
アラブニュース
ジェッダ:2022年12月2日金曜、イランのスィスターン・バルーチェスターン州では黒装束の女性たちが、マフサ・アミニさんの死後イラン全土に広がるデモに参加した。
オンライン上に公開された動画には、同州の州都ザーヘダーンで、数十人の女性たちが「女性、生命、自由」と書かれた横断幕を掲げ、路上での抗議デモに参加する様子が映っている。
「女性、生命、自由」は、9月中旬から続くデモ活動の主要スローガンのひとつである。
ツイッターに投稿された動画では、全身を覆うチャードルを着た女性たちが「ヒジャブを被ろうと、被らまいと、革命に向かって」と唱えている。
女性たちが先導する抗議デモは、テヘランでクルド系イラン人女性のアミニさん(22歳)が国の服装規定に違反した疑いで逮捕され死亡したことを機にイラン全土に広がっている。
オスロに本拠を置くNGO、イラン・ヒューマン・ライツ(以下、IHR)によると、治安警察はこれまで448人のデモ参加者を殺害し、中でもアフガニスタンやパキスタンと国境を接するスィスターン・バルーチェスターン州で最も多くの人が殺害されたという。
IHRのディレクター、マムード・アミリ・モガダム氏は、2ヶ月以上にわたり金曜礼拝の後に男性たちが路上デモを行ってきた中、ザーヘダーンで女性たちによる抗議デモが行われたことについて「非常に珍しいこと」と述べた。
「現在イランで続いている抗議デモは、尊厳の革命の始まりです」と彼は述べた。
「40年以上にわたって二流市民として扱われてきた女性やマイノリティーの人たちが、これらの抗議活動を通じて、路上に出て基本的人権を求める活動を行う力をつけています」
イランではバルーチ族の女性は「最も抑圧されている」存在であり、イラン全土でデモが巻き起こって以降、彼女たちの抗議活動はこれまでで最もまとまりがあるとアミリ・モガダム氏は付け加えた。
金曜には男性たちもまた路上でのデモ活動に多く参加し、活動家らがオンライン上に公開した動画には「子供を殺す政権は必要ない」と唱える姿が映されている。
IHRが公開した動画には、スィスターン・バルーチェスターン州のタフターンで、治安警察が男性のデモ参加者たちに対し、散弾銃や催涙弾を発射する様子が映っている。
著名なスンニ派の聖職者は、デモ参加者を死刑に科すことは間違っていると述べた。
シーア派が支配するこの国で、反対の声を上げるスンニ派の有力者モウラヴィー・アブドゥル・ハミド氏は、強硬派の司法がデモ参加者に対し、死刑を科すことになる「mohareb」(神の敵を意味する用語)として起訴することは間違っていると述べた。
一方、カナダのメラニー・ジョリー外務大臣が、イランが女性や少女の権利を否定し平和的な抗議行動を弾圧しているとし、同国に対し追加の制裁を課すことを明らかにした。
カナダ外務省は、イラン政府の「組織的な人権侵害」と「世界の平和と安全を脅かす」行為に関与したとして、個人4名と5つの団体を制裁対象とすると発表した。
ジョリー外務大臣は「イラン政権による同国民への人権侵害が規模と激しさを増す中、カナダはただ傍観するつもりはない」と付け加えた。