ムハンマド・ナジブ
ラマッラー:イスラエル軍関係者は、同国政府に無断で、ヨルダン川西岸南部ヘブロンに近いマサフェル・ヤッタの村落から約1000人のパレスチナ人を強制的に移住させる計画を進めていたという。イスラエルの情報筋が明らかにした。
この情報筋によると、イスラエル軍の中央地区司令部は11月に、軍が集落のある地区で定期的に訓練を行えるよう住民を移住させる準備を始めたとのことだ。
この計画が政府に報告されたのは、新政権が発足した後、先週になってからのこととされている。
住民の移転は今年中に行われる予定とのことだ。
前述の情報筋によると、移住の決定は先週ヨルダン川西岸で行われた会議で、占領地の民政を監督するイスラエル民政局の当局者からパレスチナ自治政府へ伝えられたという。
パレスチナ自治区からの、あるいは自治区内での民間人の強制的な移住は、国際人道法の下で禁止されている。
パレスチナ自治政府の代表者たちは、マサフェル・ヤッタの人々に、イスラエル民政局の当局者が、12の村落からの住民移転計画について通知してきたことを伝えた。
パレスチナ人住民たちは最近、この問題に関する請願を最高裁判所に提出し、却下されているが、その請願では8か所であった村落数が今回の移転決定では12に増加している。
移住先としては2か所が新しく用意されており、住民たちはそのうちの1つを選ぶことができる、とイスラエル軍関係者は提案しているという。
イスラエルの治安・政治筋は、この件に関する軍関係者の行動に懸念を示し、このようなことは、パレスチナ人に影響を与える今後の計画に対する、また、「軍高官に圧力をかけ、政治的・非専門的な思惑に従って自身の考えに沿った決定を下させようとする」政治家や極右、入植者たちに立ち向かうイスラエル軍の能力に対する「憂慮すべき兆し」だと警告したとのことだ。
マサフェル・ヤッタ村落協議会のニダル・ユーニス代表は、アラブニュースの取材に対し、昨年5月にイスラエル最高裁が8つの村落の住民を移住させ、他の村の住民の移動を制限し、一部の村への非住民の入村を禁じ、農業機械や車両を没収するという判決を出して以来、イスラエル軍、警察、入植者によるパレスチナ人への攻撃が劇的に増加していると語った。
さらに、入植者たちはマサフェル・ヤッタの住民や彼らの家畜の放牧地を攻撃し、土地を耕し家畜の餌となる作物を栽培するのも妨げている。
「私たちに対する攻撃をエスカレートさせることで、私たちが生活しにくい、実質生活できないようにして、私たちを追い詰め、村を去らせ、代わりに私たちの土地を支配するのが、彼らの目的なのです」とユーニス氏は述べた。
マサフェル・ヤッタの村々は、面積約3,500ヘクタールの広さで、5つの学校と5つの医療センターがある。
215世帯、約1150人のパレスチナ人が住んでおり、そのうち569人が子どもである。
住民たちは、制限的で差別的な計画体制に直面しているため、人道支援に頼ることを強いられている。
イスラエル当局は、村々にあるほとんどの住宅、動物保護施設、コミュニティインフラに対して、パレスチナ人が取得することがほとんど不可能な建築許可を得ずに建設されたという理由で、取り壊しや「作業停止」命令を出している。
このため、適切な住宅、インフラ、生活手段の発展が妨げられている。
家屋取り壊しの脅威に加え、村々は付近の開拓地への入植者による暴力にも直面している。
彼らは地域の道路を封鎖し、農民を攻撃し、干し草の山や放牧地に火をつけている。このため、村人たちは身体的に危険にさらされ、精神的・社会的健康に悪影響を受け、生活水準が低下し、人道支援への依存度を高めているのだ。
家畜の飼育は地域の主な収入源だが、軍や入植者たちの活動によって利用できる放牧地は減少している。
壁と入植地抵抗委員会(Wall and Settlement Resistance Commission)国際関係部門の責任者、ユーニス・アラル氏はアラブニュースに対し、イスラエル当局が昨年の最高裁判決を受けてマサフェル・ヤッタの12の村落のうち8つを排除したことを受け、特に12月末に極右のイスラエル新政権が誕生して以来、残った村人たちへの懸念が高まっていると語っている。
アラル氏によると、過去2週間、イスラエル当局によるマサフェル・ヤッタの建物の取り壊しや土地の破壊が増加しており、パレスチナ側は住民の強制退去に抵抗するために抗議行動を計画しているとのことである。
パレスチナ当局は、イスラエル当局による強制移住計画の実施を阻止しようとする国際社会の働きかけの弱さに対して失望を表明している。
特にEUと国連が発表した声明は、懸念を表明する以上のものではなく、イスラエル当局に譲歩させようとする措置をまったく講じていない消極的なものであった。
人道支援団体やその他の支援者たちは、マサフェル・ヤッタに残るコミュニティの水や電気などのニーズを満たし、強制移住を防ぐための支援を行ってきた。
しかし、イスラエル当局は、取り壊しや「作業停止」命令を出し、車両や機材を没収し、土地へのアクセスを制限し、人道支援者の移動を妨げるなどして、そうした努力を妨害していると言われている。
国際的な支援者たちからの援助で建設されたこの地域の学校にも、また医療センターにも、取り壊し命令が出されている。
支援活動家たちは、今回の強制立ち退きによって多くの人道的な援助が必要になり、そうした援助は人々を守り、最低限の生活を可能にするため必ず行わなければならないものなのだ、と訴えている。