エルサレム:イスラエルが占領するパレスチナのヨルダン川西岸地区の分離壁付近で日曜日、イスラエル軍の兵士が射殺された。一方、エルサレムでイスラエル国境警察官がパレスチナ人に刺された。暴力事件が増加するなか、イスラエル・パレスチナ紛争が再び激化するとの懸念が高まっている。
今回の襲撃事件の数時間前には、イスラエル独立記念日を迎えた先週木曜日に、イスラエルに侵入し、ユダヤ教超正統派が多く住むエラドの街で3人を殺害した2人のパレスチナ人が、イスラエル軍によって逮捕されていた。
イスラエル軍によると、日曜日のパレスチナ人への発砲事件は、ヨルダン川西岸地区のトゥルカルムで「防御フェンスを不法に越えようとしている容疑者を兵士らが発見」した後に起こったという。
軍の報道官によると、「兵士らは通常の業務手順に従い、実弾射撃で容疑者の動きを止めた」という。
パレスチナ保健省は、容疑者の男は死亡したと発表した。
警察によると、日曜日にエルサレムで起きた刺傷事件で、襲撃犯の男はその場で警察官らに撃たれ、男と被害者の警察官は傷の治療を受けている。
一方、木曜日にエラドで3人が殺害された事件の後、イスラエル軍は3日間にわたって追跡を行った。斧を持った2人の襲撃犯は、テルアビブの約15キロ北の町を逃走していた。
イスラエル軍によると、2人の男は日曜日にエラド近郊の森で捕らえられた。イスラエル当局が2人の身元を確認し、パレスチナのヨルダン川西岸地区にあるジェニンの近くの村の住人であることがわかった。
2人の犯人が勾留された後、無傷と見られる2人と、その潜伏場所に銃を向けたイスラエル治安部隊の写真がイスラエルのニュースサイトに掲載された。
3月以降、イスラエル及びヨルダン川西岸地区では、パレスチナ人やイスラエルの少数派アラブ系市民による襲撃事件で、警察官3人と警備員1人を含む18人が死亡している。襲撃のほとんどは一般市民を標的としたものだ。
パレスチナの町や村ではイスラエル当局による強制捜査が実施され、たびたび衝突が起きている。今年に入ってから、イスラエル軍によって殺害されたパレスチナ人の数は少なくとも41人にのぼる。
死傷者の中には、武装集団のメンバー、単独犯、通行人などが含まれる。
ガザ地区を支配する組織「ハマス」は、エラドでの襲撃を賞賛し、この攻撃はアルアクサ・モスク敷地内でイスラエルが行った措置に対する報復であると述べた。
複雑な問題を孕むこのモスク周辺では過去一カ月間、パレスチナ人とイスラエル警察が衝突を繰り返している。
イスラム教徒にとって3番目に重要な聖地であるアル・アクサモスクを管理するヨルダンの国民とパレスチナ人は、同モスクでの非イスラム教徒による礼拝の長期の禁止令を施行するためにイスラエルが十分に手を尽くしていないとして非難しているが、イスラエルはこれを否定している。
アル・アクサモスクはユダヤ教で最も神聖な場所であり、2つの古代ユダヤ教の神殿があった場所である。
イスラエルは、1967年の第3次中東戦争でヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレムを占領した。パレスチナ人は将来建設する国家のためにこれらの領土を求めている。