ドバイ:イランの若年女性マフサ・アミニさんがイラン警察に拘束され死亡したことに対する抗議デモが続く中、イランの機動隊と治安部隊が27日、数十の都市でデモ隊と衝突した。イラン国営メディアやソーシャルメディアが伝えた。
イランのクルド人都市サケズ出身のマフサ・アミニさん(22)はテヘランで今月、イランの厳しい服装規定に基づいて取り締まる道徳警察により、「不適切な服装」の容疑で逮捕された。
アミニさんの死は、2019年にガソリン価格の上昇に抗議するデモをイラン当局が鎮圧して以来、イランの街頭では初めての大規模な反対運動のきっかけとなった。
死者が増大し、治安当局による激しい弾圧が行われている一方、ツイッターに投稿された動画には、テヘラン、タブリーズ、カラジ、コム、ヤズドなどイランの多くの都市で、治安部隊と衝突しながら聖職者統治体制の崩壊を求めるデモ参加者の姿が映し出された。
イラン国営テレビは、国内のいくつかの都市で警察が「暴徒」と呼ぶ人々と衝突し、鎮圧のために催涙ガスを発射したと伝えた。
イラン国内からソーシャルメディアに投稿された動画には、抗議者たちが「女性、生命、自由」と唱え、女性たちはベールを振って燃やす様子も映し出された。
また、ツイッターの動画では、デモ参加者がイランの最高権威者であるアヤトラ・アリ・ハメネイ師に言及して、「独裁者に死を」と唱えている様子が映し出された。クルド人の都市サナンダジとサルダシュトでは、機動隊がデモ隊に発砲したことがツイッターの動画で明らかになった。
テヘランからの映像では、「妹を殺した奴らを殺す」というデモ参加者の叫び声まで聞こえてきた。活動家のツイッターアカウント「1500tasvir」は、次のように言った。「街頭は戦場と化した」
インターネット遮断の監視機関NetBlocksのツイートやイラン国内の情報筋によると、抗議者がソーシャルメディアに動画を投稿することを困難にするため、イラン当局がいくつかの州でインターネットアクセスを制限したという。
国連人権高等弁務官事務所の報道官は27日、イランの聖職者支配層に対し、「意見、表現、平和的集会、結社の自由に対する権利を完全に尊重する」よう呼びかけた。
同事務所のラヴィナ・シャムダサニ氏は声明の中で、「人権擁護者、弁護士、市民社会活動家、そして少なくとも18人のジャーナリストを含む数百人が逮捕された」との報道があったと述べた。
「ここ11日間、全国で数千人が反政府デモに参加した。治安部隊が実弾で対応することもあった」と声明は記している。
イラン政府関係者は、警察官や親政府派の民兵を含む41人が抗議デモ中に死亡したと発表した。しかし、イランの人権団体は、それより多くの犠牲者を出したと報告している。
イランの人権団体ヘンゴー(Hengaw)は「この10日間で18人が死亡、898人が負傷し、1000人以上のクルド人のデモ参加者が逮捕された」と述べ、これらの数字はもっと多い可能性があるとしている。
「月曜日から金曜日までの間に、イランのクルディスタンで70人以上の女性が逮捕された。そのうちの少なくとも4人は18歳未満だ」と、ヘンゴーは27日に述べた。
イラン国営メディアによると、イラン司法当局は「暴徒」を裁くための特別法廷を設置したという。
ソーシャルメディアの投稿では、一部の活動家とともに、全国的なストライキを呼びかけている。複数の大学教員、著名人、著名なサッカー選手は、ソーシャルメディア上で声明を公開し、アミニさんの死に対する抗議行動への支持を表明した。
いくつかの大学では学生が授業への出席を拒否し、大学での学生の逮捕や、治安部隊による学生への強圧的な接触が広がっている状況に抗議するデモが行われた。
イランはアミニさんの死により国際的な批判を浴びているが、同国は「外国の敵」とつながる「凶悪犯」が騒動を煽ったと非難している。またテヘランは、米国と一部の欧州諸国が、イランを不安定にするためにこの騒動を利用していると非難している。
ロイター