ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノン北部のベッカー高原ヘルメル地区の怒り狂った住民たちは、金曜日、アッシ川の橋付近でデモを行い、タイヤを焼き、道路を封鎖して、燃料不足と完全な停電状態に対して抗議を表した。
最初に始まったデモではレバノン治安部隊が介入し、道路の封鎖を解除した。ヒズボラが、国民のニーズに応えるという名目で、イランから調達した大量の燃料をシリアを通して違法にレバノンに運び込んだためだ。
この地域は、ヒズボラの拠点の一つとなっている。ベッカー高原、特にバールベック・ヘルメル地方では不満が高まり続ける。極寒の中、必要な暖房を使うためのディーゼル燃料タンクは空のままだ。
金曜日、補助金が完全に打ち切られた後、ディーゼル燃料20リットルの価格は243,000LBP($161)にまで高騰した。これは、最低賃金の半分にもなる。ブラックマーケット為替レートは1ドル19,000LPDを超えた。
バールベックの市長ハイダール・シャマス氏はアラブニュースに対し、デモはイランからのディーゼル燃料が料金を払っている人々に届いていないためと説明し、アル・アマナ社が燃料を配達していないのだと付け加えた。
イランからのディーゼル燃料の購入を希望する人は、米国の制裁を受けているアル・アマナ社の規定した料金をヒズボラのアル・カルド・アル・ハサン組合に現金で支払う必要がある。
アル・カルド・アル・ハサンは非営利組織として登録されており、2016年に米国債の制裁を受けているが、活動は現在も続いている。
シャマス氏は、人々の憤りを鎮めるために、ヒズボラは地域の人々に名前を登録すれば500リットルのディーゼル燃料が供給されると告げた。残りの燃料はアル・アマナ社既定の料金で販売されるという。
「だが、もしディーゼル燃料が個々の家庭に供給される場合、公立の病院やパンや、発電機などへの無料供給は停止するだろう。イランからのディーゼル燃料の量は十分ではないからだ。毎月の発電機利用料金はまた高騰し、少なくとも100万レバノンポンドは超えるだろう。ヒズボラを支持する人々は、ヒズボラを支持しない地域へのディーゼル燃料の供給に抗議し始めている。ヒズボラはこの分野では全く経験がなく、混乱は高まるばかりだ」と、シャマス氏は語った。
バールベック・ヘルメル地方は完全停電状態となっており、運が良い地域でも電気の供給は1日に1時間のみだ。
個人発電機の所有者は困窮し家庭の訴えを受け、電気供給時間を1日に8時間に減らし、料金を600,000LBPに減額した。貧しい家族の多くが電気の使用をやめ、ろうそくを使い始めている。
一方、レバノン南部のサイダでもデモが勃発している。タクシー運転手たちが、市が進めようとしている幹線交通体系開発プロジェクトを拒絶したことがきっかけだ。この開発は市内と周囲の地域をつなぐ目的で、特に、日々の通学にかかる料金を払えなくなってしまった学生の支援を目的としている。
タクシー運転手たちは市役所の前の道路を車で封鎖し、抗議デモを行った。
それとはまた別に、金曜日、マロン派総主教ビシャーラ・ブトロス・アル・ライ座下を訪問したナジーブ・ミカティ首相は、訪問後に「懸念が高まっていることは了承しているが、すべての問題を解決するために全力を尽くしている」と語った。
木曜日のミカティ首相との会合で、レバノン国際支援コーディネーター大使ピエール・デュカン氏は「改革を早急に実施し、国際通貨基金との交渉開始を早めて今年の終わりまでに合意に達する必要性」を強調した。「年末にはフランスが政府予算への直接支援提供のための国際会議を開催しようとしている」ためだ。
多数のレバノン政府当局者と対話してきたドロシー・シア駐レバノン米国大使は、「レバノンの経済は非常に難しい状況にあり、可及的速やかにIMFを説得しない限り解決の見込みはない」と話す。
米国政府は、ヨルダンからレバノンへの電気の供給を支援し、エジプトからのガスをヨルダンとシリアを通過してレバノン北部に供給されるよう促進することを提案した。