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国連、イスラエル・パレスチナの「理不尽な暴力の連鎖」終結を要請

2023年2月4日、占領下にあるヨルダン川西岸地区、ジェニンの南に位置するアル・ジュダイデ村で行われた葬儀で、アブドゥラー・サミ・カラルウェー氏の遺体を運ぶパレスチナ人たち。26歳だった同氏は、イスラエル軍により前哨基地で射殺された。(AFP)
2023年2月4日、占領下にあるヨルダン川西岸地区、ジェニンの南に位置するアル・ジュダイデ村で行われた葬儀で、アブドゥラー・サミ・カラルウェー氏の遺体を運ぶパレスチナ人たち。26歳だった同氏は、イスラエル軍により前哨基地で射殺された。(AFP)
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05 Feb 2023 05:02:09 GMT9
05 Feb 2023 05:02:09 GMT9
  • ヨルダン川西岸地区のキャンプで4日に起きた襲撃はイスラエル政府の「過激派的思想」を反映していると情報筋は語る

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:国連人権高等弁務官はイスラエルとパレスチナの間の「理不尽な暴力の連鎖」を終わらせるよう求めた。

ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、イスラエルによる最近の施策は「さらなる暴力と流血を生む」と警告した。

ジュネーブで出された声明の中でターク氏は、次のように表明した。「イスラエル政府による最近の施策、とりわけ武器所持の許可手続きの簡素化は、さらなる暴力と虐待を招くだけである」

ターク氏はこの件が「憎悪に満ちた言辞と相まって、さらなる暴力と流血しか生まない」と警告した。

イスラエルはターク氏の発言に反発し、在ジュネーブ国連大使を通じて声明を出して同氏の持つ偏見と「イスラエルを一方的に責めるだけの態度」を批判した。

国連人権高等弁務官は以下のように続けている。「過去にも失敗に終わってきた暴力と抑圧という手法を倍加させるのではなく、すべての当事者に死体の山を築き、生命を破壊し、絶望しか生まない理不尽な暴力の連鎖を断ち切るよう求めます。

強制退去や家屋の取り壊しを含む集団的懲罰は、国際人道法で明確に禁じられており、国際人権法に照らしても違法な行為です」

ターク氏は、死者や重傷者を出した事件の捜査が国際的基準に則って行われることを含め、緊張を緩和するための早急な施策を要請した。

「暴力が罰せられずに済んでいる事例が多く見られます。その結果、虐待行為が許容されるというメッセージが発せられることになりました」

ターク氏の声明と時を同じくして、「パレスチナ国民イニシアチブ」党のムスタファ・アル・バルグーティ事務局長はアメリカがイスラエル政府に対し、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでのパレスチナ市民への攻撃を止めるよう圧力をかけることを怠るという偏った態度を見せているとして批判していた。

アル・バルグーティ氏がアラブニュースに以上の発言をするに先立ち、パレスチナ医療当局が、2月4日にヨルダン川西岸地区で起きたイスラエル軍との衝突で、少なくとも13人のパレスチナ人が負傷したと発表した。

イスラエル軍部隊は4日朝、ジェリコ南部のアカバト・ジャブール難民キャンプを急襲した。

その結果衝突が起き、実弾とゴム弾によって3名の市民が負傷した。

イスラエル軍は難民キャンプの1軒の家を包囲して壁の一部を破壊し、拡声器で中にいる人々に投降するよう求めた。

パレスチナ医療当局によると、キャンプで起きた衝突で負傷した3人は重体で、ラマッラーの病院に搬送された。

報道関係筋とキャンプ住民によると、父親と息子を含む家族3人が逮捕された。イスラエル軍はキャンプで家屋1軒も破壊した。

イスラエルの情報源によると、部隊はアカバト・ジャブール難民キャンプでの4時間にわたる作戦を終えて引き上げた。その1週間前にアルモグ交差点で起きたとされる武力攻撃の犯人2人の捜索が行われたが、逮捕には至らなかった。

