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革命の理想が形作る、チュニジアの国際外交の手法

ニューヨークにある国連事務局にて2021年1月4日の協議会で話す国連のチュニジア常任委員 、Tarek Ladeb大使。(静止画はUN WEB TVの動画より)
ニューヨークにある国連事務局にて2021年1月4日の協議会で話す国連のチュニジア常任委員 、Tarek Ladeb大使。(静止画はUN WEB TVの動画より)
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30 Jan 2021 07:01:02 GMT9
30 Jan 2021 07:01:02 GMT9
  • アラブニュースとの独占インタビューで国連のチュニジア大使が、同国の数か月に渡る安全保障理事会の任期を振り返る
  • 「我々に隠している意図などはありません。尊重しているのです…その他全ての国々の統治権と内部情勢を。そしていつでも建設的であろうと私達は努めています。

Ephrem Kossaify

ニューヨーク:国連でチュニジア代表として常任委員に就任する為Tarek Ladebが昨年ニューヨークに到着した時は、その「魅力的な街」がもたらしてくれるチャンスの全てを最大限活用しようと楽しみにしていた。

サイクリングやジョギング、公園での散歩を好み、博物館が恋人で映画館と劇場をこよなく愛するLadebは、どうしようもなくホームシックになった時でも、ニューヨークならチュニジアを恋しがる心を晴らしてくれる娯楽が沢山あるだろうと踏んでいた。

「チュニジアの全てが恋しいです、」とアラブニュースとの独占インタビューで語った。「私の家族、国民、あの道、私達の生活様式、全てです。言葉で言い表せない、あの魔法のような要素が主に恋しいです」

残念なことに、特に昨年頭頃はコロナ危機で酷く打撃を受けた事により、同氏にとってニューヨークは期待していたような祖国の代わりとはならなかった。「眠らない街」は珍しく眠そうだ。昨年の大半はその偉大な観光地の多くが閉鎖されたままで、平常時の騒がしく賑わしい状態に比べればゴーストタウンである。かの名高い劇場は暗闇が落ちたまま、博物館や美術館ではシャッターが下ろされ、数えきれない程のコンサートや展示、サイン会が中止もしくは延期となった。

Ladebは「街を知る機会が得られるよう、早く状況が良くなる事を願っています」、と語った。

ニューヨークでの生活が普段の熱烈なペースに戻らない中、マンハッタンにある国連本部の活動はゆったりとは程遠かった、特にLadebにとっては。今月はチュニジアが安全保障理事会の交代制権力を持つ番であったため、彼の課題は山積みだった。それにはシリア、リビア、イエメンの戦争とイスラエルとパレスチナ間の問題等の中東に影響を及ぼす主要な問題が含まれている。

2006年の安全保障理事会での最後のスピーチで、前国連事務総長のコフィ―・アナン氏はイスラエルとパレスチナの争いを「その他多くある中の、よくある一定の地域の問題ではない。これほどまでに強く象徴的かつ感情的に煽られる争いはない、遠く離れた人々にとってでさえも」。15年経過しても、主要な問題として残っている。

「パレスチナの大義は私たちの外交政策の最優先事項であり、安全保障理事会の議長としての私たちの任務です」とLadebは語った。

同氏は今月、パレスチナの問題について議論するため閣僚級を招集した会合を開催し、長年の苦しい決裂を経て、出席者達は二国家解決の合意に向けて再度努める事を求めて団結した。加えて米大統領ドナルド・トランプが米国からの資金供給を断ち切った事で、その70年の歴史と存続を脅かされた中近東パレスチナ難民を支援する国連難民救済事業機関に関しても、パレスチナ難民の人道的支援を急ぎ復旧するために団結した。

「国連がこの問題についていかなる方法でも団結する所はもう長い間、見た事はありませんでした」とLadebは話した。

「公正かつ持続する平和に向けた本当に共通で共同の取り組みである事を感じたことで、今私達にはトンネルの終わりに光が見え始めています。 そして最も重要なのは、国連決議、二か国間への展望、そして1967年国境といった、平和の定義への合意です。」

これに加えて春または夏に、中東カルテットである国際連合、米国、欧州連合、ロシア間での閣僚会議開催の申し出が、「私達は平和に向けて新たな道を進んでいる」というLadebの確信を強めた。

