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シーア派最高位聖職者アル・シスタニ師の弟子たちが、信奉者たちに反イラク政府デモに参加するよう促す

2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
2019年10月31日、イラクのバグダッドで抗議活動が続く中、タハリール広場に集まる反政府デモ隊。(写真提供:AP通信 / ハリド・モハメッド)
01 Nov 2019 08:11:12 GMT9
  • 大統領演説で複数の要求に応じる旨が発表されたが、デモが止む気配はなし

スアダード・アル・サーリー

バグダッド:ナジャフ市在住の最高シーア派聖職者が信奉者たちに対し、反政府デモ参加者を支援し守るためバグダッドのデモに参加するよう間接的に促した。イラクのアデル・アブドルマフディ首相が再び抗議活動を武力鎮圧する計画だとの情報が広がる最中に話が決まった、と治安当局者やナジャフの最高宗教指導者の高弟たちが10月31日にアラブニュースの取材を受け語った。

10月初旬に始まった大規模反政府デモは10月31日も続いた。バーラム・サレハ大統領が騒乱を静めようと演説し、デモ参加者の要求の多くに応じると約束したにもかかわらずだ。大統領の約束にはアブドルマフディ首相の解任、公職選挙法の改正、政治家の不正を撲滅するといった内容が含まれていた。大統領はさらに、諸政治勢力の指導者たちと数週間にわたり集中協議を行い、すべての当事者にとって満足のいく解決策を探っている。

しかしサレハ大統領の演説を聞いても、イラク人のほとんどは不信感を抱いただけだった。その上、大統領は単にデモ参加者が糾弾している政治家と距離を置こうとしているだけという非難の声が上がった。

アブドルマフディ首相が数十万件の新規雇用を生み出し、貧困家庭に毎月手当を支給し、汚職と闘うと述べ、イラク人の怒りを抑え事態を収拾しようとしたが失敗に終わった。毎日数十万人単位のイラク人がバグダッドや南部各州の表通りに集結しているからだ。

デモ隊はバグダッド中心部のタハリール広場と周辺にある高層の建物を占拠し、10月25日以降治安部隊の侵入を阻んでいる。デモ隊は大きなテントを複数設置して食料・応急手当・眠る場所を用意し、交代で見張りについている。

11階建てのトルコ料理店が入居するビルが、広場を囲むデモ隊が占拠した建物の中で最も戦略的に重要な場所だ。このビルは、ほとんどの政府官庁と各国大使館が集まる「グリーンゾーン」街へとつながるアルジュムホリヤ橋の入り口付近にあり、広場全域を見渡せるためデモ隊が治安部隊の動きを監視するには有利な場所だ。

複数の治安部隊幹部によると、10月29日召集の「危機対応部隊」の直近の会議の席上で、アブドルマフディ首相はトルコ料理店の入居するビル・タハリール広場・周辺地域をデモ隊から奪い返すため、国防大臣に空爆を命じたという。国防大臣はこの要求を拒否した。

「アブドルマフディ首相は、いかなる犠牲を払ってもトルコ料理店をデモ隊から取り戻そうと提案しました」と、会議参加者の1人が述べた。「建物の中には数百人のデモ参加者がおり、外には数千人います。仮に武力を行使したらどんな犠牲が出るか想像できますか?血まみれになるでしょうね」

イラクの有力政治家や治安当局者によると、アブドルマフディ首相はイラン革命防衛隊・ゴドス軍の指揮官、カシム・ソレイマニ少将と、そのイラク側協力民兵組織の力を借り、10月初めにデモ隊を弾圧したという。結果として「前例のない」数の犠牲者が出た。さらに、首相は10月30日にイランの最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ師から電話で、イラクとレバノンの反政府デモを鎮圧するよう言われたため、再び武力弾圧を計画しているという。

「ソレイマニ少将は10月30日夜にイラクに到着しました」と危機対応部隊の実情に詳しい軍高官は語った。「間違いなく、首相は前回と同様(抗議デモ弾圧の)指揮をとります。協力部隊に指示を出して、自分は表に出ないのです」

シーア派の世界的指導者でありイラクで最も影響力の強い人物、大アヤトラ・アリー・シスタニ師の弟子たちや関係施設の職員たちは自らが受けた指示を、信奉者・政治勢力・イランが支援する武装組織に広め始めた。メディアに対し短い声明を発表し、「マルジャア(シスタニ師の宗教上の称号)からの呼びかけに応じ」、シスタニ氏の弟子たちや人民動員委員会(PMC)の後方支援機関と協力し、イランの支援を受けた武装組織のほとんどを含む包括的政治組織と「マルジャアを支持する者たち」が11月1日にバグダッドで大規模反政府デモに参加すると述べた。シスタニ師の肖像画とPMCのスローガンを掲げた旗を掲げたSUVとピックアップ数十台が、数時間後にバグダッドの通りを巡回し始めた。

その日の内に、シスタニ師の事務所は声明を発表した。シスタニ師は、改革を求めるデモ隊の要求を支持し、平和裏にデモをする権利を擁護するが、いかなる政治勢力に対しても自分の肖像画を使用し自分の代わりとしてメッセージを発することは許可しないというものだった。

 シスタニ師に近い筋がアラブニュースに語ったところによると、ナジャフ在住の聖職者たちは間接的に介入しようと決意したという。その理由は、聖職者たちが抗議デモに対して最近ハネメイ師が出した声明を聞いて動揺しており、さらにはアブドルマハディ首相がデモ隊に死者が出るのをいとわず武力で鎮圧する意向との情報を得たからだ。

「イラクの若者たちがイラン政府の手先となり死ぬのは理不尽です」と情報筋の1人は語った。「今回のデモはイラクの腐敗した政治階級を根絶する唯一の方法であるため、継続しなければなりません。デモにより政府は首が回らなくなっているので、何が何でも終わらせたいと思っています。アブドルマフディとイラン人が一線を超えるのを、我々は認めるわけにはいきません」

バグダッドとシーア派が多数を占める南部の7つの州で、腐敗・高い失業率・公共サービスが安定的に供給できていないことに抗議するデモが10月初旬に始まった。アブドルマフディ首相とその仲間は、デモ隊を容赦なく弾圧するよう命じ、少なくとも147名が死亡し、7,000名以上が負傷した。これにより、デモは2週間中断した。

しかし、国内外から圧力がかかり治安部隊がデモ隊に対し実弾を使用しないと誓ったため、1週間前に再びデモ隊が通りに集結した。それでも、先週はさらに100名が死亡し5,500名が負傷した。政党や武装組織が入居する建物で衝突が起こり催涙ガス弾や銃が使用されたためだ。その際建物が襲撃され放火されたと、治安当局及び医療関係筋はいう。

抗議活動が再開すると、アブドルマフディ政権の退陣、公職選挙法の改正、独立高等選挙管理委員会に新しい委員を任命すること、早期の解散総選挙実施などデモ隊の要求が増えた。

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