チュニス:チュニジアのイスラム主義政党アンナハダのヌレディン・ビリ元法相は拘束されて病院に移された後、食事や投薬を拒否しているが、1月3日に内相は「テロ」の疑いがあると発表した。
カイス・サイード大統領から政敵とみなされているアンナハダ副党首のビリ氏は、12月31日に私服警官に逮捕され、当初は所在が不明だった。
昨年にカイス・サイード大統領が権力を握るまで、アンナハダはチュニジア政治で中核的な役割を果たしてきた。チュニジアは10年前の「アラブの春」の蜂起で出現した唯一の民主主義国だったが、市民団体やサイード氏の敵対者は、長年独裁を続けたジン・アル・アビディン・ベン・アリ氏を打倒した革命から10年を経て権威主義に逆戻りするのではないかとの懸念を表明している。
3日遅く、タウフィック・シャルフェディン内相は逮捕について、「国家の安全を標的にしたテロの危険があり、行動する必要があった」と語った。
入院中のビリ氏と面会した代表団の一員は3日、ビリ氏が食事や投薬を拒否していることを明らかにした。
2日、活動家と元アンナハダ国会議員が、ビリ氏は危篤状態にあり、死に直面していると述べた。
しかし、情報筋はAFPに対して、ビリ氏(63)は「現時点で危篤状態ではない」と述べている。
匿名を条件に情報筋は、チュニジアの独立系拷問防止団体INPTと国連人権委員会の合同チームが2日、北部の街ビゼルトの病院に入院中のビリ氏を訪ねたことを明らかにした。ビリ氏は「元気で、意識もはっきりして」おり、病院の循環器病棟の個室で行き届いた診療を受けている。
ただし、12月31日以降、ビリ氏は「食事と投薬をいっさい拒否」しており、2日後に「病院に移される」ことになった、と情報筋は語った。
元アンナハダ国会議員で弁護士のサミル・ディロウ氏は、ビリ氏の逮捕を「政治的」で、司法制度の濫用であると非難した。チュニスで行われた記者会見で、ディロウ氏は、サイード大統領とシャルフェディン内相を「誘拐」容疑で告訴すると語った。
3日遅く、同内相は、ビリ氏の行動に関する証拠を法務省に送付したが、検察はこの件について行動を「遅らせた」と述べた。
シャルフェディン氏によると、そのために、シリア女性などの身分証明書を「偽造」した容疑で、シャルフェディン氏本人がビリ氏に対する「司法管理を迅速に適用する」ことになったという。
同内相は、拘束中のビリ氏が「適切に取り扱われている」ことを「自分自身で確認」したと語った。
ビリ氏の妻でやはり弁護士のサイダ・アクレミ氏が記者団に明らかにしたところでは、ビリ氏は「心臓発作」を起こしたことがあり、アクレミ氏本人は治安当局が求める書類への署名を拒否したために面会を認められていない。
2日、アンナハダ執行部の一員で医師のモンデル・ウニッシ氏は、ビリ氏が糖尿病や高血圧など複数の慢性疾患を患っていると述べた。
ビリ氏は「薬を取り上げられ」ており、「生命が脅かされている」とウニッシ氏は述べ、ビリ氏が普段は1日16錠を服薬していることを明らかにした。
12月31日に同内相は、氏名を特定せずに、2名の人物が自宅軟禁を命じられたことを明らかにした。
この措置は「国家の安全を維持する必要性に基づく予防的措置」であるとした。
拷問防止団体INPTは、拘束された2人目の人物を、元内務省職員のファティ・バルディ氏と特定した。
反サイード派の「クーデターに反対する市民」は2日、ツイッターに、大統領は「ビリ氏の生命に全責任を負う」と投稿した。
AFP