チュニジアの安全保障理事会の議長としての任期は、北アフリカ諸国の「自由と尊厳の革命」の10周年と重なった。それは2010年12月17日、露天商を営んでいた26歳のモハメド・ブアジジが地元役員によって続く嫌がらせの対象であったことへの抗議で己に火を放ったことで始まった。

 

それからひと月以内、1月14日に辞任した大統領のザイン・アル=アービディーン・ベン=アリーは国民の圧力により退けられ、アラブの春がベイルート、ダマスカス、カイロ、トリポリと各地に広がる中で追放へと追いやられた。

革命の10周年記念はチュニジアで続く警察の残虐さと失業に対する抗議で出鼻をくじかれたが、チュニジアは依然としてアラブの春で唯一民主主義が芽生えた、本物のサクセスストーリーである。革命により具現化された理想が、過去10年間の国際外交における国の手法を指南してきた。

「革命が外交を強化する推進力と新しい発想、民主主義の原則を提唱するにあたって地域や国際的な場面での私たちの行動や、忍耐、連携、団結等の、その他国連の信念である普遍的な価値感をチュニジアにもたらした」とLadebは語る。

「国の代表をする時は自信を感じますし、チュニジア大使であることと私達の外交政策の価値感を守る事に大変誇りをもっています。

「我々に隠している意図などはありません。そのほか全ての国々の国際的関与、統治権、内部情勢を尊重しており、いつでも建設的であろうと私達は努めています。前向きで、協力的な権力、と表現すべきでしょうか」

こういった普遍的な理念と国際社会の規則に同調することで、チュニジアは「自国にとっての利益を考慮しつつも、誰の気分も害することなく」、複雑に折り重なったそのアイデンティティの側面を円滑に舵取りしてきた、」とLadebが語る。

「アフリカ、アラブ、イスラム教徒、地中海といった、これらすべての側面は私達のアイデンティティにとって非常に重要です、」と彼は付け加えた。「それ故に、安全保障理事会の課題となっている全ての問題は私達にとって優先事項です。ですが主にアラブ地域とアフリカ大陸を代表していることもあり、この二つの地域に関する全ての危機には非常に敏感で、彼らの意見を弁護したり、問題を解決に推し進める責任が私達にはあると感じています。」

安全保障理事会がその力の置き所をパレスチナとイスラエルの問題の前進とする事に合意しそうとなると、他の仮想会議、特に常任理事国である米国とロシアは互いに非難を交わして決着をつけようとし、口論に落ちぶれた。例として、ワシントンはアサド政権を終わらせる事を要求するのに対し、ロシアは内戦や結果的な人道的災害を全て西洋の責任にする表現で擁護した。

だが、小規模なシリア憲法委員会の5回目となる今週の話し合いが、Ladebに楽観的となる要因を与えた。

「もし双方が、建設的な方法で、新憲法の理念と根幹に関して話を続ければ、事態は前進します、」と同氏は言う。「なぜなら憲法が、もし導入できたなら、この危機に対する政治的決着に向けての道筋となるからです。

「ですが一方で、シリアやイエメンの人道的状況は依然として切迫しています。この二か国内では、経済的困難によって状況が深刻化しているのです。状況が改善し、この二か国の兄弟のような人々の苦しみが終わる事を願っています」

おそらく安全保障理事会が直面する最大の課題は理事会自体の信頼の低下かもしれず、これはLadebによると「理事会の決断と決議を実施する」ことでしか取り戻せはしない。

彼はこう語る、「その決議がパレスチナ関連、または例えばリビアに対する武器の禁輸措置であろうと、正しく実施されれば物事は良くなります、特に治安や停戦という意味では」

チュニジアが安全保障理事会議長の任期が終わりに近づくに連れて、Ladebは将来について考えるのを一時やめた。

「もっとも重要なメッセージは信じる事と希望です、」と彼はいう。「私達の兄弟の多くがアラブ地域やアフリカで長い間苦しんできました。

「希望、信じる事、我慢、そしてもちろん私達の国々と国際社会、国連システムと安全保障理事会の協力と団結によって、この危機は終わらせるべきだと考えます。

「私達の兄弟であるパレスチナ人のように、人々が苦しむ中で何十年も沈黙を貫く事はできないからです。70年以上の苦しみや、圧力。国際社会、安全保障理事会はその責任を引き受けなければなりません。その道徳と、政治的かつ法的責任をです」

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