
ハゼム・バロウシャ
ガザ市:ガザ地区のキリスト教徒は、毎年クリスマスを祝い、家族と再会することを望むが、イスラエルによる移動制限によって、数千人がこの行事に参加できずにいる。
イスラエルはベツレヘムの降誕教会での礼拝許可を限られた数の参拝者にのみ厳しく制限しており、そのことで非難を浴びている。
エレズ検問所のイスラエル当局者との連絡を担当するパレスチナ民事局によると、260以上の申請がイスラエルによって却下された。
匿名の情報筋はアラブニュースに対し、イスラエル側が受理したのは、900以上の申請の内わずか640人分だけであると明かした。
クリスマスに教会の外でサンタクロースの格好で子供たちにプレゼントを配るパレスチナ人男性。2021年12月24日、ガザ市(AFP)
あるイスラエル治安当局高官は電話取材に対し、200名以上が人物調査の結果イスラエル領内に入ることを許されなかったと明らかにした。
ガザのカトリック修道会教会が出した統計によると、ガザ地区には約1,100名のキリスト教徒が暮らしている。
危機的経済状況、イスラエルによる包囲と立て続けの攻撃により転出する人が増え、ここ数年でガザのキリスト教徒の数は減少している。
多くはヨルダン川西岸地区へ移るか、国外へ移住した。
「すべてのキリスト教徒が必要な許可証を受け取ることができず、非常に残念に思います」とガザのギリシャ正教会のカメル・アヤド広報部長はアラブニュースに語った。
「キリストの生地ベツレヘムでクリスマスを祝うことは、世界中から訪問するすべてのクリスチャンに開かれている以上、キリスト教徒としての私たちの権利です」とアヤド氏は述べた。
氏はまた、毎年繰り返される慣例として、クリスマスの時期に移動許可証の取得を希望するキリスト教徒の氏名のリストを提出していると説明した。
大半の場合、許可証の発行はランダムに行われるため、キリスト教徒の家族の内、一部しかベツレヘムを訪れることができないとアヤド氏は話した。
ガザのYMCAは毎年、建物のある広場に大きなクリスマスツリーを飾り、キリスト教徒とイスラム教徒がともに参加してライトアップを行っている。
2007年半ばにハマスが武力によってこの地域で実権を握って以来、イスラエルはガザ地区に厳しい封鎖を敷いている。
ガザYMCAのハニ・ファラー理事長はイスラエルが「あらゆる形の抑圧と暴力行為を宗教や性別を問わず、すべてのパレスチナ人にたいして振るっている」と語った。
ファラー氏は次のようにも話した。「イスラエル軍の爆弾やミサイルがパレスチナ人を無差別に襲うように、封鎖と抑圧的な措置もまた、イスラム教徒とキリスト教徒の区別はしません。私たちは皆ガザに閉じ込められ、痛みと苦しみを共有しています」
ガザ地区に住むサナア氏は移動許可証を手に入れたが、彼女の夫と3人の子供たちに許可は下りなかった。
「家族で私だけ許可をもらっても、どうしろと言うのでしょうか」と彼女は嘆いた。
サナア氏はアラブニュースに対し、次のように語った。「クリスマスの精神は、家族全員が1つの場所に集まることです。ベツレヘムに、自分だけがクリスマスを祝いに行くことはできません。毎年こうなのです。家族の内、1人か2人しか許可をもらえません」
イスラエルはガ地区北部のエレズ検問所を通るパレスチナ人の出入りを管理しており、人道上の理由がある場合か、通勤する数千人の労働者、国際団体の援助活動家を除いて許可証は出ない。
ハマスはイスラエルがクリスマスにヨルダン川西岸地区への移動を禁じていることを非難した。
ハマスの声明は「イスラエルの占領当局が、ガザのキリスト教徒に宗教的な祭日にエルサレムとベツレヘムの聖地訪問を禁じていることを我々は非難する」としている。
「イスラエルはパレスチナ人キリスト教徒の聖地訪問を制限しているが、我々はこれを礼拝する権利の言語道断の侵害だと見なす」