• ポピュリストのシーア派聖職者ムクタダー・アル・サドル師が最も多くの議席を獲得した
• その他の競合政治連合は議会で多数派になるだけの議席確保は難しそうだ

アラブニュース

ジェッダ： イラクの国民議会選挙でイランの支持する武装組織による政党が大幅に議席を失った。

イラクの有権者はこれまで権力を握ってきたファタハ連合に背を向け、ファタハ連合は48から14と大幅に議席数を失った。

ファタハ連合はイランの支持を受ける人民動員部隊（PMF）からの候補者で成る。前回2018年の選挙では2番目に多い議席数を確保し、イランの影響力が高まっている証拠だと考えられた。

その反動で2019年10月には何十万人ものイラク国民が「ティシュリーン」のデモと称して路上に出て、政治腐敗、失業率の高さ、海外からの圧力に対して抗議した。治安部隊とPMFの民兵の武力による取り締まりで、600人ほどが亡くなった。

「PMFを代表していると主張する政党は、国民によって罰された。ティシュリーン運動に反対するというスタンスのためだ」と、無所属候補ニサン・アル・ゼイヤー氏は火曜日に語った。イラクの汚職にまみれたエリート政治家を糾弾する選挙運動を行ってきた無所属候補は10議席を確保。ティシュリーン抗議運動初の議員誕生となった。

政治アナリストのイーサン・アルシャマリー氏は「選挙結果は、シーテ地区はイランの政治的圧力を拒絶するという明確なメッセージだ」と、話す。

日曜に行われた選挙から、まだ開票は完全に終わってはいないが、最も得票数が多かったのはポピュリストのシーア派聖職者ムクタダー・アル・サドル師だ。サドル師はイラクへの海外からの介入、特にイランの政治的介入に断固として反対している。

サドル師の連合「サーイルーン」は、すでに議会の329議席のうち最も多くを確保しているが、今回の選挙で54から73へと議席数をさらに増やした。サドル師はこの結果を「国民の武力に対する勝利だ」と称え、支持者を熱狂させた。

「今回の選挙で最も重要だったのは、イランのような外国が投票に介入しなかったことだ」と、バグダッドにあるサドル師の広大な拠点、サドル・シティに住む失業中の21歳、ヨーセフ・モハメッド氏は語る。「昨日の夜から、ずっと勝利を祝っているよ」

2番目に議席が多かったのは、議会議長モハメッド・アル・ハルブーシ氏率いるスンニ派だ。だが、イランの支配から脱することが難しいことを示すように、新イラン派のヌーリ・マリキ元首相率いる連合が37議席と3番目に多い議席数を確保した。

最低165人の議員で成る連立政権が樹立するまでに、何ヶ月もの交渉が必要だと予想されている。ムスタファ・アル・カディミ現首相の運命は陰の実力者サドル師の手の内にある。

西欧の外交官の一人は、イランのコッズ部隊のイスマイル・ガアニ司令官が、親イラン派の支配力を維持する方法を見つけるためにバクダッドを訪れていたと話す。「彼らは最大の政治連合を組織するためにできることは何でもするだろうが、サドル師の支配力の下では難しいと思われる」と、外交官は語った。