

ハジム・バロウシャ
ガザ: 5月に予定されているパレスチナ総選挙に先立って、より開かれた選挙と代議制度を求める声がある最中にあって、秘密裡のハマース党内選挙が党の広がりゆく亀裂の種となっている。
ハマースの諮問評議会は政治指導部から党内選挙を一年延期するようにと要望されたにもかかわらず、これを拒絶した。それは党が時間を議会選挙に割き、そこでハマースが政治的な影響力を最大限に生かすことができるように出された要望であった。
今年で創立34周年を祝うハマースは次の四年間にわたって党を率いる新しい指導部に期待を寄せているが、内紛が表面化し、組織内部の秘密主義と伝統主義の傾向に強く反発が出ている。
公式ハマースの消息筋が語るには、もしエジプト政府がホストを務める総選挙に関するパレスチナ人内の対話が上首尾に終わるのであれば、六か月ではなく2か月で終わるのを条件にハマースは直ちに党内選挙を行う。
ハマースは党選挙を完全な秘密裡に、三つの地域——ガザ地区、ヨルダン川西岸、ディアスポラで執り行う。それは指導部を選ぶために四年に一度行われる。誰が勝ち取るのか分からない地位には小地域の指導部、諮問評議会のポスト、政治局のポストがあり、政治局のポストはこの政治運動の「最高執行部」を担う。
政治局は15人のメンバーで成り立っており、ガザ地区、ヨルダン川西岸、ディアスポラに均等に配分されている。彼らはハマースの最高調整機関である諮問評議会によって選出される。またその諮問評議会は匿名のメンバーとして扱われている。
最後に行われた党選挙は2017年に開かれており、イスマーイール・ハニーヤが政治局のトップとなった。それはガザ地区に拠点を置く指導者が執行部の地位に選ばれた最初の選挙となった。
広く流布されている情報によれば、ハニーヤが2期目も現在のポストに留まることは保証されておらず、それはトルコ-カタールが前党首ハーリド・マシャアルの復帰を支持しているからで、マシャアルは手続き上の規則に従って再び党首になることができる。
難民家族出身のハニーヤは一年以上海外で暮らしていて、アンカラとドーハを行き来している。一方のクウェート生まれのマシャアルは、ハマースがバッシャール・アサド政権と諍いを起こしてシリアを離れて以来、ずっとドーハに居を構えている。
昨年12月、ハマースはイスラエルの刑務所で指揮最高機関の新しい指導部を選ぶ選挙を行った。拘留者であるサラマ・アル・カタウィが司令官に任命され、拘留者アドベル・ナサールが副官に任命された。また他の13人の拘留者がこの政治運動体のメンバーとして認められた。
匿名のハマース消息筋がアラブニュースに語ったところによると、ハマースの囚人たちは指導部の地位に不満足であり、政策決定に関して権限不足を感じている。
同じ情報筋によると、囚人たちは刑務所を党選挙において四番目の地域として採用するよう要求しており、彼らの指導者を新しい政治局のメンバーとし、彼の副官を諮問評議会のメンバーにするよう要求している。
もし彼らの運動がうまくいったならば、数年後に初めて囚人が政治局に代表者を送ることになる。
ヨルダン川西岸の有力なハマース指導者で囚人の前代表者であったワスフィ・カバは囚人が政治局の中に代表を送る権利を擁護した。
彼は最後に行われた選挙における囚人とヨルダン川西岸の代表選出結果に不満足を表明し、「囚人が代表を持たないというのは受け入れられないし、ヨルダン川西岸を代表している人の中にはこの地域外に住んでいるメンバーもいる」と付け加えた。
ヨルダン川西岸は政治局の中ではこの地域に定住した政治亡命してきた前囚人と指導者たちによって代表されている。そのことがこの指導部には真正性がないという非難の生まれる元となってきた。
「原則は、ヨルダン川西岸を離れる者は誰であれ海外の定員に数えられるということだ。つまりその者はヨルダン川西岸の代表権をそこの住人に委ねる。ヨルダン川西岸は保護を必要とする未成年の子供なのではない」とカバはアラブニュースに述べた。
ヨルダン川西岸の選挙は政治局の副党首サレハ・アル・アロウリによって指揮されている。アロウリはギルアド・シャリート囚人交換の一部としてイスラエルの刑務所から解放されて後、2011年に国外退去となってからずっと海外で暮らしている。
ハマースの内部体制は秘密主義に従っている。直接に指導部団体のいずれかの地位を得ようとするのをメンバーに禁じている。むしろこの体制は推薦の原則に基づいており、そのことによって複数の人物が選ばれ、指導部の空いたポストを競う。それは下の階層から上の階層に向かってなされる。
最近になってハマース内部に新しい声が生まれてきて、発展に歩を合わせ、内部と外部の課題と真っ向から取り組むために選挙の伝統的なパターンに変化を求め始めた。
これらの声の中に社会開発庁の長官ガーズィー・ハマドが含まれ、彼は「ハマース選挙——伝統的なステレオタイプと必要とされる刷新の狭間で」という記事を書いた。そこで彼は、「伝統を打破し、変化、率直さ、大胆さ、質の高い行動を採用する」頃合いだと主張した。
ハマドはハマースの母体に対して呼びかけ、歴史、人気、国内において存在感のある偉大な政治運動の選挙を、純粋な党員たちの枠内に制限するのは間違っている、と語った。
彼はまた付け加えて言う、中には選挙は「伝統的で、ステレオタイプで、秘密」なままであって欲しい人たちもいて、メンバーにはっきりと意見を言い、指導部を改定することを許さず、選択肢を特定の地理区域に制限したい人たちがいる、と。
政治局のメンバーであるハリル・アル・ハッヤはハマースのアクサTVとのインタビューで、この政治運動体は内部の選挙を日程日毎に行う決定をしたと語り、選挙は「円滑に、友好的な雰囲気の中で」執り行われるだろう」と付け加えた。