
Najia Houssari
ベイルート:レバノンの外相は、ドロシー・シア駐レバノン米国大使に対し、ゲブラン・バシル氏への制裁につながった情報と文書を提供するよう求めた。
レバノンの暫定政権で大臣に就任したシャーベル・ウェフベ氏は月曜日、シア氏と会談し、二国間関係と自由愛国運動(FPM)の党首に課せられた制裁について話し合った。
レバノン外務省によると、今回の会談は「在レバノンの外交官とレバノン外相による会談の枠組みの中で」行われた。つまり、シア氏は呼び出されたわけではないという。
米財務省は11月6日、人権侵害や汚職を対象とした米国の法律「マグニツキー法」に基づいてバシル氏に制裁を課した。バシル氏は同法で処罰されるレバノン初の当局者となった。
マグニツキー法による制裁の対象となった個人は、不動産や金融資産の差し押さえ、関連する企業・団体・個人に対する調査、米国への入国禁止などに直面する。
レバノンのミシェル・アウン大統領は、義理の息子に対する制裁を受けて、ウェフベ氏に対し、「米国財務省がバシル氏を告発し制裁を課す原因となった証拠や文書を入手するために必要な交渉を行い、これらの告発に関する情報があれば、レバノンの司法機関が必要な法的措置を取るためにこれらの文書を司法機関に引き渡す」ように要請した。
スティーブン・ムニューシン米財務長官は「バシル氏の例のようなレバノンの政治システムにおける構造的な腐敗は、レバノン国民に奉仕する効果的な政府の基盤を蝕んできた。レバノン国民の代表となるはずの政界の黒幕たちが国民を犠牲にして自分たちの利益を求めたため、レバノンは長い間、汚職と経済運営の失敗に苦しんできた」と述べた。
レバノン外務省は月曜日、シア氏が、海洋境界線の決定をめぐる交渉の問題、避難民の自国への帰還の問題、米国の現政権から新政権への移行段階の問題に加え、米国政権が元議員や閣僚、議員連合の代表を含む一部のレバノン人に対して講じた措置に加え、いくつかの分野でレバノンを支援することを確約したと発表した。
ハッサン・ディアブ首相の政権で外務大臣を務めていたナシフ・ヒッティ氏は以前、ヒズボラを「テロリスト集団」と表現する声明を発表したシア氏を外務省に呼び出したことがある。シア大使の発言を受けて、レバノンの裁判官がメディアに対し、シア氏の声明の報道を禁止し、シア氏と会うことを禁じたため物議を醸した。
シア氏は3日前、国際戦略研究所とのインタビューで、米国は「ヒズボラへの圧力政策を継続する」と述べ、「ゲブラン・バシル氏とヒズボラとの関係は、ヒズボラがバシル氏の汚職を見過ごすのと引き換えに、同氏がヒズボラの武器を隠すという関係だ」と付け加えた。
シア氏は次のように話す。「米国政府はレバノンの汚職撲滅に協力する立場を強く主張しており、この分野で一歩一歩前進し、今日以降、見過ごされるものは何もないだろう」
「米政権はレバノンから離れて支援をやめた湾岸諸国のような行動はまだ取っていない。そして、米国はハッサン・ディアブ政権を支持しなかった。それはディアブ政権を作ったのがヒズボラだからだ。代わりに米国は、レバノンの人々の側に立った」「我々は次の政権がどのような政権かを監視し、米国の立場を決める」
厳しい経済危機を踏まえ、サード・ハリリ氏が率いる救援政府の結成は、FPMや他のヒズボラの友党からの政治的障害に直面している。
議会連合「Democratic Gathering」のビラル・アブドラ議員はアラブニュースに対して次のように話した。「米国側はレバノンでのいかなる救援作戦にも熱心ではなく、フランスのイニシアチブに対しても冷淡な対応をしている。フランスのパトリック・ドレル レバノン特使の訪問が失敗に終わり、レバノンは孤立したままになるようだ。アメリカ人は、レバノンに圧力をかけるべき時が来たと考えている」
「一方、ヒズボラとその友党は、時間通りに動こうとしている。その中で、我々は完全崩壊まであと一歩のところまで来ている。国家が国庫の最後のお金を使い果たし、国民も貯金を使い果たしているため、非常に厳しい事態となっている」
「シリアの政権が進歩社会党のワリード・ジュンブラート党首とレバノン軍団のサミール・ジャアジャア党首をテロリストに分類した時、バシル氏に対する制裁に反対する人たちはどこにいたのか。彼らはその時沈黙していたが、今日ではバシル氏への制裁に声を大きくして反対している。人々は政治指導者がどうなるかには関心がない。政府が樹立されなければ国は奈落の底に向かう。これは茶番だ」