
モハメド・ナジブ
ラマッラー:ヨルダン川西岸地区のナブルスとジェニンの状況を沈静化するため、国連の主導による取り組みが行われている。国連のトル・ウェネスランド中東和平プロセス特別調整官が日曜日にツイッターで明らかにした。
同調整官は10月15日、ナブルスとジェニンにおいて有力者と建設的な会合を開き、治安の悪化について、また平穏を回復し政治的解決を追求するための方法について協議した。
同調整官は、緊張を緩和すること、また状況改善のための具体的かつ恒久的な措置に重点を置くことが必要だと強調した。
パレスチナ外務省は、この1週間で占領下のヨルダン川西岸地区においてイスラエル人入植者によるパレスチナ市民への暴力事件が大幅に増加していることに懸念を表明した。
市民を銃撃し、車両を破壊し、パレスチナ人が利用する道路を封鎖するなどの激しい暴力が行われているという。
入植者たちは家を燃やし、店を破壊し、公共の場所・施設や農民を標的としている。
オリーブを収穫している人々を追いかけ回し、彼らの行動を制限し、オリーブの実を盗み、木を切り倒している。
パレスチナ人家族の多くは襲撃を恐れて入植地近くの農園でオリーブの収穫を行いたがらず、入植者たちが農園に現れないと思われる土曜日やユダヤ教の祝日にのみ収穫を行っている。
パレスチナ人を標的としたこれらの攻撃が行われていたのと同じ頃、ナブルスとジェニン、および東エルサレムのシュファート難民キャンプではイスラエル国防軍(IDF)による激しい弾圧が行われていた。
パレスチナ自治政府のイブラヒム・メルヘム報道官はアラブニュースに対し、ヨルダン川西岸地区ではIDFの保護のもとで入植者たちが第二の軍隊を結成していると語った。
イスラエルの治安当局と軍当局は、過激主義的な入植者によるパレスチナ人に対する襲撃の増加について、イスラエル人を標的としたパレスチナ人による襲撃を阻止するIDFの努力を毀損するものであるとして懸念を表明した。
イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、襲撃の容疑者164人とその親族について、ナブルス地区への立ち入り許可を取り消した。
イスラエル軍当局は昨年、襲撃犯の親族2500人以上についてイスラエルへの入国を禁止した。
別の動きもあった。
2022年1月にIDFによって殺害されたパレスチナ系米国人オマル・アブデル・マジド・アサードさん(80)の遺族が、イスラエルと米国の法廷での訴訟を放棄するのと引き換えに14万1000ドルの補償金を提供するというイスラエルの申し出を拒否したのだ。
米国籍を持っていたアサードさんは、IDFの兵士により拘束され、手錠をかけられ、暴行を受けた後、1月12日に死亡した。彼はラマッラーの北にあるジャルジャリア村の出身だった。
彼の兄弟であるナワフ・アサードさんは、加害者の責任を追求する権利を放棄することと引き換えに補償金を提供するという申し出を家族は断ったと語った。
また、法律が決着をつけ正義がなされるまで法的手続きを続けるよう家族の弁護士に指示したと強調した。
「いかなる理由があっても訴訟をやめません」
「私の兄弟オマルの死はお金で償うことはできません。
彼の奥さんと子供たちは彼の死を悲しんでいます。家では孫たちが今でも彼の名前を呼び姿を探しています」
メルヘム報道官はアラブニュースに次のように語った。
「殺害犯が起訴され裁判にかけられることを求めるという遺族の決定を尊重する。
裁判が行われなければ今後もイスラエル軍によって彼らの父のような高齢者が殺されるということを彼らは知っており、確信しているからだ」
「正義が下されなければ、また別の同胞に対して同じような犯罪が繰り返されることになる」
また別の動きもあった。
テレグラムは、パレスチナ武装抵抗組織「アリーン・アル・オスード」のアカウントを停止するようにとのイスラエルの要請を「表現の自由の侵害」であるとして却下した。
一方、米企業のメタはイスラエルからの要請を受けて同組織のフェイスブックとインスタグラムのアカウントを停止した。
あるイスラエル政府高官が主張するところでは、これらのアカウント「を通して、過激派がテロへの勧誘を行い、テロを計画し助長することで、現実的かつ差し迫った危険をもたらしている」
10月15日には、動画シェアアプリのティックトックがイスラエルの要請を受けてアリーン・アル・オスードのアカウントを停止した。
ただ、同組織はその後、このアプリのアカウントは持っていないと述べている。
パレスチナ側は、これらのソーシャルネットワークが明らかにイスラエル寄りに偏向しており、パレスチナ人のコンテンツや事実を覆い隠そうとしていると主張している。
アリーン・アル・オスードは、ヨルダン川西岸地区北部のナブルスでイスラエル軍と入植者に対する攻撃を行って以来、イスラエル治安当局にとって深刻な懸念材料となっている。