イスラエル軍は、アカバト・ジャブール難民キャンプを急襲して、攻撃への関与が疑われる複数の人々に尋問を行ったと説明した。

軍の声明によると、軍事作戦中に銃で武装したパレスチナ人との間で衝突が起きたが、イスラエル側に死傷者は出なかった。

また、18人がその場で尋問を受け、6人が捜査のためにイスラエル公安庁へ移送されたという。

アル・バルグーティ氏がアラブニュースに語ったところによると、キャンプへの襲撃はパレスチナ人に対して集団的懲罰策を取っているイスラエル政府の「過激派的思想」を反映している。

アル・バルグーティ氏は13人のパレスチナ人負傷者を出したこの軍事作戦は正当化できないものだとした。

パレスチナ保健省によると、イスラエル軍は医療当局者がジェリコに入ることを妨害した。

イスラエル軍は過去7日間、ジェリコ市の東側からパレスチナ市民が出ることを制限している。

また、ジェリコに向かうすべての幹線道路で検問を強化している。

イスラエル当局は1月28日にアルモグのレストランで発砲した2人の捜索のために、盛り土ですべての二次的な入口を塞いだ。この事件で負傷者は出ていない。数人のパレスチナ人がこの事件に関連して逮捕されたが、尋問を受けた後に釈放されている。

複数の情報筋によると、イスラエル当局はジェリコ市に対し「集団的懲罰政策」を課し、移動の制限や車の捜索と身元確認などを行っている。

市へ入るすべての場所に検問所が設けられ、車に乗った市民は何時間も待たされている。

これら軍の施策により、ジェリコの3万人の住民の日常生活が中断を余儀なくされている。

イスラエル軍による検問所では、数十名の市民と労働者が最大4時間も待たされ、他の人々は市から出ることを完全に禁じられている。

ジェリコには300万人のパレスチナ人がヨルダン川西岸地区から世界中に移動するための唯一の出口となるターミナル駅がある。

1週間続いている市の封鎖は、外国と行き来する市民の動きを大きく妨げている。

ラマッラーにある主要病院の救急科に勤務する医師はアラブニュースに、イスラエル軍は標的となる人々の「上半身を意図的に狙って射撃」しており、それによって致命的な傷を負う、あるいは死亡する可能性が高くなっているという。

ジェリコの救急隊員はアラブニュースの取材に対し、キャンプ急襲で負傷し、重体のまま放置された3人は、近隣の病院には医療機器が不足していたため、ラマッラーの病院に搬送されたと話した。

搬送先までの距離は40キロ以上あり、イスラエル軍の検問所をいくつも通らなければならなかった。

パレスチナの各派はアカバト・ジャブール難民キャンプへの急襲は犯罪であると非難し、イスラエルとの対決を呼びかけている。

パレスチナ解放人民戦線は次のように発表した。「日常的に行われている大規模な逮捕の拡大と、被占領ヨルダン川西岸地区にあるパレスチナの難民キャンプに対する占領者の攻撃は、我々の抵抗の力を弱めることはない。占領者が敗北し、我々の国家的目標が果たされるまで抵抗は続くだろう。

あらゆる形と手段を取った抵抗の激化は、ヨルダン川西岸地区の状況が新たな段階に突入したことを意味する。入植者は追われる身となり、入植地は彼らの監獄と化すだろう」

「イスラム聖戦」のタリク・エル・ディン報道官は「きわめて危険」なイスラエルによる暴力の激化には「抵抗運動」をもって臨むべきであると述べた。

パレスチナ受刑者研究センターは、イスラエル当局が今年に入り、パレスチナ人に対する逮捕作戦を強化していると警告した。

同センターは今年1月の間に540件の逮捕を記録しており、逮捕者の内92名は子供、10名は女性であるという。

また、同センターはヨルダン川西岸地区およびエルサレムにおけるイスラエル軍による急襲の激化にも言及している。

逮捕者数がもっとも多かったのはエルサレムで、270名にのぼるという。

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