
モハメド・ナジーブ
ラマッラー:イスラエル政府が今週行った、ラマダン期間中ヨルダン川西岸地区のパレスチナ人に対する制限を一部緩和するという決定が批判を浴びている。
「イスラエル政府はパレスチナ人の権利を否定し、『安全と引き換えのサービス』に置き換えている」と、パレスチナ自治政府治安部隊の元報道官でファタハ革命評議会メンバーの元少将、アドナン・アル・ダミリ氏はアラブニュースに語った。
一部のパレスチナ人は、聖月の間の金曜日にエルサレムを訪れ、アル・アクサモスクで礼拝することを許可された。ナフタリ・ベネット首相の政権が火曜日に発表したこの決定は、軍幹部が治安状況の評価を行ったうえで下された。
全ての年齢の女性、12歳までの子供、50歳以上の男性は、ラマダン中の金曜日に自由にモスクに入ることができることとなる。40歳から49歳の男性については有効な許可証が必要だ。
イスラエルの情報筋によると、制限の緩和は治安状況次第であり、来週には再度評価されるとのことだ。
「パレスチナ問題はサービスの問題ではなく、民族自決権に基づく政治問題であり、政府はそれを認めようとせず、ただのサービスの問題にしようとしている」とアル・ダミリ氏は述べた。
同氏はさらに、ベネット政権はパレスチナ人がパレスチナ・イスラエル紛争の全歴史の中で見た最悪の政権であると付け加えた。同氏は、この政権は「虚偽と空約束に基づいている」とし、経済、健康、パレスチナ人の生活改善など、 ベンヤミン・ネタニヤフ氏が率いた以前の政権と区別できるようなことは何もしていないと述べた。
「イスラエル政府は3ヶ月で6人の子供を含む57人のパレスチナ人を殺害し、入植地の拡大と入植者によるパレスチナ人への暴力を政策として続けており、幻の便宜の供与という偽りのスローガンを売りつけに来たのだ」とアル・ダミリ氏は述べた。
一方、イスラエルのベニー・ガンツ国防相はパレスチナのマフムード・アッバース大統領と会談し、イスラエルは11人が死亡した最近の攻撃を深刻に受け止めていると伝えた。ガンツ氏は、一年のうちのこの時期は「テロのための時期ではない」とし、平和でなければならないと述べた。
ガンツ氏はまた、ヨルダン川西岸地区の入植者を保護するために当局が断固として行動し続けると述べ、「イスラエルは、治安と安定が許す限り、ラマダン中およびラマダン明けに民事手続きを拡大する用意がある」と述べた。
安全保障の専門家は、イスラエルがパレスチナ自治区に暴力の脅威を減らすために緊張状態を緩和するよう求めようとしたことについて批判しており、前政権と現政権の政策がパレスチナ自治区とその治安部隊を弱体化させたと指摘した。
パレスチナ自治政府の治安部隊は、国民の間で地位も尊敬の念も失っており、イスラエル側が事態の収拾を求めたところで、たとえその気があったとしても、それを実行に移すことはできない、と専門家は指摘した。
ラマダンの間、一部のパレスチナ人に対する制限を緩和するというイスラエルの決定は、ヨルダン川西岸地区の完全封鎖、抗議者に対する弾圧、イスラエルに対する攻撃の実行者の親族に対する入国許可の撤回、服従を拒否する者に対するさらなる武力の行使を求める声が高まる中で出された。
イスラエルの国防専門家でありアナリストのエヤル・アリマ氏は、「この決定は、最近のエスカレーションの波に先んじて下されたものですが、そうした出来事にもかかわらず、エスカレーションを封じ込めるために便宜を維持することが決定されたのです」とアラブニュースに語った。
同氏によると、この決定の背景には、暴力的な衝突が発生した場合でも、その衝突と「普通の生活を送りたいと願う大多数の人々」との間にはできるだけ距離を置こうとしたことがあるという。
民間人の生活に影響を与える政府の決定は、しばしばパレスチナ人の怒りや憤りに火をつけ、中にはイスラエル軍に立ち向かう者までいる。そのため当局は、政治的コストの少ない方法で、できるだけ状況を悪化させないようにしているのだ、と同氏は付け加えた。
「イスラエルは、経済状況を改善し、労働者の出区を可能にするためにできる限りの努力をしています。そして、長年にわたり、フェンスの隙間から無許可で出て行く人々さえも黙認してきたのです」とアリマ氏は述べた。
「したがって、アル・アクサでの礼拝を行うことは、この点でイスラエルの利益につながるのです。なぜなら、パレスチナの国民は一般的に、ラマダンの儀式を行い、祝い、イスラエルに占領されずに普通に生活することを望んでいるからです」
「イスラエルは何も失うことなく、いつでもこの便宜を再考し、撤回することができます」