カルドン・アズハリ

東京：モルディブの外務大臣であるアブドラ・シャヒド閣下は、政治家として多くのキャリアを積んできたが、おそらく次の任務は最も重要であろう。第76回国連総会の議長に選ばれたシャヒド氏は、世界外交の見識を持って各国を歴訪し、新しい職務への準備をしている。 

ムスリム国家の代表としてシャヒド氏は、他のムスリム友好国家、特にアラブ世界が、とりわけアフガニスタンで起きていることに関して重要な役割を果たすことを理解している。

「国際社会はアフガニスタンの人々と共にある」とシャヒド氏は語る。同氏は「私たちはアフガニスタン国民の意向に沿ったアフガニスタンによるプロセスを支持している。いかなる暴力行為も中止を求め、平和的な行動と人権尊重を要求する」と述べた。

シャヒド氏は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦（UAE）をはじめとするアラブやムスリムの強国が、アフガニスタン等の地域問題で重要な役割を果たすことを認識している。

「定期的にサウジアラビアやUAEの外相と話をしている」とシャヒド氏は話す。「実はつい先週、サウジの外相であるファイサル・ビン・ファルハン閣下と、今年9月中旬に引き継ぐ議長職や二国間の問題について意見交換した。私たちは政府のみならず、各民族間の関係も非常に良好で、一層の経済的なつながりが形成されている。二国間に多くの良いことが起きていると思う。モルディブはサウジアラビアやUAEと良好な関係を維持している」

シャヒド氏は現在日本を訪問しており、菅義偉首相、茂木敏充外相と会談する予定だ。

日本はモルディブ同様、インド・太平洋地域の中心的な役割を果たしている。

「インド洋の地図を見ると、モルディブがインド洋の中心にあることがわかると思う」とシャヒド氏は話す。「東西の主要なシーレーンはモルディブを通る。モルディブが重要な場所にあることを認識しており、これを責任として受け入れる。私たちは平和や安全保障、その後の発展を確保するため、インド洋諸国や地域と調整を図る。モルディブとインド洋の島国のためには平和で繁栄した海が必要だ」

インド洋の小さな国であるモルディブは世界の他の国々と同様、新型コロナウイルス感染症に苦しんでいるが、観光依存度が高いために経済的打撃が大きい。

「2020年3月末に国境を閉鎖せざるを得なかったが、観光依存度が高いために一晩で低所得国になった」とシャヒド氏は述べた。「訪れる人がいなくなって最初に犠牲となったのは経済だった。初のコロナ感染者が見つかる前からだ。乏しい資源を医療の改善や必需品に転用しなければならず、開発プロジェクトがストップした」

シャヒド氏はG7やG20諸国、サウジアラビア、UAE、インド等の友好国からの経済支援に感謝を表した。

モルディブは観光事業を再開するために厳しい措置を取った。「モルディブには多くの島があり、ホテルはそれぞれ別の島にある。空港では非常に厳しい手続きを行い、空港から島まで観光客を直接連れて行くことができる。その結果、観光に安全な環境が整った。私たちは再び回復に向かっている。ワクチン接種率は非常に高く、人口の約83%が1回目の接種を終えている」

モルディブは健康や経済の問題のほかにも、海面上昇による環境問題にも脅かされている。

シャヒド氏は「国連の『気候変動に関する政府間パネル（IPCC）』の報告書は、モルディブのような小さな開発途上の島国がすでに直面している問題を強調している」と述べた。

「私たちは報告書の勧告に基づいて行動を起こす必要がある。経済システムをより持続可能にし、回復への努力を考慮し、教訓を学ぶことで、持続可能性を再建できる。これ以上、見て見ぬふりはできない」