
アラブニュース
ベイルート:10月22日、レバノンの次期首相としてサード・ハリーリー氏を指名するという決定に、うんざりしたレバノン人は怒り、愚弄、冷笑の目を向けた。
同国のガバナンスに抜本的な改革を求める広範な抗議行動が数カ月間続いたにもかかわらず、ハリーリー氏は4期目の首相に就任する。
政府関係者たちの腐敗が原因だとされたベイルートでの8月の大爆発は、レバノンを支配するエリート階級への怒りを増大させた。政治を司るエリート階級は、宗派による世襲的組織の寄せ集めとなっている。
しかし、爆発の影響で元首相が辞任した後、数週間続いた新政権を探し出そうとする論争は、レバノンの多くの国民が期待してきた大転換を生み出さなかったようだ。
ヒズボラとつながるナビーフ・ベッリ国民議会議長と、85歳のミシェル・アウン大統領の隣で険しい表情で座るスンニ派未来運動の党首、ハリーリー氏の写真を目にしても、切迫した経済的メルトダウンの下で苦しむレバノン国民にほとんど希望を与えなかった。
「ハリーリー氏の首相復帰は、8月4日の犠牲者全員にとって大変な侮辱です」と、フリーランスのジャーナリスト、ファティマ・アル・マフムードは、ほぼ200人が死亡した爆発に言及して、Twitterに書いていた。
「彼らの血は無駄に流れただけで、これを血であがなう者は誰もいません」
ハリーリー氏の首相復帰はレバノンにおいて「失望と悲嘆」以外の何ものでもない、とベイルートを拠点とする映画プロデューサー、ミリアム・サシーン氏が述べていた。
「10月の反政府デモとサード・ハリーリー氏首相辞任の1年後、サード・ハリーリー氏は首相であり、救世主として戻って来る」と、サシーン氏は述べていた。唯一変わったことといえば、腐敗した政権側が以前より力を付ける一方で、私たちが略奪され、侵害され、殺害されたことです」
国連のレバノン特別コーディネーター、ヤーン・クビシュ氏でさえ、この動きに失望を表明した。
ハリーリー氏を首相復帰させる決定は、レバノンの従来型政治勢力によって下され、「以前彼らがした多数の失策や、今後への深い疑念などお構いなしだ」と、クビシュ氏は述べた。
「指名された首相、ハリーリー氏が権限を与えられた行動志向型の政権を迅速につくり、周知の改革を実行し始める手助けをするのは、彼らの役目なのです。外国による選挙や外部の援助資金供与者といった奇跡を当てにしないでください。救済はレバノン国内で、レバノン自体から始まらなければならないのです」と、クビシュ氏は述べた。
こうした怒りが生じている中で、多くの人々がソーシャルメディアに向かい、ハリーリー氏をからかい、冷笑も生じていた。
「ハリーリー氏は全面的に、あなたを裏切って浮気をしてから、もう1度復縁求める元恋人のようです」と、あるTwitterのユーザーは書いていた。
本日発表されたハリーリー氏、アウン大統領、ベッリ国民議会議長の公式写真で、同氏の以前首相に指名されたときに使用された画像と比較して、「間違い探し」のゲームに講じる者たちもいた。
国中で経済的状況に抗議する反政府デモや、政治体制の全面的見直し要求が国中で激しさを増したほぼ1年後、ハリーリー氏(50歳)は首相を辞任した。
ハリーリー氏に代わって首相に就任したディアブ氏は、あの爆発の数日後、何もできないまま辞任した。
レバノンの指導者たちがプレッシャーを受けているのは、国内からだけではない。フランスのエマニュエル・マクロン大統領はレバノンが経済的破綻に陥るのを止めるために、必ず新政権が改革を実行に移すように一連の条件を設定した。
ハリーリー氏は過半数の議員から支持を確保した後、首相に再任された。
フランスのイニシティブロードマップに盛り込まれた経済・財政・行政改革を断行する使命を受けて、無党派の専門家たちで構成される内閣を組閣するつもりだ、と同氏は述べた。