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レバノンの84%の家庭で基本的な生活費が不足 ユニセフの報告書が指摘

ベイルートのカランティーナ地区で、建物の陰から様子を伺う幼児(2021年11月22日撮影)。(ロイター)
ベイルートのカランティーナ地区で、建物の陰から様子を伺う幼児(2021年11月22日撮影)。(ロイター)
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26 Aug 2022 07:08:09 GMT9
26 Aug 2022 07:08:09 GMT9
  • 経済危機が子どもたちの生活に深刻な影響を与えていることが調査で浮き彫りに
  • 70%の世帯が、借金やクレジットによる支払いに頼って食費をまかなっている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの3年に及ぶ経済危機は、同国の子どもたちに、貧困をもたらし、健康、福祉、教育を悪化させ、希望を失わせ、家族関係を崩壊させるなど深刻な負の影響を与えていることが国連の新しい報告書で明らかになった。

ユニセフ(国連児童基金)は、貧困による広範な危機が、レバノンの子どもたちの生活に及ぼす影響を調べるため、同国で緊急調査を実施した。

発表された報告書は、昨年9月に行われた、レバノ人の家族だけでなくシリアとパレスチナの難民も含んだ、子どもを持つ1,500世帯を対象とした調査に基づくものだ。

この調査により、レバノンの世帯の84%が生活必需品をまかなうための十分な蓄えがなく、教育への支出を減らしている世帯は2021年4月の26%から9月には38%に、健康や治療への支出を減らしている世帯は2021年4月の42%から60%にそれぞれ増加していることが明らかになった。

また、70%の世帯が借金やクレジットによる支払いに頼って食費をまかなっていることが分かったほか、36%の養育者が子どもへの接し方が寛容でなくなり、厳しくなったと明かしており、大きなリスクが生まれていることが報告書により判明している。

今回の報告書は、25日にベイルートで行われた記者会見で、レバノンのユニセフ代表であるエドワード・ベグベデ氏によって発表された。

時をほぼ同じくして、レバノン治安部隊総局(General Directorate of the Lebanese Security Forces)は、2人の子どもが両親から前例のないほどの暴力を受けていたことを発表した。

生後8カ月の赤ん坊がガムテープで口を塞がれ、手足を縛られている写真がSNSで公開され、非難が殺到した。

レバノン南東部の町ラチャヤでは、30歳のシリア人男性が、妻から自分と息子を虐待していると訴えられ、拘束された。彼は「子供の泣き声に耐えられなかった」と語り、自白したとみられている。

この事件の2日前には、南部のジェジーン地方で37歳のシリア人男性が、13歳の息子を身体的に虐待したとして治安部隊に逮捕されている。

レバノンでは、経済危機とコロナウイルスの世界的流行の影響により、子どもの権利がますます脅かされている。

物価の高騰と失業の蔓延により、何千もの家庭が貧困に陥り、子どもたちは基本的なニーズを満たせないまま放置されている。

今回のユニセフの報告書は、経済危機とそれに伴う希望の喪失が、子どもたちの心の健康に大きな影響を与えていることも示している。

多くの場合、子どもたちは基本的なニーズを満たしてくれない親への信頼を失い、失望を感じている。このことは、家庭内の緊張をいっそう高める結果を生んでいると報告書は述べている。

また、大人が失業している間、子どもはますます働きに出るようになり、伝統的な親子関係が破壊されつつあるとも報告書は付け加えている。

報告書は、コミュニティ間やコミュニティ内の二極化により、家庭や学校での暴力が増加したとも指摘している。

このため、近隣の地域や通りは治安が悪くなり、子どもたちの遊び場が制限され、嫌がらせを恐れて外出を制限されるようになった少女たちに悪い影響が及んでいる。

レバノンのユニセフのベグベデ代表は、子どもたちは十分な食料と適切な医療を受けられないまま成長期を過ごしている、と指摘する。多くの場合、子どもたちはさらに家族を支えるために働くことを余儀なくされている。

この問題の解決には、弱い立場にある子どもたちの権利を確実に保護するため、レバノンの社会保障制度の強化に基づく「多面的な対応」が必要だとベグベデ代表は主張する。

「具体的には、社会サービスへのアクセスの強化、社会的支援の規模拡大、困窮の度合いの深い家庭に対しての補助金支給などが必要です」と代表は述べた。

一方、レバノンの主要電力会社、レバノン電力(Electricity of Lebanon)は25日、空港や港などの公共施設向けの供給が不足していると発表した。

同社によると、アル・ザハラニ発電所では軽油(ガスオイル)が不足しており、26日には稼働を停止し、レバノン全土のエネルギー生産が停止することになるという。

レバノン南部にある発電所への軽油の供給はほぼ途絶えたと同社は説明している。

北部のデイル・アンマル発電所での軽油供給が枯渇した後、アル・ザハラニ発電所は唯一稼働している発電所であった。

レバノンは、イラクとの間で交換協定を結んでいるにもかかわらず、8月になってから同国からの軽油の出荷を受けていない。

レバノン電力も、9月に出荷があるかどうかさえ知らされていないという。

ヨルダンからの電力供給やエジプトからの天然ガス採掘の開始時期も未定である。

両プロジェクトの資金もまだ確保されていないのだ。

停電のため、議会の委員会会合も開催されなかった。

レバノンの刑務所に食料を提供しているケータリング会社各社は、バッサム・マウラウィ暫定内務相に、支払いが確保されない場合はサービスを停止すると警告し、7ヶ月分の未払い金がまだ決済されていないことを明らかにした。

「レバノンの厳しい状況やレバノン・ポンドの為替レートの継続的な変動の中で、求められる食事の配達を確実に行うことはもはや不可能です」とケータリング各社は述べている。

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