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日本、レバノン医療施設への無償資金協力を約束

助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とラフィク・ハリリ大学病院理事長のフィラス・アビアド博士、2021年3月3日。 (Supplied)
助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とラフィク・ハリリ大学病院理事長のフィラス・アビアド博士、2021年3月3日。 (Supplied)
助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とレバノンのカラゲウシアン初等医療センターのセロップ・オハニアンフィールドディレクター、2021年3月3日。 (Supplied)
助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とレバノンのカラゲウシアン初等医療センターのセロップ・オハニアンフィールドディレクター、2021年3月3日。 (Supplied)
助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院のスヘイル・チャマイテリー院長、2021年3月3日。 (Supplied)
助成金契約を締結する、大久保武駐レバノン日本大使とダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院のスヘイル・チャマイテリー院長、2021年3月3日。 (Supplied)
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05 Mar 2021 03:03:40 GMT9
05 Mar 2021 03:03:40 GMT9

カーラ・チャフルール

日本政府は3月3日と4日に、複数のレバノン医療施設への無償資金協力を約束し、レバノンの医療部門改善への日本の関与を確認した。

レバノンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとベイルート港での爆発を受けて、経済と金融が危機的状況にある。特にこの1年間は、この複合的な危機によって塗炭の苦しみを味わっている。

日本は、医療分野の発展を支援し、レバノン全土のコミュニティの患者に公平な医療を提供するために、ラフィク・ハリリリ大学病院、カラゲウシアン初等医療センター、ダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院に支援を行ってきたが、いずれの支援もレバノンの脆弱なコミュニティ内の様々なグループの状況を考慮して対応している。

日本はベイルートのラフィク・ハリリ大学病院に89,700ドル(9,624,422円)の助成金を提供し、これは輸液ポンプと注射器ポンプを重症患者のユニットに装備するための資金に用いられる。

大久保武駐レバノン日本大使は3月3日、ラフィク・ハリリ大学病院理事長兼院長のフィラス・アビアド博士と助成金契約を締結した。

この支援は、レバノン最大の公立病院であり、政府の主要な新型コロナウイルス感染症医療対応施設であると共に、予防接種センターの1つとして、コミュニティと医療システムの間のインターフェースとして機能することにより、レバノンのアクセス可能で質の高い医療の柱として機能してきたラフィク・ハリリ大学病院の重症管理室を強化することを目的としている。

草の根の人々への安全保障プログラムへの無償資金協力により、同病院では年間1万人以上の患者に、より効果的な医療を提供できるようになり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの影響で常に重圧を受けている重症管理室にかかる負担を軽減することが期待される。

新型コロナウイルス感染症は、国の通貨暴落とインフレのためにすでに危機に瀕していた公衆衛生システムにさらなる負担をかけている。また、約200人が死亡し、数千人が負傷し、市内全域を瓦礫の山と化した昨年夏の大規模なベイルート港の爆発事件の影響も非常に大きな重荷となっている。

式典の中で、アビアドは、レバノンが直面している未曾有の危機の中、医療サービスの向上に向けた日本の継続的な支援に感謝の意を表明した。

大久保大使は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策に力を入れている同病院を称賛するとともに、今後もレバノンの医療分野を支援していく決意を改めて表明した。

日本政府の2つ目の助成金は、ベイルートのカラゲウシアン初等医療センターに対し、検査機器、口腔衛生、歯科治療機器、リハビリテーションの提供を通じた診断サービスの能力向上を支援するため、89,948ドル(9,654,184円)が提供された。

大久保武駐レバノン日本大使は3月3日、レバノンのカラゲウシアン初等医療センターのフィールドディレクターであるセロップ・オハニアンと助成金契約を締結している。

カラゲウシアン初等医療センターは、ベイルートのマトン地区のブルジ・ハムードで、シリア難民とその受け入れ先のコミュニティに手頃な医療サービスを提供している。

近年、当センターとそのサテライトクリニックでは、医療研究室や歯科診療ユニットに必要な設備が不足していることに悩まされていた。このため、一部のコミュニティでは、医療サービスや、健康を改善し維持するために必要な機会や資源を失う危険性があった。

草の根の人々の安全保障プログラムのための無償資金協力を通じたこの助成金は、必要な医療機器の調達を支援し、10,800人以上の地域住民がより効果的な検査や治療を受けることができるようする。助成金の最終的な目標は、脆弱な地域社会と、それらの地域社会にサービスを提供するセンターに、必要不可欠な医療サービスを提供するために必要なツールを提供することにある。

署名式の中でオハニアンは、脆弱なコミュニティ内のすべての人々が公平な医療サービスを利用できるようにするための医療センターの能力を強化する助成金に感謝の意を表明した。

大久保大使は、シリア難民をはじめとする脆弱な人々への支援が困難な状況にあるにもかかわらず、手厚い支援を提供していることを賞賛した。大使はまた、各地域の医療水準の向上が社会的安定の実現に寄与することを考慮し、このような悲惨な状況の中で最も恵まれない人々のために貢献したいとの強い決意を再確認した。

