

ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンのキリスト教徒は、同国史上最も厳しい経済状況の只中で今年のクリスマスを祝うことになるだろう、とマロン派総主教のビシャーラ・ブトロス・アル・ライ氏は24日に述べた。
クリスマスを祝うメッセージの中で、アル・ライ氏はレバノンの政治家らが「意見の不一致を反すうしている」と非難した。
アル・ライ氏はこう述べている:「当局者は人々の間を歩き、通りに出て住居に赴き、病人を訪ね、親たちに語りかけ、彼らの苦しみや子供たちの泣き声に耳を傾け、そして毎晩どれほどの人たちが空腹のまま眠りについているのかを見るべきでしょう。」
「今どれだけの人々がホームレスになっているのか、学校に入っていない子供たちが何人いるのかを知った方が良いのです。
公立病院や学校、孤児院、特別支援が必要な人々のための機関で起こっていることを目にすれば、彼らは面目を無くして辞任することでしょう。」と彼は述べた。
「そういった状況にも関わらず、権力の座にある人々は自分たちの争いに没頭しています。復讐のため、対立者と距離を置いたり共犯者を選んだりするための手口を求め、妥協案や取引方法を探しています。そして個人的な利益のためにのみ、レバノン国家と国民を犠牲にして議会選挙と大統領選の延期を企てているのです。」アル・ライ氏は強調した。
総主教の嘆願と同時期に始まったクリスマスの装飾はレバノンの大半の地域でささやかなものとなり、その様子は市場活動とよく似ていた。
国の財政破綻によって、また休日の間に新型コロナウイルスが大流行することを恐れて、レバノン国民の多くは今年、クリスマスを賑やかに祝うことができない。
この数年間でレバノンを去った人々も含め、国外に住む何千人ものレバノン人が祝日を祝うために帰国している。
「22日だけで91機の飛行機がベイルート・ラフィク・ハリーリ国際空港に着陸し、家族と祝日を過ごす人々、レバノンに対する自信を取り戻そうという人々が帰国しました。」と、公共事業・運輸大臣のアリ・ハミア氏は語った。
かつてクリスマスの照明で煌々としていた通りは、停電と電力時間制限の最中にあり、暗闇に包まれている。
前例のない経済危機は2年目に入り、レバノン国民の多くは祝日の喜びがどのようなものだったかを忘れてしまった。
スーパーでは、買い物客が更なる物価の上昇に不満を述べている。
主婦のラナ氏はアラブニュースに対し、「給与以外のあらゆるものが、闇市場の相場に基づいて米ドルかレバノンポンドで値付けされています。どうやって暮らせばいのでしょう」と語った。
当局者は人々の間を歩き、通りに出て住居に赴き、病人を訪ね、親たちに語りかけ、彼らの苦しみや子供たちの泣き声に耳を傾け、そして毎晩どれほどの人たちが空腹のまま眠りについているのかを見るべきでしょう。
マロン派総主教、ビシャーラ・ブトロス・アル・ライ氏
クリスマス時期に人気の食べ物である栗1キロの価格は15万レバノンポンド(99ドル)に達し、同時に輸入マンゴーは5万レバノンポンドになった。
クリスマスに欠かせない伝統的なケーキも高額で、多くの店で30万レバノンポンドを超える値が付いている。
宝石商はクリスマス期間中の売上がほぼなかったことを報告し、大勢の親が子供たちに、12月25日にサンタクロースは来ないと告げた。
一方でますます多くの物乞いが、外食へ出かける人々に残り物の施しを求めるようになっている。現在、レバノン国民の5人中4人が貧困基準以下の暮らしに陥っているのだ。
このクリスマス中に最も屈辱的だったのは、公共部門従業員や軍人、そして保安庁職員が、給与支給いを受けるために銀行前で何時間も並んでいたところを撮影された場面だ。
レバノン中央銀行は、公共部門に従事する人々が銀行から固定相場で米ドルを買えるよう回状を出している。
そのドルを闇市相場でレバノンポンドに両替すれば、一部の従業員たちは100ドルにつき45万レバノンポンドの純利益を得ることができるのだ。
闇市相場に基づく軍関係者の現在の収入は、50ドルに満たない。経済危機以前には、彼らの給与は1,000ドル相当だった。
上記の映像はオンラインで急速に広まり、何百人もの活動家やレバノン市民の怒りを掻き立てた。
「市場活動は停滞しています」と、ベイルート商業協会のニコラス・シャマス会長は述べた。
「夏の間に各セクターが損失を耐え忍んだ後は特に、祝日期間中に事態が上向くこと期待していました」と彼は付け加えた。
「残念ながら買い物客は少なく、その購買力は著しく弱まっています。1975年以来最も活気のない祝日シーズンを迎えています。
戦争の最中でさえ、市場がこのような不景気に沈んだ事は一度もありません。今年、おもちゃや電子機器、宝飾品、香水を買ったのはほんのわずかな人たちでした。
経済危機以前には、クリスマス前のこれらの商品の週間売上は2億5,000万ドルに達していました。現在では、1日あたり1,000万から1,500万ドルと推測されています。まさに大惨事です。」
彼はこの変化を、レバノン国民の購買力低下のせいであるとした。
贈り物を検討する以前に、人々は食べ物や燃料といった基本的ニーズをまず満たす必要がある、とシャマス氏は指摘した。
「私たちはどん底にいます。この危機を生き残ることができたのはおよそ半数の店舗のみですが、その全てが年末まで窮地を切り抜ける事はできないでしょう」と彼は付け加えた。
「このクリスマスに市場活動へ貢献できたわずかな人々は、祝日のためレバノンへ帰国していた国外居住者です。」
レバノンのホテル所有者企業連合局長を務めるピエール・アル・アッカー氏は、休暇中の国外居住者の帰国はツーリズムセクターの活性化にはつながらないと警告した。
そういった帰国者の90%はレバノンに住居を持っており、休暇期間のアラブからの観光客もほんのわずかである、とアル・アッカー氏は補足した。