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ゲイツ財団CEO、年次書簡でビリオネアに慈善活動への支援強化を促す

サズマン氏は、ゲイツ財団は「人道支援団体というよりも、長期的視野の開発団体」であると述べ、永続的変化を起こすために尽力していると語った。(AFP)
サズマン氏は、ゲイツ財団は「人道支援団体というよりも、長期的視野の開発団体」であると述べ、永続的変化を起こすために尽力していると語った。(AFP)
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28 Jan 2024 11:01:58 GMT9
28 Jan 2024 11:01:58 GMT9
  • ゲイツ財団は2024年、史上最大額となる86億ドルの予算を計上 CEOのマーク・サズマン氏はアラブニュースの取材に応じ、中東・北アフリカ地域で進行中のプロジェクトについて語った

ロンドン:25日に公開された年次書簡のなかで、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のマーク・サズマンCEOは、慈善活動家に寄付額を増やし、貧困、疾病、不平等との闘いで未曾有の難局を迎える国々を支援するため緊急行動をとるよう促した。

保健衛生に関する世界最大級の支援団体のひとつであるゲイツ財団は、今年の寄付予算を過去最大となる86億ドルと発表した。

予算の増加は、非営利団体による貧困削減、治療可能な疾病との闘い、飢餓撲滅の取り組みの進捗が停滞している現状を踏まえてのものだ。

このような停滞の主な要因として、パンデミック、今なお続く戦争、多くの国々が抱える多額の債務が挙げられる。

「私たちが考える、慈善活動がもっとも効果をあげられる分野は、人々の間の不平等の改善と、人的資本への大規模投資であり、つまるところ地球の将来世代の健康と教育です。私たちはこうした形で、もっとも貧しくもっとも脆弱な人々に機会を提供しています」と、サズマン氏はアラブニュースに語った。

ガザとイエメンで甚大な被害をともなう武力衝突が続くなか、ゲイツ財団は必須の医薬品や医療の提供を支援する目的で、UNICEFに資金援助をおこなってきた。

サズマン氏は、パートナーシップ形成がとりわけ湾岸地域において重要だと語った。この地域の政府および慈善団体は豊富なリソースをもっており、地域内だけでなくグローバルな規模で成果をあげる可能性を秘めているためだ。

サズマン氏はアラブニュースの取材に対し、現在ゲイツ財団が中東・北アフリカ地域で展開するパートナーシップの貢献について説明した。「UAEでは、私たちは顧みられない熱帯病の終息を目指す「リーチング・ザ・ラスト・マイル・ファンド」の設立を支援しました。カタールでは、農業イノベーションを推進する共同基金の「ナンモ(Nanmo)」を運営しています」

「私たちはエチオピアに拠点を置く国際家畜研究所と提携し、アフリカの多くの国々へのプロジェクトの拡大に取り組んでいます」

「また、私たちは人々にも投資しています。ICBA(国際塩水農業研究センター)とのパートナーシップを通じ、アラブ女性へのフェローシップ提供などです」

「私たちは複数の国々およびイスラム開発銀行と大規模なパートナーシップを結んでいます。生活生計基金(Lives and Livelihoods Fund)には、サウジアラビア、クウェート、UAE、カタール、ゲイツ財団が資金を拠出しています」

かつてゲイツ財団の支援を受けたレバノンでは、無水トイレ技術の開発が進められ、難民キャンプでの普及という成果がもたらされた。

ゲイツ財団の支援強化の訴えは、ビル・ゲイツ氏、メリンダ・ゲイツ氏、ウォーレン・バフェット氏が2010年に設立した「ギビング・プレッジ」の理念に基づくものだ。このコミットメントに賛同するビリオネアは、存命中あるいはなんらかの理由で死亡した際に、保有資産の大部分を寄付することを誓約する。

ゲイツ財団とサズマン氏は、世界が抱える問題の解決に真摯に取り組んできた。このことは、多数のプロジェクトにおいて研究開発に重点を置いてきたことからも明らかだ。

こうしたプロジェクトには、世界の困窮する農民を支援する世界規模の農業情報システムの構築や、資源利用量の削減および乳幼児死亡率の低下のための費用対効果の高い手法の検討などがある。

「私たちはGAVIワクチン・アライアンスへの共同出資および設立に携わり、低所得国へのワクチンの提供と購入を支援してきました。また、ロタウイルスや髄膜炎の新型ワクチン開発でも大きな進展がありました」と、サズマン氏は説明する。

「こうした取り組みは総体として、予防可能な原因で亡くなる子どもたちの数を、2000年の1000万人から500万人へと半減させました。現在、私たちはこのペースをもっと上げられると考えています。中東・北アフリカ地域での状況改善は著しく、こうした減少のかなりの部分を占めています」

サズマン氏は、ゲイツ財団は「人道支援団体というよりも、長期的視野の開発団体」であると述べ、永続的変化を起こすために尽力していると語った。

ゲイツ財団は来年、年次予算を90億ドルに引き上げ、以後はこの水準を維持する意向だ。

同財団の理事会は今年の予算を承認したものの、予算の増大が止まった際には各支援プロジェクトの持続可能性を見極める必要があるとした。

ゲイツ財団は設立以来、通算714億ドル以上の支援をおこなってきた。

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