
エファレム・ コッセイフィ
ニューヨーク市: 国際社会は2月6日に発生したトルコ・シリア地震で「トラウマの上にトラウマを重ねた」シリアの400万人の子どもたちを見捨ててはならないと、国連児童基金(ユニセフ)は警告している。
ユニセフの中東・北アフリカ地域担当ディレクター、アデル・コドル氏は、「彼らが忘れられないようにすることが我々の義務です」と述べた。
「今回の震災で被災地の状況がさらに悪化しないよう努めることもまた我々の義務です。そして、我々は、政治的に関する一切のことをひとまず保留し、人道的支援のみに集中すべきです」
巨大地震と大規模な余震がトルコ南部およびシリア北西部の諸地域に甚大な被害を与えてから10日後、すでに4万1,000人を超える死者が確認されており、その人数は依然として増加の一途をたどっている。ユニセフは、数千人の子どもが死亡した可能性を懸念しており、一方で生き残った数百万人の年少者が人道支援を切実に必要としている。
シリアでの250万人を含め、両国では700万人の子どもたちが地震により直接的な被害を受けたと推定されている。
コドル氏はアラブ・ニュースに対し、自身が最も懸念しているのは、国際的な援助団体の手が届かず、未だ人道支援を受けられない遠隔地の村にいる年少者の数が不明であることだと話した。
「把握している問題には対処が可能です」と同氏は述べた。「しかし、我々にとって本当に心配なのは、把握していないことなのです」
倒壊した建物の瓦礫の中から生存者が発見される見込みが薄れるに伴い、捜索・救助活動は縮小しつつあり、その結果、まだ手が届いていない地域への援助活動が拡大するだろうと、同氏は付け加えた。
多くの子どもたちとその家族は、さらなる支援を切実に必要としている、とコドル氏は述べた。
その上、ユニセフが協力している現地のパートナー団体の多くの初動要員や職員が死亡、負傷、または避難し、一方で事務所や設備が損壊した。
被災前のシリアの状況は「通常のバックグラウンド」ではなかったと、コドル氏は言う。12年にわたる内戦でシリア国内のリソースが疲弊し、インフラの大部分が破壊されたため、今回の震災は「緊急事態の上に緊急事態が重なった」ものだという。
同氏によれば、震災は、シリア・ポンドの下落、その影響による教育システムや子どもたちのための基本的な医療サービスの劣化など、すでに展開していた「非常に深刻な経済危機」をさらに悪化させたという。
これに加えて、戦争による水インフラへの被害が、9月から国内で対処してきたコレラ流行によって拡大し、今月の震災を受けてさらに深刻化した。
「地震によって、水槽、特に高架水槽が損傷しました」とコドル氏。
「一部の水道管が外れたため、今後、水へのアクセスが重大な問題となります。
さらに、学校や公共施設のような大きな建物に被災者が滞在することになるかもしれません。そのため、排水や固形廃棄物をどのように処理するのかが問題になります。
すでにコレラが流行していた地域では、水と衛生に関するこうした問題が懸念されます。
春までに水と衛生のインフラが修復されず、子どもたちの間で水系感染症が(蔓延して)深刻な健康(危機)に向かうことを、我々は深く憂慮しています」
数多くの建物が地震により損壊した結果、何百万人もの子どもたちとその家族が屋外(道路脇や橋の下)もしくは被害を免れた公共の建物(学校やバス停など)で寝ることを余儀なくされている。
自宅が無事に残った人々も、構造的欠陥や、余震に対する脆弱性、大雨などの悪天候による倒壊を恐れて、帰宅をためらっている。
凍てつくような雨や雪が珍しくもない冬の厳しい環境にさらされながら屋外で眠ることで、低体温症や急性呼吸器感染症に苦しむ子どもたちがすでに増加していると、コドル氏は話す。
ユニセフは家を追われた子どもたちの精神衛生も懸念しているとコドル氏は言う。
特に反政府勢力が掌握する北西部に関しては、地震の前から一家が少なくとも1回、中には3回以上転居を強いられたケースがあるため、その懸念が強い。
「多くの子どもたちが、周囲の世界が目まぐるしく動いているという印象を口にしています」とコドル氏。「子どもたちへの心理社会的影響は、我々が第一に憂慮することの一つです」
避難民のさらなる増加は、重大な経済問題も相まって、食糧難が再び悪化する恐れがあると同氏は付け加えた。「それら地域の一部エリアではすでに貧困レベルが高くなっており、子どもたちの間で栄養不良に陥るケースが増える可能性があります」
一方、家を失った大勢の人々が学校に避難しているため、授業の再開が先延ばしになり、結果として子どもたちの教育機会が損なわれることになると、コドル氏は指摘する。
ユニセフは震災後のシリアで命を救うために、即座の取り組みとして、衛生キット、食料、飲料水、暖かい冬服、テントの輸送、および医療援助の提供を行っている。
また、現地のパートナー団体と協力し、子どもたちに心理社会的、精神的なサポートを提供している。
「子どもたちが退屈しないように、また彼らが平常心を取り戻して生活を送れるように、そして彼らが経験したトラウマに対処できるように」レクリエーション用グッズの配布も行っていると、コドル氏は述べた。
地震発生から1週間、シリア政府は北西部の反政府勢力が支配する地域に援助物資を輸送することを認めず、人道支援を届ける際は必ず首都ダマスカスを経由するよう求めた。
しかし、国際社会から援助物資輸送のためにシリア・トゥルキエ国境沿いの検問所を開放するよう強い圧力を受け、バッシャール・アル・アサド大統領は月曜日、バルアルハワとアルレーの2か所について、検問所の再開と地震発生より3か月以内の通過を承認したと、国連は発表した。
シリアでは支援体制の政治化が続けられているが、コドル氏は「我々は子どもの権利に基づく機関であり、(我々の)使命は純粋に人道的なものであることに変わりはありません。
私たちの立場は、すべての子どもたちがどこにいようと、どんな手段であれ、その人たちに届くように努力し続けることです。
我々は、XかYかと手段を選ぶことはできず、利用できるものは何でも利用し、そうしてアクセスを絶えず追い求めます。
何よりも重要なのは、すべての子どもたちに支援が届くことなのです。そのために我々は手段を問いません」