
エルサレム: 専門家によると、イスラエルのガザ過激派との戦闘と未曾有の国内の暴力の後、政権樹立する複雑な取り組みに向け、またもや総選挙が行われる可能性が高まっていると言う。
これはベンヤミン・ネタニヤフ首相にとっては政治的追い風になる可能性がある。ネタニヤフ首相は12年連続となる記録的な在任期間を延長したい考えだが、2019年4月以降、5度目となるイスラエルの選挙がどのようなものとなるかにかかっている。
反ネタニヤフ陣営は思想的に分裂しているものの、タカ派のネタニヤフ首相を失脚させる合意に至る可能性をわずかに保持している。中道派野党リーダーであるヤイル・ラピド氏の28日間の組閣権は6月3日に失効する。
「多くの分析家が、最も可能性の高い結末として、5度目の選挙について触れています」バル=イラン大学の政治学者トビー・グリーン氏は語る。
「しかし10日残ってます。これはイスラエルの政治においては非常に長い期間です」
ラピド氏がどのような合意に至ったとしても、ナフタリ・ベネット氏の右派ユダヤ民族主義ヤミナ党と、少なくとも何人かの親パレスチナおよび非シオニスト系アラブ人政治家を入閣させなければならないだろうというのが大方の見解である。
しかし、そのような合意への期待は今月、ガザのパレスチナ居留地の過激派がイスラエルへロケット弾を発射したことで大きな痛手を受けることとなった。一方、イスラエル国内に数多く混在するユダヤ人やアラブ人は、内戦の波に飲み込まれている。
イスラエル民主主義研究所シンクタンクの長官であるヨハナン・プレズナー氏は、これによってベネット氏は「アラブの支援を受けている政党と共に政権を樹立するという選択肢を考え直す」ことを余儀なくされたという。
5月10日にパレスチナ武装組織ハマスとイスラム聖戦との衝突が勃発する前、ネタニヤフ氏の政治的未来は不安定に見えた。
賄賂、詐欺、背任の裁判のため、ネタニヤフ首相は3月23日の投票で支持者と共にイスラエル議会の120議席の多数派を占める必要な議席を確保できなかった。
多くの分析家が、最も可能性の高い結末として、5度目の選挙について触れている。
トビー・グリーン氏 (政治学者)
ネタニヤフ首相の組閣権は5月4日に失効し、ラピド氏にチャンスをもたらした。
しかしエルサレム・ヘブライ大学の政治学者ヨナタン・フリーマン氏は、紛争の勃発時に「現職を支持するのはイスラエルの政治的なDNA」であると言う。
パレスチナのロケット攻撃への反応としてイスラエルがガザ地区への空爆を強化する中、ネタニヤフ氏は政敵のベニー・ガンツ国防相と一緒に登場したが、連立がうまくいかない中での不協和音だった。
専門家が言うには、危機的状況でのリーダーシップが、ネタニヤフ首相が何十年も政界で持ちこたえてきたイメージの強化に役立ったのではないかと言う。外部の脅威からイスラエルを守る国防を重視する指導者というイメージだ。
この危機はまた、「反対派の中に亀裂を引き起こしている」とプレズナー氏は述べる。
ラピド氏が政権を樹立するための最善にして、おそらく唯一の希望は、ベネット氏のヤミナ党との有望な合意にかかっていた。
ベネット氏とラピド氏は思想的には対立しているが、5度目の選挙を回避し、不和を生むネタニヤフ時代に終止符を打つことを両者とも優先している。
合意ではベネット氏がローテーションの中で首相を務めるはずだったが、一部の右派支持者の中での立場を損ねる可能性のある取り決めだった。
しかし同時に、これはネタニヤフ氏の後任者になるというベネット氏の取り組みとして、「ベネット氏にとっては、自分が首相候補であることをアピールする大きなチャンス」になるだろう、とグリーン氏は語る。
そしてベネット氏なしでは、中道派の元ニュースキャスターのラピド氏には、分裂した反ネタニヤフ陣営を団結させるための合意を確立できる余地がほとんどない。
ガザ地区が危機に陥った後、「その可能性は低いが、不可能ではない」とプレズナー氏は語る。
プレズナー氏は、ネタニヤフ氏は「イスラエルの最も経験豊富な政治家として」今ならライバルを自分の陣営に引き入れることができるかもしれないと言う。
プレズナー氏は可能性のある協力者として、中道派のガンツ氏と、去年ネタニヤフ氏のリクード党を離脱した右派のギドン・サール氏を挙げた。
しかしどの派閥も連立政権の形成に苦慮しており、「現時点で最も可能性の高い結末は、イスラエルが5度目の選挙に向かうというものです」とプレズナー氏は語る。
イスラエルがハマスとイスラム聖戦との停戦に合意後、内戦は緩和され、ラピド氏のイエシュ・アティド党は月曜、ベネット氏のヤミナ党は参加せずに連立政権の話し合いを再開すると発表した。
党内会議の開始の際、ラピド氏はその目標を達成するため「政権を樹立するため私は何でもします(中略)当方の交渉チームが会談と取り組みを行っています」と述べた。
「チャンスは大きくはないかもしれませんが、チャンスがある限り、たとえ小さくても、あらゆる手段を尽くします」とラピド氏は付け加えた。
しかしベブライ大学のフリーマン氏は、危機によって統一政府に向けた動きが実際に加速されたかもしれないと言う。
内戦ではアラブ・ユダヤ双方の暴徒が、聖地やその他のターゲットに攻撃を行っている様子が見られた。
フリーマン氏は、ガザ地区で団結した中でのアラブ人の暴力は、イスラエルの安全保障体制に大きな不安を与えたと言う。もしハマスの紛争が再び勃発すれば、国内の対立も同様になるかもしれない。
フリーマン氏は、アラブ人政治家に団結のしるしとして政府内の地位を提供することは必須であり、それによって将来的に政治的な歩み寄りを行う動機が生まれるだろうと提案した。
ネタニヤフ氏や他の指導者が共同体間に幅広い連立政権を作ることができるかどうかは、非常に不透明である。
しかしフリーマン氏は語る。「人々はこのような暴力が再び起きないようにする方法を模索しています。さらに多くのアラブ人政治家を仲間に入れることは、その方法になりえる可能性があります」
AFP