
イドリブ:反政府勢力が支配するシリア北西部の街イドリブでは、多くの人々がラマダン明けの大祭・イード・アル・フィトルを祝うに際して、経済的に苦しい中で長年の伝統を維持しようと努力している。
今年のイード祭は4月21日に行われるが、経済状況が悪化しているため、多くのシリア人は、新しい服を買ったり、食べ物の詰め合わせを楽しんだりといった伝統的な習慣に従った祝い方をする余裕を持てていない。
デリゾールのお菓子売り、アブ・ウダイさんは「私は父親だが、子どもの服やイード用のお菓子の準備など、家庭でのお祝いに必要なものをすべて用意することはできなかった」とアラブニュースに話した。
「今は何もかもが高価で、状況は悪くなるばかりだ。物価は上がり続けている」
同じ賑やかな市場を歩いていたムハンマド・アブドゥルハフール・ムサエドさんは、こう指摘した。「市場にいる人たちを見ると、何かを買っているのは25%しかいない」
ムサエドさんによると、イード祭が近づくにつれ、多くの人がお祝いに必要なものを買うために借金をしているとのことだ。
「以前のイード祭は今よりもずっと良かった。ドルレートの上昇とトルコ通貨の変動が激しい今日、購買力の点で今とは大きな差があった」
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、人口450万人のこの地域で、少なくとも410万人が困窮し、330万人が食料不足に直面しているという。
また、一般市民は、12年にわたる内戦や制裁、2月に発生した大地震による経済の弱体化の影響ももろに受けている。
しかし、シリア人菓子職人のムハンマド・サミール・アバディさんにとっては、今年のイード祭は希望の光となっている。
「今年のイード祭の雰囲気は非常に良く、物価の高騰にもかかわらず、需要は好調を維持している」とアバディさんは言う。
「私たちの専門であるスイーツに関しては、オリーブオイルビスケットの人気が特に高まっている」
しかし、他のビジネスマンは違う感じ方をしており、例えばターヘル・ザクール・アルビサ・ザクールさんはアラブニュースに対し、市場の商品の価格は、彼自身の衣料品店のものでさえ、ほとんどの人々にとって高すぎると語っている。
「地震が起きてから状況は上向いてはいるが、昨年のほうがまだ良かったと思う」