しい試練に直面していると述べた。
論争は、内戦45周年記念を前にしてレバノン国民が家のバルコニーに立って国家を歌おうと日曜の夕方に屋内から出たときに起きた。内戦は1975年4月13日に始まって15年間続いた。
NGO組織ファラハ・アル・アターが人々に、4月13日はもう過去であり、人々はより良いレバノンのために団結すべきであるとしてバルコニーへ出るように促したのだ。
しかし、政治活動家のジアド・アブデル・サマド氏は、レバノン社会は内戦の結果について同じ見解を共有しているわけではないと述べた。「内戦世代のなかには、教訓を得て市民国家を築きたいと願う者もいれば、同じ過ちの繰り返しを主張する者もいる」と彼はアラブニュースに語った。
政界の支配層は自らの利益や利得を手放す準備ができていないと付け加え、そのやり方は内戦時代に権力に就いていた者たちとなんら変わらないと述べた。「彼らは自分たちの利得を手放そうとせず、そのやり方がそれを証明している。司法における自分たちの支配を維持したいがために彼らは司法改革を妨害した。彼らは、不正取得金問題への取り組みも電気規制当局の設置も望んでいないのだ」
内戦世代のなかには、市民国家を築きたいとする者もいれば、同じ過ちの繰り返しを主張する者もいる。
レバノン政治活動家ジアド・アブデル・サマド氏
新型コロナウイルスによる封鎖措置で人々の不要不急の外出が許されていないため、抗議活動は中断している。厳格な移動制限も敷かれている。
サマド氏は、もっと大きな圧力が必要であり、国民は新たな革命の波が起きるのを待たなければならないと述べた。「その時にはこれまでとは異なるだろう。そしてそれが暴力に発展しないことを私は願う。街の抗議活動に参加した人々は、新政府が行動と改革を起こすのを待っているのだが、権力の座に就いている人々は教訓を得ていないようだ」