
ベイルート:フランス政府は水曜日、レバノンの政治指導者たちがエマニュエル・マクロン大統領との約束にしたがって新政府を組織できなかったことを遺憾に思うが、まだそうするのに遅すぎはしない、と述べた。
大統領府の声明は、危機対策内閣を組閣する15日間という期限に、レバノンの政治家たちが間に合わなかったことを受けて出された。どの党派が財務大臣の要職につくかをめぐり、水曜日になっても多数の事項が行き詰まった状態にある。
この期限は、エマニュエル・マクロン大統領によるフランスのイニシアティブの一環として設定された。大統領は、壊滅的な経済・財政危機から国を救い出すための緊急改革の立法化に取り組むことのできる専門家からなる内閣を組閣することを、レバノンの指導者たちに要求してきた。
この危機は、8月4日のベイルート港での爆発事件によってさらに悪化した。この爆発は、何千トンもの硝酸アンモニウムの爆発によってひきおこされ、200人近くの死者と何千人もの負傷者を出し、損害額は何十億ドルにも値する。
「まだ遅すぎることはありません。だれもが自分の責任を引き受け、ムスタファ・アディブが深刻な状況を反映した政府を樹立することを認め、最終的にはレバノンの利益のためだけに行動しなくてはなりません」と、フランス政府の声明はレバノンの首相指名者に言及して述べている。
フランス大統領は、改革のロードマップと予定表を含む彼のイニシアティブを、「この体制の最後のチャンス」だと述べた。
レバノンの政治家たちは、最初はこの計画の実行を約束し、新首相を指名し、彼は2週間以内に組閣すると約束したものの、このイニシアティブそのものや、党派間の通常の協議や駆け引きなしで政府を形成する方法をめぐって分裂し、期限を守ることができなかった。
アディブはフランスの支援を受け、党派に忠実な者たちを除外して専門家政府を樹立しようと尽力してきたが、ここ数日間、とくにアメリカ政府が、2人の元閣僚とシーア派の有力者である国民議会議長ナビーフ・ビッリーの主席補佐を含むヒズボラの協力者に対し制裁を科した後、困難に直面している。
ヒズボラと連合するシーア派のアマル運動を率いるビッリーは、過去10年間ビッリーとヒズボラに近いシーア派の人物によって占められてきた財務大臣職を維持することを主張している。彼はまた、アディブが彼らの意見を求めなかったと怒っているようで、内閣組閣がなされた方法にも反対してきた。
レバノンの2つの主要なシーア派グループに反対された政府が、議会で信任案を可決することは難しいだろう。
レバノンの宗派別政治権力分散制度にしたがいスンナ派で、マクロンの支援を受けた元外交官のアディブは、サード・ハリリ元首相の支持を受け、内閣を組閣するよう8月31日に指名された。現地の報道によると、もし24時間以内に状況が打開されなければ、彼は辞任する意向だという。
ハリリは、財務大臣や他の大臣職は「どの宗派の独占的な特権でもない」し、ある宗派が大臣職の維持を主張することによって「レバノンとレバノン人民を救う最後のチャンス」が損なわれてしまうと、ツイートした。
マクロンは、経済危機と先月のベイルート港での大規模爆発事件のなかで指導者層に変化を強いるため、1ヶ月弱の間にレバノンを2回訪問した。
AP