
フランチェスコ・ボンガラ
ローマ:今後2年間に渡って、レバノンからの難民1,000人に、人道支援ルートを介してイタリアへの入国が認められる。イタリア政府、カトリック系NGO の聖エジディオ共同体、イタリア福音教会連合およびイタリアワルド派教会によって新たな協定が調印されたからだ。
この協定は、2020年8月4日のベイルート港における大爆発の一周年に際して、ローマで調印された。昨年のこの事故で、217人が死亡、7千人が負傷した。
この大爆発によってレバノンの30万人が住む家を失い、広範にわたる崩壊と荒廃をもたらした。20km先にある建物までが破壊され、すでに切迫した状態に陥っていたレバノン経済をさらに悪化させる結果となった。
聖エジディオ共同体の推進事業のような人道支援ルートは、国際レベルでのベストプラクティスモデルと目されており、フランス、ベルギー、アンドラおよびサンマリノでも同様のプロジェクトが行われている。
今回の協定は以下の人々によって署名された:聖エジディオ共同体のマルコ・インパリアッツォ会長、イタリア福音教会連合のルカ・マリア・ネグロ会長、ワルド派教会のアレッサンドラ・トロッタ総会議長、イタリア外務省移民政策担当のルイージ・マリア・ヴィグナリ長官、内務省の市民の自由と移民課長のミシェル・ディ・バリ長官。
イタリアへ入国が受け入れられるレバノン人1,000名は、特に困難な状況にある難民キャンプ住民の中から、協定に参加しているNGOによって選考されることになる。イタリアに入国後は、難民の身分が与えられ、社会補助を受けることができる。
過去6ヶ月にシリアをはじめとする諸外国からすでに2,000 人以上の難民がイタリアへ安全かつ合法的に入国しており、それらは2015年から2017年に調印された、人道支援ルートを介する同様の協定に基づいて実現されている、とインパリアッツォ会長がアラブニュースに語った。
インパリアッツォ会長によると、このプロジェクトは「すべて自己資金」によるもので、難民たちを人身売買や地中海における危険な旅から救出するだけでなく、3,700 人の難民をフランス、ベルギーおよび極小国家のサンマリノとアンドラにも入国させることができるという。
彼はこう言う:「極めて脆弱な立場にある1,000人難民たちのイタリア入国を認めるこの新たな協定の締結は、非常に重要な意味を持っている。最初の支援ルート開設以来、多くのことが変化している。またパンデミック発生以降はさらにそれが顕著となっている。移民危機は悪化しており、戦争、飢饉、耐え難い生活状況から逃れてきた何百万人もの人々が、世の中から見過ごされる危険にある」
インパリアッツォ会長はさらにこう言う:「この新たな協定によって、イタリアは自国の役割を果たすこと選択した。我々はイタリアの外務省および内務省に対し、人道支援ルートのモデルの役割を信じていただけたことに今一度感謝する。このモデルは現時点で移民管理に関する最も革新的で効果的な策となっている」
記者会見の席でイタリア福音教会連合のネグロ氏は、今回レバノン難民のために開設された人道支援ルートは「我々が抱いたごく単純な直感の正当性を確認するもの」であり、合法的で安全かつ持続可能なルートの開設は、海での溺死と人身売買に取って代わる何よりも効果的なにものだ、と述べた。
「今回の動きはイタリアで生まれ育ったものであり、他のヨーロッパ諸国でも行われてきたが、残念ながらヨーロッパ全体の基本方針にはまだなっていない。従って、我々福音教会は、ヨーロッパにおける協力者と引続き協働しながら各国政府に圧力をかけ、それらの国々への合法的で安全な入国ルートを広げていく努力をするつもりだ」