
アラブニュース
ロンドン:アムネスティ・インターナショナルは、イランでの人権侵害を調べる国連の事実調査団の立ち上げについて、同国の「悲惨な状況」からすれば「長い間の懸案だった」として、高く評価している。
24日、国連人権理事会が「画期的な」決議を採択したと発表したことを受け、アムネスティのアグネス・キャラマール事務総長は次のように述べた。
「正義を求めるイランの人々の叫びが、ついに聞き届けられた。この決議は、悲惨な現状に対する国際的な監視を強化するだけでなく、将来の訴追に向けて重要な証拠を収集、統合、保存するためのプロセスを確立するものだ」と述べた。
さらにキャラマール氏は、「この事実調査により、イランにおける国際法に違反した犯罪やその他の深刻な人権侵害を長年煽ってきた組織的刑事免責という危機的状況に対し、国際社会が本格的に取り組む方向へと大きく舵を切ることを期待している」と述べた。
国連の事実調査団は、イランの悪名高い道徳警察に拘束されていた22歳のクルド人女性、マフサ・アミニさんが殺害されてから73日が過ぎて実現した。
アミニさんの死は、生活水準の低下や女性・少数民族への差別に対する鬱積した国民の不満の火種に火をつけた。そして1979年のイラン革命以来、同国で最も広範囲な抗議行動を引き起こし、抗議者たちは一歩も引く気配がない状態となっている。
当該の事実調査団は、「国際法違反の証拠を収集、統合、分析し、あらゆる法的手続きに基づき、相互協力の観点も踏まえながら証拠を保全する 」ことが義務づけられている。
アムネスティは、決議案が論議されている間も、イラン当局は国連の専門家や人権団体の調査結果を否定し続け、違法な殺傷力の行使を広範囲にわたって継続し、デモ参加者の死刑を追求してきたと述べた。
イランは2018年以降、度重なる反政府活動に直面しており、そうした抗議活動はいずれも暴力的な報復に遭っている。
「各国は今後、権限を遅滞なく行使し、十分なリソースを確保するとともに、イラン当局に対し、ミッションに全面的に協力し、同国への自由なアクセスを認めるよう求めなければならない」。
キャララマール氏はこのように述べた。
続けて同氏は、「今回の決議は、イラン当局が、デモ隊に対する全面的な軍事的攻撃を直ちに停止するための警鐘にもなるはずだ」と語った。
さらにキャラマール氏は、アムネスティは、イラン当局が抗議者に対して行った不法な殺害、不当な武力行使、大量の恣意的な逮捕や拘束など、国際法に基づく犯罪を「絶えず」記録してきたと述べた。
また、アムネスティは、強制された失踪、拷問などの虐待、そして長期にわたる服役や死刑の判決についても記録してきた。
「国際社会は、そのような犯罪に対して刑事捜査を開始するよう求めてきたが、イラン当局は、そうした度重なる要請を無視してきた」。
アムネスティはこのように述べた。
「それどころか、彼らは犯罪の証拠を隠滅しようとし、生存者や被害者の親族を迫害しているのだ」