
ベイルート:国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は21日、レバノンが未曾有の経済危機に陥る中、同国内にいるパレスチナ難民の支援のため、国際社会に対し1300万ドルの資金提供を訴えた。
UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は「過密のキャンプで暮らすパレスチナ難民は、もう限界に達している」との声明を発表し、「レバノンのパレスチナ難民は、ほぼ全員が貧困の中で暮らしている」と述べた。
ラザリーニ氏は、UNRWAは、家族への現金の支援、プライマリヘルスケア・サービス、そして今年末まで同機関の学校を開校し続けるための資金として、「1300万ドルの調達を緊急に訴える」と述べた。
同氏は、レバノンのパレスチナ難民は「生活費の捻出すらできない場合が多い」とした上で、「私たちの支援は、絶望の海の一滴に過ぎない」と付言した。
世界銀行によると、過去3年間、レバノンは近年の世界史の中で最悪の経済危機の一つに陥っている。
「前例のないレベルの貧困、失業率の急上昇、絶望の増大が今、レバノン、シリアの人々、さらにパレスチナ難民に深刻な打撃を与えている」とラザリーニ氏は述べた。
UNRWAによると、レバノンは現在約21万人のパレスチナ難民を受け入れており、そのうち3万人は、2011年の戦争勃発後にシリアから逃れてきた人々だという。
また、レバノンは、100万人以上のシリア難民も受け入れている
ほとんどのパレスチナ人は、レバノンの財政破綻のため状況が悪化した12ヵ所の公営難民キャンプの劣悪な環境の中で暮らし、雇用を含むさまざまな法的制限を受けている。
国連機関によると、レバノンのパレスチナ難民全体の93%が貧困層となっている。
このような過酷な状況の中、何百人もの人々が欧州を目指し、危険な船旅を試みている。
東地中海で最悪レベルの事故も起きた。移民を乗せてレバノン北部から出発した船が隣国シリアの沖合で沈没し、パレスチナ人を含む100人以上が死亡した。
「貧困で死ぬのは、海で死ぬのと大差ないでしょう」と、ベイルートのマル・エリアス・パレスチナ難民キャンプに住む、イマンと名乗る3児の母親は言った。
UNRWAの声明によると、彼女は「レバノンでの生活は耐え難いものになった」と話したという。
AFP