
Ephrem Kossaify
ニューヨーク市:COVID-19は劇場を暗闇に陥れ、アートギャラリーのシャッターを下ろし、無数のコンサート、展覧会、本のサイン会を中止に追い込んだ。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、公演の中止だけで、世界の著作者は印税の約30%を失い、世界の映画産業は70億ドルの収入減を報告している。
コロナウイルスのパンデミックにより文化的な生活が破壊されたことで、創造産業の慢性的な不安定さが明るみに出た。多くのアーティストは以前から生活費を稼ぐのに苦労しており、不安定な契約の下、パートタイムで働いていることも少なくなかった。一部のアーティストにとっては、感染の流行を食い止めるために導入されたロックダウン措置がとどめとなった。
しかし同時に、COVID-19はこの産業の計り知れない可能性を明らかにした。芸術と文化は、中小企業だけでなくより広範な経済にとって、人々を療やす効果に加えて、社会的結束、インクルージョン、イノベーション、そして成長の原動力になる。この可能性はその大部分がまだ手つかずのままとなっている。
ドバイで見たアラビア書道、ドーハで出会った宝飾デザイナー、湾岸諸国の図書館で童話を語る女性たちなど、どこを見てもこの可能性を感じていると、ジュネーブを拠点とするUNCTADの創造経済計画の責任者を務めるマリサ・ヘンダーソン氏は言う。
「女性は創造経済の原動力であり、気づかないうちにそれを実現しています。例えば、裁縫をしたり、服をデザインしたり、刺繍をしたり、物語を伝えたりしています」とヘンダーソン氏はアラブニュースに語った。
この点を考慮して、国連は2021年を「持続可能な開発のための国際創造経済年」とする決議の中心に女性と少女を据え、インクルーシブな経済成長を推進し、イノベーションを促進し、すべての人に機会と権利拡大を提供する必要性を認識している。
インドネシアは、80か国以上からなる世界的なグループによって提案されたこの提案の主要な共同提案国だった。
創造産業の転換点となる国連決議74/198は、国連の持続可能な開発目標(貧困をあらゆる形で撲滅し、地球環境を保護し、生活を向上させるための包括的な普遍的目標の集合)を達成するための重要なツールとして、創造経済を取り上げた。この17の目標は、2015年に「2030アジェンダ」の一環として、すべての国連加盟国によって採択された。
世界には多くの喫緊の課題があるため、芸術はしばしば優先順位を下げられている。しかし、部分的にはテクノロジーの進歩により、古いカテゴリーや定義が覆され、これまで定義されていなかった新しい芸術のスタイルが生まれ、創造産業が観客や消費者にとってより身近なものとなり、投資家にとってより有益なものとなったことで、この状況は変わりつつある。
「私たちがこれまでに聞いたことのないような商品もあります。3D音楽をクリエイティブ・サービスの中でどのように分類するのでしょうか。どのように数えて販売するのでしょうか」とヘンダーソン氏は言う。
「テクノロジーは、アーティストが宝石、おもちゃ、美術工芸品、絵画、楽器を販売する方法に影響を与えています。視覚芸術もクリエイティブな商品です。しかし、現在ではオンラインで販売されているため、サービス要素が関連しています」
創造産業を再定義し、データ収集方法を改善することは、UNCTADにとって最優先事項であり、多忙な年に向けて準備を進めている。「私たちが何について議論しているか理解するためには、私たち自身に知識があることが求められます」とヘンダーソン氏は言う。
「これは、例えばダウンロードを管理しようとしている政策立案者や政府にとって重要なことです。プラットフォームは、アーティストの取り分と比べて、どのくらいのお金を得ているのでしょうか。これは通常、GoogleやSpotifyを通じて行われますが、政府にはそれを手助けする役割があります」
「一般的に、私たちは発展途上国におけるそのような情報を持っていません」
