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トルコ系キプロス人、エルドアン大統領の推す候補を選出 地中海東部で緊張が高まるなか

トルコ支配のキプロス北部ニコシアで選挙勝利を祝うトルコ系キプロス人の政治家エルシン・タタール氏。2020年10月18日撮影。(ロイター)
トルコ支配のキプロス北部ニコシアで選挙勝利を祝うトルコ系キプロス人の政治家エルシン・タタール氏。2020年10月18日撮影。(ロイター)
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20 Oct 2020 08:10:16 GMT9
20 Oct 2020 08:10:16 GMT9
  • 欧州連合(EU)は、紛争海域におけるトルコの炭化水素掘削活動を非難し、トルコ政府に対しさらなる「挑発」は行わないよう警告した
  • タタール氏は2国家併存を提唱し、自称「北キプロス・トルコ共和国」の首相を務めていた

ニコシア:キプロス共和国政府から分離している北キプロスのトルコ系キプロス人は、地中海東部で緊張が高まる中の日曜日、決選投票で、トルコ政府から支持された右派の民族主義者エルシン・タタール氏を接戦の結果選出した。

タタール氏(60)は、大統領選挙の第2回投票の公式結果で投票率51.7%を獲得し、予想外の勝利を収めた。

タタール氏は北キプロス・トルコ共和国の現職ムスタファ・アクンジュ大統領(72)を辛勝で破った。アクンジュ氏は、分断されたキプロス島においてギリシャ系キプロス人の住む南部との統一を支持している。この結果により、長年行き詰まっていた国連仲介の和平協議再開の試みは宙に浮く形となる。

タタール氏は2国家共存を提唱しており、トルコ政府のみが認めた自称「北キプロス・トルコ共和国(TRNC)」の首相を務めていた。

今回の選挙戦では、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領の支持を公然と受けたことで物議を醸していた。

トルコ国旗を振り歓喜する数百人の支持者に向けた勝利演説で、タタール氏はエルドアン大統領に謝意を示し、「われわれは国家主権に値する。われわれはトルコ系キプロス人の声である」と述べた。

「われわれは北キプロス・トルコ共和国内で生存するために闘っている。したがって南の隣人や国際社会はわれわれの自由のための闘いを尊重すべきだ」

欧州連合(EU)加盟国である島南部のギリシャ系キプロス共和国政府や与党からの公式な反応はなかったが、野党は直ちに選挙結果への失望感を示した。

67%と高い投票率を示した選挙で勝利が決定してすぐに、エルドアン大統領は勝利を祝福した。

「大統領に選出されたエルシン・タタール氏を祝福する… トルコは北キプロス・トルコ国民の権利を守るためにあらゆる種類の努力を行い続ける」とエルドアン大統領はツイッターで述べた。

同日の夜に行われた電話会談で、エルドアン大統領は、両国の指導者が「地中海東部の炭化水素関連活動を始めとする」あらゆる分野において緊密な協力を維持できると確信すると述べた。大統領府が伝えた。

エルドアン政権のもとで地域大国として自己主張を次第に強めていったトルコは、現在、地中海東部海域の石油・ガス埋蔵量を巡りギリシャやキプロスを相手に辛辣な対立を繰り広げている。

EUは、紛争海域におけるトルコの炭化水素掘削活動を非難し、トルコ政府に対しさらなる「挑発」は行わないよう警告しているが、そうしたなかでここ数か月、複数の国が同海域で軍事訓練を行っている。

第2回投票は、10月11日の選挙で得票率32%を獲得したタタール氏が得票率30%弱を獲得したアクンジュ氏を抑えて勝利したのを受けて行われた。

アクンジュ氏は、10月11日に投票率で3位になった社会民主主義者の同士トゥファン・エルヒュルマン氏の支持を得た後、2期目当選を予想されていた。

トルコ政府が世論調査に干渉していると非難していたアクンジュ氏は、敗北後、支持者に謝意を示すとともに、「何が起こったかは明らかだ… この件で政治を行うつもりはない」と述べた。

人口約30万人のTRNCは、キプロスのギリシャ併合を目的としたクーデターの反動として1974年にトルコが北部を占領した後で創立された。

この10月初めには、トルコ軍が柵で囲まれた海辺のゴーストタウンであるヴァローシャへの一般立ち入りを同軍の北部侵攻以来初めて再開すると決定し、キプロス共和国を怒らせていた。

再開は、第1回投票の数日前にアンカラで開かれた会議において、エルドアン大統領とタタール首相の共同声明として発表された。

この発表を受け、EUと国連は批判の意を示し、キプロス共和国では抗議デモが起こった。キプロス共和国は、国連が巡視する緩衝地帯によってTRNCと分離されたキプロス南部でその権限を行使している。

日曜日の投票の前夜には、「キプロスはギリシャだ」というプラカードを掲げたギリシャ系キプロス人のデモ隊が通称「グリーンライン」沿いの検問所に集まり、検問所近くのヴァローシャの再開に関し、北キプロス・トルコ共和国に抗議の意を示した。

トルコは、地中海東部におけるトルコ人とトルコ系キプロス人の権利を保護するという意図をこれまでにも繰り返し表明してきた。

アクンジュ氏はトルコ政府とは緊張関係にあったが、特にこの2月にトルコによる北の併合の見通しについてアクンジュ氏が「恐ろしいことだ」と表明した後は、その関係は悪化した。

アクンジュ氏が2015年に就任した際には、和平交渉の再開に最適な指導者として歓迎された。

だが、2017年7月のスイスでの国連仲介による交渉決裂後、その希望は打ち砕かれた。特に、TRNCに駐留している数万人のトルコ兵の撤退を求めるギリシャ系キプロス共和国の要求を巡って、隔たりが埋まらなかった。

AFP

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