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イラン、核合意再建の希望に「致命的な打撃」を与える

IAEAのラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は9日、ウィーンで急遽開かれた記者会見でこうコメントした。(AP)
IAEAのラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は9日、ウィーンで急遽開かれた記者会見でこうコメントした。(AP)
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10 Jun 2022 04:06:44 GMT9
10 Jun 2022 04:06:44 GMT9
  • イランはIAEAの監視カメラを撤去
  • 「我々は非常に緊迫した状況に陥っている」とIAEA事務局長が警告

アラブニュース

ジェッダ:イランは9日、国際原子力機関(IAEA)がイランの核開発施設に設置したカメラの撤去を開始した。IAEA事務局長は、破綻した2015年核合意を立て直すという希望への「致命的な打撃」になると語った。

IAEAの35カ国で構成する理事会が、米仏英独が起草した決議案を可決したら報復する、とイランは脅していた。それは、未申告施設で見つかったウランの痕跡について説明せずにいるイランへの非難決議だった。同決議案は8日夜、圧倒的多数で可決された。

これを受けてイランは、「包括的共同行動計画」の条項に基づいて設置された全ての監視装置を撤去し始めた。包括的共同行動計画は2015年に結ばれた最初の核合意で、経済制裁解除と引き換えにイランの核開発を抑制するものだ。

IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は8日、4週間以内に監視カメラの一部を復旧できなければ、IAEAはイランの最も重要な核活動を把握できなくなると述べた。「これは致命的な打撃になると思う」と同氏は述べた。

米国が2018年に核合意から離脱し、制裁を再開して以来、イランは、核合意で定められた核活動に関する制限の多くを破ってきた。ウラン濃縮度は兵器級に近くなっている。核合意の立て直しに向けたウィーンでの協議は、3月以降行き詰まっている。

核合意の破綻以降、イランは新型の遠心分離機を稼働させ、濃縮ウランの貯蔵量を急速に増やしている。核不拡散の専門家は、イランの濃縮度は60%(核兵器級である90%に技術的に接近している段階)を大幅に超えており、その気になれば核兵器を1つ作れると警告している。

ウィーンにあるIAEA本部にいるカメラマンが、イランの核施設で使われている監視カメラのデモンストレーションを撮影している。(AFP)

グロッシ氏は9日、ウィーンで開かれた記者会見で、イラン中に設置されたカメラの見本の横に立って話した。監視装置が撤去されているのは、テヘランの施設、ナタンズの地下核濃縮施設、イスファハンの施設、ホンダーブのアラク重水炉だ、と同氏は話した。

2015年核合意以前から行われているイランでの炉心監視の一環として、IAEAのカメラ約40台は引き続き稼働する、とグロッシ氏は話した。しかしイランはもう、2021年2月から、それらのカメラの映像を提供していない。核合意の立て直しに圧力を掛ける方策だ。

「我々は非常に緊迫した状況に陥っている。JCPOAの立て直しに向けた交渉が停滞している」とグロッシ氏は述べた。「今、このことが状況に加わった。おわかりのように、とても良いものではない」

国際社会からの圧力が強まっているにもかかわらず、イランは9日、挑戦的な態度を取り続けた。

「IAEA理事会で決議すれば、我々が退くと思うか?」とイランのイブラヒム・ライシ大統領は述べた。「我々の立場から一歩も引くことはない」

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