モハメド・アブ・ザイド
カイロ:エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使との会談において、「エジプトと米国のパートナーシップの枠組みの中で、今後も気候変動問題に関する米国側との協議を継続していきたい」との抱負を述べた。
エジプトは、11月にシャルム・エル・シェイクで開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の議長国となっているが、エルシーシ大統領は、エジプト政府が「議長国として、このサミットの開催にあたって包括的で中立的なアプローチを採用」すると強調した。
大統領はまた、エジプトは「すべての当事者の優先事項と立場を考慮することを通じて、国際的な気候変動対策を、排出量の削減、気候変動の悪影響への適応、および気候変動対策資金の開発途上国への投入を始めとするすべての面において支援するという目標に有益な成果を、COP27が確実にもたらすようにしていきます」とも語った。
エジプト大統領府のバッサム・ラディ報道官は、エルシーシ大統領が「ケリー米特使のエジプト訪問を歓迎し、エジプトと米国の戦略的対話の最終ラウンドの成果の一つとして、気候変動に関するエジプトと米国の作業グループの初会合を今回の訪問中に開催しました」 と述べた。
2日間の日程でカイロを訪問したケリー氏は、「米国が、気候変動問題に立ち向かう国際的な努力の強化に向けた、次の気候サミットにおけるエジプトのリーダーシップと、その枠組みの中での両国の協力促進へのエジプトの熱意を信頼」しているとを強調したという。
ケリー特使はまた、「国際的な気候変動対策とグリーンへの移行(Green Transition)に取り組むエルシーシ大統領の真剣な姿勢は、国際社会から高く評価されていると称賛」したとのことである。
さらにラディ報道官は、こうした評価は「エジプト大統領の、昨年のグラスゴー会議の際に催された首脳会議およびフランスのブレストで最近開催された「ワン・オーシャン」会議への参加、さらにはブリュッセルで開催された前回のEU・AU首脳会議における気候変動に関する円卓会議では議長を務めたことなどの活動を通じて、国内・国際レベルでのエジプトの取り組みに反映されています」と付け加えた。
ケリー首相は「途上国、特にアフリカの気候変動に対する懸念を表明する上で、こうした努力には大きな意義があります」と強調したとのことだ。ラディ報道官はまた、次のように述べた。「今回の会談では、エジプトがグリーン水素、太陽光発電および風力発電、低炭素輸送プロジェクト、低炭素および電気自動車などを中心とするエネルギー関連産業の重要拠点に変貌しようとしている中で、米国の企業や機関が参加することで、米国とエジプトという友好国同士の協力関係を強化する可能性について話し合われました」
「エジプトは、これらエネルギー関連分野への投資に適した環境を整えるため、必要な法律の制定や改正を行ったり、最近導入したグリーンボンドのようなグリーンプロジェクトのための革新的な資金調達メカニズムを提供するなど、効果的な措置を講じています。」
エジプト外務省によると、COP27の議長に指名されている同国のサーメハ・シュクリ外相もケリー特使と会談を行い、気候に関するエジプト・米国の作業グループを立ち上げたとのことだ。
シュクリ外相は、「昨年のエジプトとアメリカの戦略的対話のラウンドで、このグループを設立することが合意されていました」と説明している。
外相は会談後の記者会見で、気候変動の問題はエジプトと米国にとって共通の優先事項であり、特にエジプトは第27回気候会議の議長国となることで、今後、危機に立ち向かうための国際的な取り組みをリードしていく用意があると語った。
昨年6月、ケリー特使は、エジプトの主要なエネルギー源である化石燃料から太陽光エネルギーへの転換を支援するため、米国からの資金援助を増やすことを発表している。