
ダマスカス:シリアの精油所内の発電所から流出した大量の石油が、シリアの地中海沿岸に広がっている。8月25日にシリア国営通信社が伝え、衛星写真でも確認された。
国営シリア・アラブ通信(SANA)によると、流出した石油はバニヤースの製油所から北に約20キロ離れたジャブレの沿岸まで到達した。シリア政府の環境部署と沿岸地域のラタキア県当局は、すべての関係部局を警戒態勢下に置いている。岩場になっているエリアでは海岸を浄化する作業が行われている。
その前日、シリア政府は、バニヤース火力発電所の保守チームが一つのタンクからの燃料流出をコントロール下に置いたと発表している。
25日に、プラネット・ラボ社は25.5平方キロに及ぶ大規模石油流出と思われる衛星写真を公表した。23日に撮影された写真では水面に油膜の兆しは見当たらず、原因が何であれ石油流出がそれ以降に起こったことを示唆している。
タルトゥース労働組合連合の電気労働組合長ダウード・ダルウィッシュ氏は、火力発電所の燃料タンクにひびが入っていたと批判している。
ダルウィッシュ氏は、タンクには1万5千トンの燃料が貯蔵されていたと指摘する。
シリアの石油資源の大半は政府支配地域外に存在している。一方、シリアの2カ所の製油所は政府支配下にあって、運営されている。そのため、シリア政府は燃料をイランに依存している。だが、米財務省が制裁を科しており、シリア、イラン、ロシアに拡がる供給ネットワークは妨害を受けている。
既に1年以上、シリア沖を含む中東海域で船舶に対する謎めいた一連の攻撃が続いている。攻撃はこの地域でイラン、イスラエル、米国間の緊張が高まりつつある最中になされている。
5月、シリア外相は、シリアに向かう石油タンカーを狙って謎めいた攻撃を仕掛けているとして、イスラエルを非難した。イスラエルは国際法に違反しており、罰を受けずには済まされない、と述べている。
AP