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高まる緊張、イスラエル・ガザ間で攻撃の応酬

イスラエル軍はロケット攻撃への「報復として」戦闘機でガザ地区中心部にある2か所のハマスの武器製造拠点を攻撃したと発表した。(AFP)
イスラエル軍はロケット攻撃への「報復として」戦闘機でガザ地区中心部にある2か所のハマスの武器製造拠点を攻撃したと発表した。(AFP)
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05 Apr 2023 09:04:34 GMT9
05 Apr 2023 09:04:34 GMT9
  • イスラエル軍の戦車もガザ地区南部の国境フェンス沿いにあるハマスの拠点に砲撃を加えた
  • パレスチナ赤十字はアル・アクサモスクの急襲で12名のパレスチナ人が負傷したと明らかにした

ガザ/エルサレム:夜間に少なくとも9発のロケット弾がガザから発射された。イスラエルはこれに空襲で応じ、イスラエルの主張によればハマスの武器製造拠点とされる場所が直撃を受けた。地面が揺れるほどの爆発が起き、轟音は封鎖された海沿いの細長い地区、ガザ中に響いた。

目撃者によると、イスラエル軍の戦車もガザ地区南部の国境フェンス沿いにあるハマスの拠点に砲撃を加えた。

4月5日未明、イスラエル警察はエルサレムのアル・アクサモスク内に入り、礼拝者と衝突した。この事件は占領下にあるヨルダン川西岸地区全域でパレスチナ人の怒りを呼び、飛び地となっているガザ地区からイスラエルへの攻撃を引き起こした。

事件はイスラム教の神聖な月、ラマダーンの最中であり、なおかつユダヤ教の過越の祭りの前夜というタイミングで起きた。以前から、アル・アクサモスクが震源となって、過去1年で積み重なってきた暴力の連鎖により高まった緊張が一気に爆発するのではないかという懸念の声が上がっていた。2021年にこのモスクで起きた衝突は、10日間にわたるイスラエルとガザの戦争の引き金となった。

夜が明けると、状況は沈静化したかに見えたが、パレスチナ赤十字はイスラエル警察との衝突で12人のパレスチナ人が負傷したと明らかにした。負傷者の中には先端がゴム製の銃弾や殴打による傷を負った人もいるという。同赤十字によると、イスラエル軍は医師がこの場所に入ることを妨げた。

「敷地の東部の中庭で、警察は催涙弾とスタングレネード(閃光発音筒)を使用しました。とても言葉にできないような光景でした」と、モスクにいた礼拝者、ファヒミ・アッバス氏は語った。「次いで、彼らはモスクに押し入り、手あたり次第に殴る蹴るの暴行を加えました。人々を逮捕し、若い男性たちをうつ伏せに地面に寝かせ、さらに殴打を続けました」

ソーシャルメディア上に出回っている動画(ロイターは独自にその真贋を検証することができていない)では、花火が発射され、警察がモスクの建物の1つの中にいる人々を殴打する様子が映し出されている。イスラエル警察側の映像では、暗闇で爆竹が破裂する中、警察官がモスクに入っていく様子が捉えられている。

イスラエル警察は声明の中で、治安部隊は「覆面をした扇動的活動家の一団」がモスク内に立てこもり、石や棒、花火で抵抗したため、敷地内に入らざるを得なくなったと説明した。

「対話的方法によって当該の人物たちにモスクから出るよう呼びかけたものの上手く行かず、警察はそれらの人物を排除するため、敷地に立ち入らざるを得なくなった」と警察は発表した。

「敷地に警察がとどまっていた間中、モスク内部から多数の違法行為を行う者と暴徒が石を投げつけ、いくつもの爆竹を破裂させていた」と警察の声明は述べ、2名の警察官が負傷したと付け加えた。

声明によると、警察はモスク内にバリケードを築いて立てこもっていた350名以上を逮捕し、敷地から排除した。

「警察は良い仕事をした」と強硬派のイタマル・ベングビール国家安全保障相は声明の中で述べた。

数千人の礼拝者がユダヤ人の参拝者との衝突を恐れながらモスクの敷地内で一夜を過ごした。アル・アクサモスクと同じ敷地内には、ユダヤ教徒が神殿の丘として崇拝する聖地があり、ユダヤ教の古代の神殿2つの跡地がある。

イスラエルが継続すると表明している、モスク周辺で長く続いてきた「現状維持」的施策の下では、非イスラム教徒もこの場所を訪問することは可能だが、モスクの敷地で礼拝できるのはイスラム教徒に限られている。この施策に反発するユダヤ教徒たちはこの場所で、以前にも増して公然と礼拝を行うようになっている。

敷地を管理するヨルダンのワクフ省はこの地をイスラム世界で3番目に重要な聖地だとして、警察の行動を「ムスリムのみが礼拝できる場としてのアル・アクサモスクの地位と機能に対する言語道断の攻撃だ」と表明した。

イスラエルへの非難の声

この事件はアラブ諸国で強い反応を引き起こした。ヨルダンとエジプトの両国は、アメリカが支援する最近のイスラエル・パレスチナ間の緊張緩和に向けた取り組みに関与しているが、個別に声明を出し、この事件を強く非難した。一方イスラエルが関係正常化を望むサウジアラビアは、イスラエルによるアル・アクサモスクへの「攻撃」は平和に向けた努力を損なうものだと表明した。

ガザを実効支配するイスラム主義集団、ハマスのハゼム・カセム報道官は、夜間のロケット攻撃はアル・アクサモスクで起きた警察による急襲への報復であり、イスラエルがガザ地区をヨルダン川西岸地区から切り離すことは不可能だということを示すものだと述べた。

「シオニストによるガザ爆撃は、ガザがエルサレムおよびヨルダン川西岸地区の同胞たちを今後も支援しようとする動きを封じようという必死の試みだったが、失敗に終わった」とカセム氏は述べた。

しかしながら、攻撃の犯行声明を出したのはハマスでも、イランが支援するイスラム聖戦でもなく、より規模の小さいパレスチナ解放人民戦線とパレスチナ民衆抵抗委員会であった。イスラエル軍は、ガザからの攻撃の責任はすべてハマスにあるとしている。

パレスチナ自治政府は、礼拝者へのイスラエルの攻撃を犯罪行為として非難した。

「我々は占領者に、聖地のレッドライン(超えてはならない一線)をまたぐことのないよう警告する。その場合、大きな爆発が起きるだろう」とパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領のナビル・アブ・ルデイネフ報道官は表明した。

ヨルダン川西岸地区にある町ベイト・ウンマーでは、抗議活動を行う人々がタイヤを燃やし、石や爆発物をイスラエルの兵士目がけて投げつけ、内1人が撃たれて負傷した。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相がもくろむ最高裁の権限抑制に強い異議が唱えられ、イスラエル国内が数週間にわたり動揺する中で、今回の事件により政治的混乱がさらに深まることになった。

過去1年間で、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区で数千人を逮捕し、250人以上のパレスチナ人を殺害している。一方、パレスチナ人による攻撃では、イスラエル人40人以上とウクライナ人3人が犠牲になった。

イスラエルは1967年の戦争でアル・アクサモスクの敷地を含む東エルサレムを占領し、後にこれを併合したが、この動きは国際的には認められていない。イスラエルはエルサレムを不変かつ不可分の首都と見なしている。

パレスチナの人々はヨルダン川西岸地区とガザ地区から成る独立国家の樹立を希求しており、その首都として東エルサレムを望んでいる。

ロイター

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