
パリ:殺害されたハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏は、彼が指揮した10月7日の攻撃で拘束したイスラエル人人質に関するいかなる合意にも立ちはだかる障害と見なされていた。
彼の死によって指導者不在に陥った同グループでは、人質交渉の先行きはさらに複雑化しているようだ。
ハマスは後任を任命する必要があり、その人物が2023年10月7日の攻撃以来人質となっているイスラエル人の運命を左右する重要な役割を担うことになる。
2023年10月7日にガザ地区に連行された人質251人のうち、イスラエル軍が死亡を確認した34人を含む97人が依然として拘束されている。
人質の解放交渉はイスラエルの諜報機関が主導し、米国、エジプト、カタールの支援を受けている。
しかし、シンワル氏が去ったことで、その任務はより困難になるだろうとアナリストらは指摘する。
「人質の運命は、単純に言えば、彼らの解放を交渉する者が誰もいなくなったことで、決まったも同然だ」と、シンクタンク「大西洋評議会」の中東専門家、カリム・メズラン氏は述べた。
ニューヨークに拠点を置く「スーファン・センター」は、「米国の情報機関は、シンワル氏の姿勢がここ数週間で硬化し、米国の交渉担当者はハマスが停戦や人質交渉に興味を失っていると考えるようになった」と述べた。
そのため、「今後行われる交渉は、シンワル氏亡き後のハマスの実効能力を測るリトマス試験にもなる」とシンクタンクは付け加えた。
人質の家族たちはシンワル氏の殺害を歓迎する一方で、依然として捕らえられている人質たちについて「深い懸念」を表明した。
「人質および行方不明者の家族フォーラム」は金曜日、「イスラエル政府、世界の指導者、仲介国に対し、即時の解放合意を追求することで、軍事的成果を外交的成果に結びつけるよう求める」と述べた。
問題の一部は、ガザ戦争のきっかけとなった10月7日の攻撃を実行した当時のハマスが、もはや超階層的な組織ではなくなっていることにある。
イスラエルの攻撃により壊滅的な打撃を受け、ガザ地区がイスラエル軍によって二分されたことで、今日、この武装集団は「非常に限定的な地域で、より分散化された方法で活動している」と、シンクタンク「ジャン・ジョレス財団」の研究員デビッド・カルファ氏はAFPに語った。
ハマスは「今では、地元の軍閥を擁する民兵組織」であり、「人質を拘束していると思われる家族とつながりがある」と同氏は述べた。
「これはイスラエルとアメリカにとって真の課題となるだろう。人質問題について包括的な合意が得られる可能性は低く、おそらく少しずつ解放を目指すことになるだろう」とカルファ氏は語った。
2024年半ばまで、ハマスの組織は2つに分裂していた。一方は、カタールの首都ドーハを拠点とするイスマイル・ハニヤ氏が率いる政治部門、もう一方はガザ地区のシンワル氏が率いる準軍事部門である。
シンワル氏は、ハニヤ氏が7月に暗殺された後、ハマスの全体的な指導者となった。
ハルファ氏は、「資金源、後方支援、民兵の訓練が集中している」政治局に、両者の力のバランスが傾いていると述べた。
亡命中の指導者を選べば、ハマスはパレスチナ自治区の地上部隊から新指導者が疎外されるリスクを冒すことになる。
しかし、シンワル氏の兄弟であるモハメド氏のような戦闘員を任命すれば、ハマスは戦争の政治的解決への関心が低いことを示唆することになる。
人質交渉は今、未知の領域に入っている。
「これまでの交渉努力はすべて、シンワルが人質の大半とつながりがあり、彼らの行動を左右できるという考えに基づいていた」と、米国のシンクタンクCSISのジョン・アルターマン氏は述べた。
「状況は今、はるかに混沌としており、さまざまな結果が予想される」と同氏は述べた。
人質が処刑される可能性さえ懸念されている。おそらくは、シンワル殺害の報復として、あるいは武装勢力が人質を現金に換えることができなくなったためだ。
「彼らの世話をしようという死を覚悟する者はグループ内に誰もいないため、人質は自分たちのやり方で脱出できる可能性がある」とメズラン氏は言う。
「また、ハマスの中堅工作員が、イスラエル軍による報復から身を守るために人質を排除する誘惑に駆られるのではないかという懸念もある」
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相への圧力は非常に大きいものとなっているが、同政府は人質解放を何としても実現させるという姿勢は見せていない。
2011年にイスラエル兵ギラード・シャリート氏が5年間にわたってハマスに人質として捕らえられていたことを受け、1,000人以上のパレスチナ人囚人が釈放されたことは記憶に新しい。
釈放されたパレスチナ人の中にはシンワル氏自身も含まれていた。
「彼らはシャリト事件の二の舞は避けたいのだ。シャリト事件は大きな代償を払った過ちだった」とハルファ氏は語った。
AFP