UNCTADの創造経済計画は、開発途上国がこれらの産業から得られる利益を最大化して、雇用を創出し、貧困を減らすための支援を行う。
UNCTADの支援は需要に応じて行われる。各国は、独自の資金を投入する一方で、独自の問題を抱えて、創造産業のためのスペースを切り拓くために、UNCTADのデータに基づいた見識を求めてくる。
ヘンダーソン氏は、最近見つけたオマーンの音楽を例に挙げた。「この音楽は非常に伝統的なものでしたが、アラビア音楽のイメージとは異なる、非常に現代的な要素を持っていました。私は、『この音楽は創造産業だ』と思いました。オマーンでは、彼らは非常に大きな潜在能力を持っていて、これは驚くべきことです」
UNCTADは、各国の具体的なニーズと共に商業的可能性がある場所、いわゆる「経済的流出」を特定するための支援を行っている。投資を誘致するにはどうすればいいのか。実現のためにはどのような法的手段が必要なのか。その後、アーティストをはじめとするすべての利害関係者を含めた国内の対話が行われる。
UNCTADは行動計画の立案を支援し、その実行は各省庁間の調整に依存する。「私たちは、このインフラが押し付けられたものではないことを確認します。このインフラは彼らの利益のために作られたものでなければなりません」とヘンダーソン氏は話した。
発展途上国の主な問題がインフラの欠如であることが変わらない中、マレーシアのように戦略を持っている国は、それを実現するのに苦労している。
「なぜ難しいのかは理解しています。これは1つの省庁で管理できる産業ではありません。創造産業のためには、文化、貿易、テクノロジー、知的財産、外務の各省庁をまとめる必要があります」とヘンダーソン氏は述べた。
「UNCTADは創造経済を1つの輪として捉えています。芸術だけではありません。これらの産業を活用して投資を獲得し、生産サイクルを得て、雇用を創出し、うまく行けば輸出ができるようにする必要があります。それが創造の輪なのです」
2018年にバリで開催された第1回創造経済世界会議では、政府、民間の利害関係者、NGOの非公式なグループが「創造経済の仲間」という名の下に集まり、創造経済のエンジンの一部として経験を共有することの正しさを信じる始まったばかりの活動に弾みをつけた。
UAEはバリで議場に立ち、12月に開催される次回会合の開催を申し出た。
「アラブ諸国は全般的にこの活動を強く推進しています。ゲームやアプリなど、文化とは必ずしも関係のないと私たちが考えるものでも、実際には産業であるものがたくさんあることをUAEの人々は認識しています。そして、これらの産業を支える原動力、燃料、必需品は、創造力です」とヘンダーソン氏は述べた。
「創造経済はお金を稼ぐことを超え、文化すらも超えたものであることをUAEの人々は認識しています。それは社会を変えることなのです。創造性を奨励することで、若者や女性を含む社会の多くの人々に変化をもたらすことを彼らは知っています」
ヘンダーソン氏は加えて、「彼らは、非常に貴重な芸術品を購入して美術館で展示できることを知っています。しかし、彼らは異なるものを求めています。彼らは人々にインスピレーションを与えたいと考えています。彼らは創造性を自分たちの文化に統合し、新しい水準に持っていくことを望んでいます」と述べた。
「しかし、彼らは経済的にも非常に賢明です。彼らは経済成長の観点から創造経済の重要性を認識しています」
国際創造経済年を進める活動計画は、1月25日にスタートする。このイベントには、ヘンダーソン氏が共同で序文を書いた新しい本の発売も含まれている。
「新しい時代を迎えるにあたり、持続可能な開発のためのアジェンダ2030の達成に向けて、創造性とそれが果たすことのできる役割に焦点を当てること以上にふさわしいことはないでしょう」と同氏は話した。
「私たちが落ちた溝から抜け出すことを考えるためには、創造的な思考、イノベーション、そして問題解決がこれまで以上に必要です。創造経済の生命線である創造産業は、その手助けをするのに適しています」
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