3つ目の日本からの助成金は、レバノンのベイルートにあるダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院(DAIH)に対し、データ・コンピュータ・サーバー・システムを導入した医療データ管理システムの強化のため、58,341ドル(6,262,022円)を提供している。

大久保武駐レバノン日本大使は3月3日、ダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院のスヘイル・チャマイテリー院長と助成金契約を締結した。

ダル・アル・アジャザ・アル・イスラミヤ病院は、67年以上にわたり、特別支援を必要とする人々や高齢者のための医療サービスを提供する上で主要な役割を果たしてきた。

同病院の長年の使命は、患者一人一人のニーズに合わせた個別のサービスを提供することで、すべての高齢者や精神疾患を抱えた方の生活の質を向上させることにある。

日本は、長年にわたる地域社会への貢献に鑑み、病院が医療データの管理を改善するためのデータ・コンピュータ・サーバー・システムの購入を支援することを決定した。草の根の人々の安全保障プログラムへの無償資金協力を通じたこのプロジェクトは、15,600人以上の患者の医療記録をより効率的かつ正確、精密に管理できるようにすることで、病院のパフォーマンスを大幅に向上させることが期待されている。

調印式でスヘイルは、レバノンの医療サービスの向上という共通の目標の下で日本と病院が結ばれた両国の緊密なパートナーシップに感謝の意を表明した。

大久保大使は、同病院が地域の弱者への医療支援の拡大に果たした重要な役割を評価するとともに、日本の対レバノン援助政策の主要な目標の一つとして、レバノンの医療分野を継続的に支援していく決意を表明した。

在レバノン日本国大使館によると、日本政府は、医療機器の調達を通じた画像・放射線サービスの強化を支援するため、ゴーベイリー医療センターに対しても8万9900ドル(9730万281円)を助成する。

大久保大使は3月4日、ゴーベイリーのマーン・ハリール市長と無償資金契約を締結し、市長は日本の継続的な支援に改めて感謝の意を表した。

大久保大使は、このような困難な時期にシリア難民だけでなく、地域住民の支援に同市がたゆまぬ努力をしていることを称賛した。

ゴーベイリー医療センターは、包括的で利用可能な医療を通じて、全ての地域住民を平等に支援している。そのため、同センターは脆弱な人々の医療を確保する重要な役割を担っており、日本政府は、先進医療機器を放射線科に導入することにより、同センターの強化を行うことを決定した。

草の根・人間の安全保障無償資金協力プログラムにより、同センターは、年間5400人以上の患者に、効率的で低コストの、質の高い医療サービスを安全かつタイムリーに提供できるようになる。

8万8318ドル(260万2096円)相当のもう1つの無償資金援助は、バークリーン医療センターの診断・検診サービスの改善のために与えられる。

バークリーン医療センターは、レバノン山シューフ地方で唯一の総合病院として地域社会に貢献している。日本は、必要な医療を提供することへの貢献を認め、眼科、耳鼻咽喉科、循環器科、産科、小児科、外科の業務を円滑にするため、医療機器を提供してきた。

3月4日に行われた締結式では、バークリーン医療センターのマルワン・アボウ・アヤシュ院長が、日本国民の寛大さに感謝の意を表明した。

この無償資金援助により、同センターはその能力を拡大し、年間1万人以上の患者を質の高い医療で治療できるようになる。

大久保大使は同日、ハンディキャップ国際連盟のレバノン代表であるキャロライン・デュコンセイユ氏と、41万6270ドル(約4500万円)の助成金を提供する契約に署名した。

日本はレバノンでの爆発物の撤去を迅速化するため、同組織の地雷除去部隊と5年間にわたって提携してきた。日本は、レバノン北部のバトラウン、ブシャーレ、コウラでの活動のために、さらに地雷除去装置を提供し、経費を負担することを決定した。

この無償資金支援により、ハンディキャップ国際連盟は9410人以上の受益者が再び安全にこれらの場所に立ち入れるようにする。

レバノンは2019年10月を皮切りに相次いで危機に見舞われており、資本流入の急激な停止によってもたらされた金融危機に経済が陥ったことで、銀行や債務部門全体の組織的な欠陥が惹起され、為替レートにも大きな影響を与えた。同月には、国の政治階級に対する広範な抗議行動が勃発した。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックと昨年のベイルート港での大規模な爆発によって悪化の度を深めている。

パンデミックから社会的、経済的、政治的不安に至るまでの危機が続発し、シリアからの100万人以上の難民が滞在する、全人口600万人の小さな国の半分近くを貧困に追いやった。

脆弱な農村部や都市部に住む何百万人もの人々にとって、病院は重要な、また時として唯一の医療の供給源であることが多い。危機の度にレバノンを支援し続けてきた日本は、両国間の友好的な二国間関係の証しとなっている。そして、より健康的なコミュニティを促進するために実施された協力的な取り組みが、必要とされている社会的安定の発展のための基盤づくりにも役立つことを願う、希望の光としても機能している。

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