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アラブ世界の水不足解消には統合的な戦略が必要:エジプトの会議での講演

大エチオピア・ルネッサンス・ダム。エチオピアのグバ。(AFP/ファイル)
大エチオピア・ルネッサンス・ダム。エチオピアのグバ。(AFP/ファイル)
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02 Dec 2022 06:12:05 GMT9
02 Dec 2022 06:12:05 GMT9

ゴブラン・モハメド

カイロ:パレスチナ、アラブ連盟、「アラブ水専門家ネットワーク」が主催する第4回「アラブ水会議」が、「生命・開発・平和のためのアラブの水安全保障」をテーマとして11月30日にカイロで開幕した。

パレスチナのマフムード・アッバース大統領の後援のもとで2日間にわたって開催されたこの会議には、水資源を担当する大臣らのほか、アラブ諸国や地域の関連機関の代表らが出席した。

30日と1日に行われたこの会議では、水不足、干ばつ、気候変動などに関連する問題を扱ったワーキングセッションや科学論文のプレゼンテーションが行われた。

水不足がもたらす課題とその解決策、水需要と干ばつ管理、気候変動、水資源の共有、水外交などのテーマが取り上げられた。

また、海水淡水化技術、地下水資源の管理、水部門における融資・投資、アラブ地域における水関連の課題なども扱われた。

アッバース大統領は、ジアド・アブ・アムル副首相が代理で行ったスピーチの中で、アラブ世界における水不足問題を解決するには、占領、搾取、侵略に直面する中で水を利用する権利を守るための統合的・包括的戦略を立てる必要があると強調した。

それには既存の問題による水・食料不足に対処するための計画の策定も伴う。

アッバース大統領は次のように述べた。

「アラブの水安全保障は約4億5300人のアラブ市民にとって大きな課題であるとともに、アラブ連盟が『アラブ水担当大臣会議』の設立を決定したことに表れているように、アラブ諸国の関心を集めている問題である」

また、アラブ世界における国境を越えた水資源は安全保障の問題であると続けた。

「我々は、大エチオピア・ルネッサンス・ダムの問題に関するエジプトとスーダンの兄弟たちのあらゆる要求を支持するとともに、彼らの水・農業・エネルギー関連の安全保障が損なわれないようにすることに賛成する」

アッバース大統領は、2021年9月に国連安全保障理事会が出した声明に沿って、地域の人々の間の協力を永続させ共通の利益を強固にするような形で、エジプト、スーダン、エチオピアの間で拘束力のある法的合意を結ぶよう呼びかけた。

また、アラブ諸国における深刻な水不足に鑑みて全ての者に恩恵をもたらす大きなプロジェクトのために、アラブ諸国が協力して代替的な水供給源を見つけることを呼びかけた。

エジプトのハニ・スウェイレム水資源・灌漑相は、同国における水問題は国家安全保障の最重要の柱の一つであり、持続可能な開発を実現するうえでの主要な軸であることを確認した。

また、エジプトの年間推定降水量は13億立方メートルで、世界で最も乾燥した国の一つであると述べた。

エジプトの水の97%は国境外に水源があるナイル川に依存しているという。

さらに、世界の水貧困ラインが一人当たり年間1000立方メートルと定められているのに対し、エジプトにおける一人当たりの水のシェアは長年にわたり年間約560立方メートルにまで減少していることを指摘した。

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