• マフサ・アミニさんが9月16日に拘留中に死亡して以降、イランでは抗議デモの波が起きている
• スィスターン・バルーチェスターン州の州都ザーヘダーンでは、デモ参加者は「独裁者に死を」と唱え、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師に狙いを定めていた

パリ：反政府組織の活動が盛んなイラン南東部で16日、数百人が街頭デモを行った。その様子は、人権団体が公開した映像に映っていた。マフサ・アミニさんの死に端を発する抗議デモは4カ月目に突入した。

アミニさんが9月16日に拘留中に死亡して以降、イランでは抗議デモの波が起きている。アミニさんは22歳のイラン系クルド人で、女性に対するイランの厳しい服装規定に違反したとして逮捕されていた。

スィスターン・バルーチェスターン州の州都ザーヘダーンでは、デモ参加者は「独裁者に死を」と唱え、最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ師に狙いを定めていた。その様子は、オスロ拠点の人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」（IHR）が共有し、AFPが検証した動画に映っていた。

ザーヘダーンで撮影された他の映像には、近くの通りとみられる場所でデモ行進し、スローガンを唱える大勢の男性たちと、黒い服を着た女性の一団が映っていた。反政府のスローガンが書かれた張り紙を掲げている人たちもいた。

イランの南東部にあり、アフガニスタン、パキスタンと国境を接しているスィスターン・バルーチェスターン州では、全国的な抗議デモが始まる前から暴力行為が行われている。死者が出ることも多い。

シーア派が多数派を占めているイランで、スンニ派を信奉する同州の少数民族バルーチ人は、差別を受けていると長年訴えてきた。

米国拠点の人権団体HRANAによると、ザーヘダーンでは9月30日以降、金曜礼拝後に数百人が集まり、毎週抗議デモを行っている。治安部隊は9月30日にザーヘダーンで90人以上を殺害した。この事件は「血の金曜日」と呼ばれている。

その暴力事件の引き金になったのは、同州の湾岸都市チャバハルで15歳の少女が拘束中に警察署長に強姦されたとされる事件だった。

しかしアナリストらは、バルーチ人はアミニさんの死に端を発する抗議デモに触発されたと言っている。抗議デモは当初、女性の権利を訴えるものだったが、他のことも訴えるようになった。

スィスターン・バルーチェスターン州ハーシュでは先週、聖職者がモスクで拉致され殺害された。

ザーヘダーンの主任検察官は13日、聖職者アブドゥルワヘド・リギ氏を殺害した犯人たちが逮捕されたことを発表し、スンニ派とシーア派の間にもめ事を起こそうとしているとして犯人たちを非難した。

アミニさんの死に端を発するデモは、おおむね平和的に行われているが、イラン治安部隊はデモを弾圧している。ノルウェー拠点のIHRが12月7日に発表した数字によると、少なくとも458人のデモ参加者が殺されている。

イランの最高治安機関である最高安全保障委員会は12月3日、今回の騒乱で、治安要員を含む200人以上が殺されたと発表した。

国連によると、イラン治安部隊は少なくとも1万4000人を逮捕したという。

イラン司法府は、抗議デモに関連して11件の死刑判決を下したと発表した。

イランは12月8日にモフセン・シェカリ氏を、12日にマジドレザ・ラフナヴァルド氏を処刑した。二人とも23歳だった。

ラフナヴァルド氏は公開処刑された。イランではここ数年、死刑は通常、刑務所内で執行されている。

英国拠点の人権団体アムネスティ・インターナショナルは16日、イランの抗議デモに関連して、少なくとも26人が処刑される恐れがあると発表した。同団体によれば、イランは中国に次いで2番目に死刑執行数が多い。

抗議デモに対する弾圧は国際的非難と国際制裁を招いている。イランは14日、国連の「女性の地位に関する委員会」から排除された。

連帯を示す抗議行動も世界中で行われている。ドイツにいるイラン人の一団は16日、フランクフルト市にあるイラン領事館の外で野営しながら、ハンガーストライキの最終日を迎えた。

EUは、EUが言うところの「デモ参加者への弾圧」をめぐって、強硬保守派の聖職者であるアフマド・ハタミ師に制裁を加えた。その後、ハタミ師はEUを激しく非難した。

ハタミ師は、死刑を要求するなど、デモ参加者への暴力を扇動したとされ、制裁を受けた。

テヘランで行われた金曜礼拝で同氏は、EUは人権に関する「黒い」記録を持っていると述べた。国営イラン通信（IRNA）が報じた。

「EU諸国は人権侵害国家のリストのトップに載っている」とハタミ師は非難した。

イラン外務省は15日、EUの措置を、「受け入れがたく、根拠がない」と非難した。

AFP