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スーダンの紛争当事者、停戦違反をめぐり非難の応酬

建物の傍で休むスーダン国軍の兵士たち。2023年5月25日、ハルツーム。(AFP)
建物の傍で休むスーダン国軍の兵士たち。2023年5月25日、ハルツーム。(AFP)
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26 May 2023 12:05:50 GMT9
26 May 2023 12:05:50 GMT9

ハルツーム:スーダンの紛争当事者双方は25日、サウジアラビアと米国による交渉で成立し3日目に入った最新の停戦に違反したとして互いを非難した。

この1週間停戦は、22日夜に発効した僅か数分後に破られた。首都ハルツームで空爆や砲撃が行われていることを住民が報告したのだ。

スーダンの戦火に見舞われた地域に切実に必要とされる人道援助を届けることを可能にするための停戦合意は、これまでにも破られてきた。

組織的に違反されてきたこれまでの一連の停戦に続き、今回の停戦も破られた形だ。

4月15日以来、スーダンの首都や国内のその他の地域でスーダン正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が激しい市街戦を繰り広げている。

現在の停戦は破られているものの、戦闘の小康状態をもたらしたため、恐怖の中にある住民たちが慎重に自宅から出てきている。数週間ぶりに自宅を出た人々もいた。

多くの人が食料や水を補給したり切実に必要としている治療を受けたりするために外出している。6週間近くにわたって戦闘が続き、不可欠な物資が急速に枯渇し医療システムが崩壊の瀬戸際に追いやられている中でのことだ。

モハメド・ハムダン・ダガロ将軍率いるRSFは24日遅くに出した声明の中で、停戦違反の責任をスーダンの事実上の指導者であるアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン将軍率いる国軍に負わせようとした。

RSFは、国軍が「本日、一連の不当な攻撃を開始した」としたうえで、「我が軍はこれらの攻撃を断固として撃退した」と述べた。

また、「我が軍は国軍のミグ戦闘機の撃墜に成功した」としながらも、引き続き「人道停戦を守る」と改めて強調した。

これに対し、国軍は25日朝、同軍は「明らかに停戦違反であるRSFの民兵らによる装甲車への攻撃に反撃した」と述べた。

サウジアラビアと共に今回の停戦を仲介した米国は紛争当事者に対し、これ以上の違反をしないよう警告した。

米国務省は、観測筋が首都ハルツームと西部ダルフール地方の両方において迫撃砲、ドローン、軍用機の使用や戦闘の発生を確認したことを明らかにした。

国務省のマシュー・ミラー報道官は記者団に対し、「停戦違反が続いている」と述べた。

「制裁権限は維持している。適切であればその権限を行使することも辞さない」

ハンナ・テッテ国連アフリカの角担当特使は、戦闘が継続していることは「容認できず、停止しなければならない」と述べた。

戦闘は弱まっているものに、切実に必要とされている援助はまだ首都に届いていない。

「武力紛争発生地・事件データプロジェクト」によると、この紛争でこれまでに1800人以上の死者が出ている。

国連によると、100万人以上のスーダン人が避難民となっており、30万人が近隣諸国に避難している。

特に憂慮すべき状況にあるのがダルフールだ。この地方は既に、2003年に勃発した紛争によって荒廃している。この紛争では、オマル・アル・バシール大統領(当時)が恐れられた民兵組織ジャンジャウィードを解き放って少数民族集団の反乱を鎮圧させた。

RSFのルーツはジャンジャウィードにある。

トビー・ハーワード国連スーダン難民調整官は、中部ダルフール州の町ザリンゲイが「ここ数日、武装した民兵らによって包囲されている」と述べた。

多くの施設が「攻撃・略奪されており、医療施設が標的にされているせいで市民が医療を受けられないうえ、バイクに乗った集団が政府職員を脅して市民の移動を制限している」という。

スーダンの紛争当事者である両将軍の代表は5月上旬からサウジアラビアの都市ジェッダで交渉を行っている。

しかし、両将軍は紛争の長期化を覚悟している可能性が高いと、アナリストは繰り返し警告している。

スーダン情勢に詳しいアレックス・デ・ワール氏は、この紛争は「外交の悲惨な失敗」の結果だと言う。

ブルハン将軍とダガロ将軍は2021年にクーデターを起こして暫定文民政府を追放したが、後に決裂して激しい権力闘争を始めた。

AFP

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