
ベイルート:土曜日、多くの人々が抗議のためベイルートの街に詰めかけ、経済崩壊が起きていることを非難した。その中でイランが支援するシーア派のグループ、ヒズボラの支持者と反対者の間で衝突が起こった。
抗議活動の拠点であるベイルート中心部の殉教者広場内や周辺に数百人が詰めかけ、催涙ガスを発射するなど、治安部隊との間に衝突があった。
レバノン赤十字社によると、暴力で48人が負傷し、内11人が入院し残りは現場で手当てを受けたという。
当局が新型コロナウイルスの拡大対策のため3月中旬から行ってきた外出規制を緩和して以降、全国からデモ参加者を集めた最初の大規模な反政府集会となった。
「私たちは自身の権利を要求するためにここに来ました。医療、教育、雇用、また人間が生きていくための基本的な権利を求めます」と、21歳の学生であるクリスティーナさんは語った。
抗議を行なった多くの人々はパンデミック対策のために課された衛生活動の一環としてマスクを着用していた。このパンデミックで経済危機が深刻に悪化し、負債に苦しむレバノンの1975年から1990年までの内戦以来、最悪の事態となった。
しかし土曜日の抗議活動は、ヒズボラの支持者が武装解除を求めるデモ参加者らと衝突し、一転して暴力的なものとなった。
ヒズボラはレバノン内戦終結後、武器を保持し続けている唯一のグループであり、レバノンを政治的に深く分断している。
「武器を持っていいのは軍隊だけです」と、南レバノンの街、ナバティーエからデモに参加するため訪れた57歳の女性、サナさんは語った。ナバティーエはヒズボラの本拠地である。
ヒズボラ支持者と反対者が互いに石を投げ合い、その後兵士が間に整列し両陣営を引き離したと、AFPの写真家は語った。
政府や国会にも参加しているヒズボラの支持者は「シーア、シーア」と唱えた。
この土曜日の夕方、サード・ハリーリー元首相の本拠地のスンニ派の住民と、その近くのアマル党の本拠地のシーア派の住民との間で銃撃戦が起こったと、治安当局筋が語った。
国営通信のANIによると、秩序の回復のため兵士らの出動があったとのことである。
また北レバノンのトリポリでも多くの衝突があったと、現地のAFPの記者が報じた。
数名のデモ参加者が治安部隊に石を投げ、店を荒らし回った後、殉教者広場の裏手にある国会議事堂へと通じる通りの近くで治安部隊が催涙ガスを発射した。
中にはゴミ箱に火をつけた者もおり、機動隊がこの抗議者らに向かい進んでいった。
レバノンは近年、政治的危機に見舞われ続けており、10月には経済危機により宗派を超えた前例のない大規模な抗議活動が起こった。
デモ活動により政府は辞任を余儀なくされ、2月にハッサン・ディアブ首相率いる新政権が国会に承認され改革を開始し、汚職撲滅に取り組んでいる。
しかし多くのレバノン人は、新政権は深刻な不況やインフレの拡大など、国内の様々な問題に対し解決策を見出せていないと語る。
ここ数ヶ月、闇市場での現地通貨の価値は半分以下となっており、公式レートの1ドル=1,507レバノン・ポンドから、1ドル=4,000レバノン・ポンド以上に下落している。銀行は全てのドルの出金を徐々に禁止している。
土曜日にデモ参加者らが掲げた看板には、「腐敗を守るのではなく、排除する政府に」との要望が書かれていた。
公式の見積もりによるとレバノンの人口の35%以上が失業しており、貧困に苦しむ人は45%以上に急上昇しているという。
レバノンはまた、世界で最も負債を抱えた国の1つであり、その額はレバノンのGDPの170%に相当する。またレバノンは3月に初めて対外債務不履行に陥った。
ディアブ首相の政権は4月に経済再生計画を採択し、数十億ドルの援助を求めて国際通貨基金(IMF)との交渉を開始した。
AFP