Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 日本
  • 科博の「資金難」背景は?=クラファン5億円突破―「交付金見直しを」と識者

科博の「資金難」背景は?=クラファン5億円突破―「交付金見直しを」と識者

7日に始めたCFで掲げた目標は約3カ月間で1億円。(AFP)
7日に始めたCFで掲げた目標は約3カ月間で1億円。(AFP)
Short Url:
13 Aug 2023 12:08:47 GMT9
13 Aug 2023 12:08:47 GMT9

コロナ禍や光熱費高騰などで運営資金が危機的な状況にあるとして、国立科学博物館(科博)が支援を呼び掛けたクラウドファンディング(CF)の寄付額が、わずか3日間で5億円を突破した。「想像を超えるスピード」に担当者はうれしい悲鳴を上げる一方、識者は「国が交付金を長期的に減らしてきた結果で、見直しが必要だ」と指摘する。

7日に始めたCFで掲げた目標は約3カ月間で1億円。「難しいだろうと思っていた」(科博担当者)が、初日夕方に達成した。支援者はその後も増え続けて12日時点で3万7000人を超え、額も6億円に達した。CFサイトを運営する「READYFOR」によると、国内史上最多人数を更新したといい、「国立の博物館が逼迫(ひっぱく)している状況が衝撃的だった上、『物価高騰』という一般の人の実感に沿った話題だった」と分析する。

では、なぜ「資金難」に陥ったのか。科博によると、2001年度の独立行政法人化以降、国からの運営費交付金は徐々に減少し、経費節減も求められている。現在は運営資金の8割を交付金、2割を自己収入で賄っており、「入館者数を増やすよう努め、研究費を5%削るなどの自助努力も重ねてきた」という。

それでも、500万点以上の標本や資料のほとんどを保管する茨城県つくば市の収蔵庫では、温度や湿度管理で空調を動かし続ける必要がある。年間数万点ずつ増えており、標本登録に携わる人件費もかさむ。その結果、廊下に山積みとなっている資料や、新たな受け入れを断るものもある。

そこにコロナ禍による入館者数減や光熱費の高騰が追い打ちをかけた。19年度に7億円超だった入館料収入は、20年度は約1億5000万円に激減。一方、今年度の光熱費は約3億8000万円と、2年前の倍以上に膨らむと見込んでいる。

サイエンス作家の竹内薫さん(63)は、科博をはじめとした文化芸術や科学分野への交付金がこの20年ほど減らされてきたと指摘。「マイナスの影響が大きく、『自助努力でお金を稼いで』という政策は文化活動にはそぐわなかった。検証するとともに、寄付の税制上のメリットを増やすことも重要だ」と語った。

時事通信

特に人気
オススメ

return to top