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イスラエル人入植者によるパレスチナ人への攻撃が増加し、事態の激化に対する懸念が広がる

1月24日、入植者の一団がヨルダン川西岸地区ヒワラの町にあるカイエド・オデ氏の店を襲撃し、1万4000ドル相当の損害を与えた。(提供写真)
1月24日、入植者の一団がヨルダン川西岸地区ヒワラの町にあるカイエド・オデ氏の店を襲撃し、1万4000ドル相当の損害を与えた。(提供写真)
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20 Feb 2022 04:02:21 GMT9
20 Feb 2022 04:02:21 GMT9
  • このような攻撃はヨルダン川西岸地区の脆弱な治安状況を脅かし、攻撃に刺激されたパレスチナ人らが暴力的な反応を示す危険性があるため、地域の安定に脅威を与えている
  • 占領下のヨルダン川西岸地区に250か所以上ある違法入植地には、約65万人のユダヤ人入植者が住んでいる

モハメド・ナジブ

ラマッラー:ヒワラの町で建設資材店を営むカイエド・オデ氏(40)は1月24日、仕事中に約20人の入植者に店と車を襲撃された。

棒、ライフル、催涙スプレー、催涙ガス弾で武装した入植者らの攻撃により、オデ氏は1万4000ドル相当の損害を受けた。オデ氏の店の正面と車はこれらの犯罪者によって破壊された。

オデ氏はアラブニュースの取材に対し、「襲撃してきた入植者らは私の店のガラス戸を石や棒で壊した。私が外に出ようとすると、彼らは私を店から出さないように石を投げつけてきた」と語った。

この攻撃は、昨年パレスチナ人を攻撃した罪で有罪判決を受けた近隣の入植地のイスラエル人1人が釈放されたことを入植者らが祝っているときに起きた。また、別の店とさらに20台の車も攻撃の被害を受けた。

今回の攻撃は、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人が入植者の手によって被害を受けた一連の暴力事件の最も新しい事例だ。入植者グループはヨルダン川西岸地区全域で活動しており、頻繁にパレスチナ人を標的にしている。

パレスチナの治安当局によると、ヨルダン川西岸地区ではパレスチナ人に対する暴力行為を呼びかける入植者グループや、実際に暴力行為を行ったことのある入植者グループがいくつか活動している。ナブルス近郊のイツハル入植地やヘブロン旧市街は、こうした暴力的な過激主義者の拠点となっている。

イスラエルの人権団体「イェシュ・ディン」の研究者、ムニル・カドゥス氏はアラブニュースに対し、「12月16日に入植者1人がパレスチナ人らに殺害されたホメシュ入植地襲撃事件以降、入植者らが近隣の3つの村を襲撃する事件が約30件発生している。また、攻撃はより激しく、暴力的になっている」と話した。

このような攻撃はヨルダン川西岸地区の脆弱な治安状況を脅かし、攻撃に刺激されたパレスチナ人らが暴力的な反応を示す危険性があるため、地域の安定に脅威を与えている。

こうした襲撃は、入植者が受けた暴力に対する報復攻撃として表現されるため、「値札(プライス・タグ)」攻撃として知られている。こうした攻撃は主にヨルダン川西岸地区で発生しており、「ヒルトップ・ユース」として広く知られる若い過激派入植者らによって起こされている。

パレスチナ当局はアラブニュースに対し、入植者による暴力の増加は攻撃の応酬につながる可能性があると述べ、特に残忍な襲撃やモスクの焼き討ちなどの後はそうした可能性が高いと指摘した。

占領下のヨルダン川西岸地区に250か所以上ある違法入植地には約65万人のユダヤ人入植者が住んでおり、イスラエル国防軍がこれらの入植者を警備している。

「分離壁と入植に反対する委員会の国際関係部門(International Relations Unit in the Commission to Combat the Wall and Settlement)」の責任者を務めるユーニス・アラル氏はアラブニュースの取材に対し、「入植者らがパレスチナ人の生命や財産を攻撃する目的は、パレスチナ人の土地からパレスチナ人を退去させ、その後、接収することだ」と語った。

アラル氏はまた、入植者による反パレスチナ暴力行為は、入植者を支援し、入植者の攻撃をテロ行為と定義することを拒否する右派政府、入植者を保護する軍、入植者の犯罪に加担する司法制度によって助長されていると指摘した。

アラル氏によると、同氏の委員会は主にナブルス近郊のブリン、ブルカ、カスラやヘブロン近郊のマサフェル・ヤッタで夜間保護委員会を結成し、入植者による暴力の被害を受けた人々の支援に努めている。

同氏の委員会はまた、こうした攻撃に関する申し立てをイスラエルの裁判所に提出している。また、入植者による収用の危機に直面し、入植者によって木が根こそぎにされた土地に植林する緑化活動を農業省と協力して実施している。

ヨルダン川西岸地区の6割を占め、イスラエルの完全な治安管理下にある「エリアC」に住むパレスチナ人は、パレスチナの治安部隊が自分たちを守ってくれないことに失望している。

多くのパレスチナ人は、入植者による襲撃対象になりやすい村や町に独自の保護委員会を設立することを呼びかけている。

一部のパレスチナ人は、入植地に隣接する村や町に設置した監視カメラで入植者による攻撃を検知するという技術的な解決策を採用している。

アラル氏は、「入植者によるテロ行為は、今日のパレスチナ市民が直面する最も深刻な安全上の課題の1つとなっている。パレスチナ人に対する致命的な暴力行為を行った入植者が罰せられない限り、入植者はその残忍な攻撃を止めることはない」と述べた。

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