
ラマッラー:パレスチナの公式メディアは、占領下にあるヨルダン川西岸地区の難民キャンプで活動中のイスラエル軍が、24日にパレスチナ人男性を射殺したと伝えた。西岸地区では1年間にわたり暴力的な事件が続いているが、その直近の例となった。
ジェリコ県のジハード・アブ・アル・アサル知事はパレスチナメディアに対し、西岸地区中心部のアカバット・ジャベル難民キャンプでスレイマン・アエシャという男性が射殺されたと語った。このキャンプでは、ここ数か月の間にイスラエル軍とパレスチナ側との衝突が繰り返されている。
知事は男性の年齢については明言せず、パレスチナ保健省も今のところ声明を出していない。
イスラエル軍によると、同地域で活動中に2人の容疑者が逃走するのを目撃したという。兵士が発砲し、少なくとも1人に弾が当たった。
イスラエルでは、24日の日没から戦没兵や過激派による攻撃の犠牲者を追悼する時間となり、翌日の夕方には75回目の独立記念日を迎える予定だ。事件はそうしたタイミングで起きた。また24日午後から、人道的なケースを除き、西岸地区とガザ地区からの退去を希望するすべてのパレスチナ人の通行が禁止される。閉鎖は26日夜まで続くと予想される。イスラエルは「安全対策」との口実で、休日は西岸地区とガザ地区からの移動制限を強化している。
両陣営間の暴力は昨年から急増している。パレスチナ側の一連の攻撃を受け、イスラエルは西岸地区の市町村をほぼ毎晩のように強制捜査し、住民を逮捕している。
イスラエル側は、過激派組織を解体し、将来的な攻撃を阻止するために捜査は不可欠だと主張しているが、暴力は一向に収まる気配がない。それに対してパレスチナ側は、将来の独立国家のために自分たちが求めている土地をイスラエルが56年間占領していることを既成事実化するための活動だとし、占領には終わりが見えないと訴えている。
今年に入ってからも事態は激化するばかりだ。AP通信の集計によると、今年に入ってから西岸地区で95人のパレスチナ人がイスラエルよって射殺されており、そのうちの少なくとも半数が過激派組織に属していた。同じ時期、パレスチナ側の攻撃で19人のイスラエル人が死亡している。
先月、イスラム教では聖なるラマダン月を迎えたが、今年はユダヤ教の過越祭と重なったため、特に緊張が高まった。今月、エルサレムの聖地でイスラエル警察がイスラム教徒の礼拝者を襲撃したことで、レバノンやガザ地区、シリアの過激派がロケット弾を多数発射し、イスラエルは報復空爆を実施した。
今月は、パレスチナの武装集団が西岸地区で車を運転していた英国系イスラエル人の女性3人(母親とその娘2人)を殺害した事件もあった。また別の事件では、パレスチナ系イスラエル人の車がテルアビブのビーチ近くの自転車道に突っ込み、イタリア人観光客が死亡し、5人が負傷。当局は意図的な襲撃の疑いがあると見ている。
AP