
ラマッラー:イスラエル軍が北部ガリラヤ地方で打ち上げた監視用気球は、イスラエルを標的にする長距離ミサイルやドローンの早期警戒情報を提供すると、28日に情報筋が明かした。
イスラエル当局によると、気球は数トンの重量があり、特殊カメラ、コンピューター、レーダーを搭載している。
ヨルダン、シリアとの国境三角地帯に配置される気球は、数百キロ先の地域を監視できる。
軍関係者によると、この新たなバルーンは、ネゲブ砂漠にあるディモナ原子炉を防衛する装置と同種のものだ。
イラク、イラン、シリア、ヨルダン、レバノンから発射された長距離ミサイルやドローンを探知することが可能で、ダマスカス空港やレバノン奥地の航空機も監視できる。
情報筋によると、今回の気球の輸送と打ち上げは、過去10年間にイスラエル空軍が実施した最も複雑な兵站作戦の一つに数えられる。
米国のチームが気球の組み立てと打ち上げを支援したと、情報筋は述べている。
将来の戦争は、ドローンを含む数千機の航空機や巡航ミサイルなどが協調攻撃を行う「多方面」の衝突になると、イスラエル軍は予想している。
イスラエル・ミサイル防衛機構と米国ミサイル防衛局が共同開発したこのシステムは、レーダーと探知システムを搭載して高高度を飛行できる気球で、あらゆる方向を広範囲に走査できる。
監視用気球を製造するイスラエル企業RTのラミ・シュムエルCEOは、このシステムは経済面でも運用面でもドローンや他の安全監視手段よりはるかに優れていると、アラブニュースに語った。
「気球は1時間あたり1ドルかかり、ドローンだと600ドルだ。気球は14日間から20日間連続して上空に滞在できるが、ドローンはほんの数時間だ」
ドローンとは異なり、気球はかさばって搭載しにくい高解像度カメラも搭載できるという。
「気球は安全監視・警告手法として最高の存在だ」と、シュムエル氏は付け加えた。
イスラエル問題の専門家であるマジディ・ハラビ氏は、イランはレバノンのヒズボラにシャヘド、ハイバルのドローン数百機を提供しており、イスラエルには大きな脅威になっていると、アラブニュースに語った。
この監視用気球があれば、イスラエル国境を越える前にドローンを迎撃、撃墜できるという。
「ヒズボラがイスラエルに向けて5千発のドローンやミサイルを発射したら、恐ろしい破壊がもたらされるだろう」と、ハラビ氏は付け加えた。
情報筋によると、イスラエルは特に北部地域で、大きな防衛上の課題に直面している。
イスラエルのアナリストであるヨニ・ベン・メナヘム氏はアラブニュースに対し、イスラエルは同国内の標的を攻撃しようとするヒズボラの思惑について、正確な情報を持っていると述べた。
次の戦争はレバノン南部ではなくイスラエル国内で行われるだろうという、ヒズボラのナイム・カセム副代表の発言を同氏は指摘した。
「ヒズボラは、戦場をレバノン南部からイスラエルに移すことで、2006年7月の戦争以来支配的だったゲームのルールを変更しようとしている」
一方、イスラエルは29日から、陸海空軍が参加する大規模軍事演習を全国各地で実施する。約2週間続く演習には、戦闘機が参加する。
演習中は、イスラエル上空の民間航空便の飛行ルートが変更され、小型航空機の航行空域は閉鎖される。