
クリストファー・ハミル・スチュワート
ロンドン:ロンドンを拠点とする政治リスク顧問会社Sibyllineの新しいレポートによれば、中東および北アフリカにおける新型コロナウイルスの「震源地」となっているにも関わらず、イラン政府は「地政学的目標を推進して国内を統制するために繰り返しパンデミックを利用している」。
レポートは、地域内1,500万件の感染例のうち40%をイランが占め、同国の公式死亡者数13万2,000人も、地域の死亡者数25万人の半数以上に相当すると述べた。
ウイルスによって国内で多数の犠牲者を出しているにも関わらず、イランはワクチン接種率に関して、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)など地域内の他の国々に遅れを取っている。
テヘランのウイルスへの対応は、イラン国民に途方もない数の犠牲者を出す原因になった、とレポートは述べた。
「健康危機へのこの国の戦略的対応を象徴するのは、不適切な管理と偽の情報である。国の実際の疫学的状況をひどく過小評価した、歪められた医学的助言と一貫性のない数字が用いられている。」レポートは付け加えた。
「さらに、強硬派で超保守的なイブラヒム・ライシ大統領は、反西側感情を強め、陰謀説や国が支援するメディアキャンペーンを広めるために健康危機を悪用している。」
パンデミックを通して、イランは多くの地域と首都で抗議運動による揺さぶりを受けている。それに応じてテヘランは国内での弾圧を強め、政府の筋書きに反して抗議運動を組織したり、メッセージを広めたりしたプラットフォームを厳重に取り締まっている。
イラン政府は「WhatsAppへの国による監視を巡る懸念から普及したメッセージアプリ、Signalを2021年1月25日付でブロックした」とレポートは述べた。
MENA at Sibyllineでアソシエイト・アナリストを務めるリアノン・フィリップス氏はアラブニュースへ次のように語った:「他の中東地域と世界は、新型コロナウイルスへの措置を徐々に緩和し、「コロナと共存する方法を学ぶ」ための戦略を次第に採用するようになっています。ですがイラン政府はほぼ確実に、感染率の軌道をよそに圧政的な国内措置を取ろうとするでしょう。」
感染率の軌道は、イランの「反西側イデオロギー」に起因している可能性がある、とフィリップス氏は補足した。それは、2021年後半のパンデミック第5波中に決断を迫られるまで、彼らが西側からのワクチン輸入を拒否していたことに示されている、と彼女は述べた。
危機に対処するためにテヘランが現状を変える望みは薄い、と彼女は付け加えた。代わりに、「米国による経済制裁と進行中の健康危機の只中で、社会経済的状況の悪化にイランの人々は苦しみ続けるでしょう。」
「そのような状況は否応なく、国の厳しい弾圧対象となる抗議活動の増加に拍車をかけるでしょう。」