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ウクライナ、ロシアが南部ヘルソンの主要ダムを破壊したと主張 広範囲に及ぶ洪水を警告

ヘルソン州のノバハコフカ・ダムの衛星写真(ロイター)
ヘルソン州のノバハコフカ・ダムの衛星写真(ロイター)
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07 Jun 2023 12:06:20 GMT9
07 Jun 2023 12:06:20 GMT9
  • 双方ともダム決壊の責任は相手側にあると主張している
  • ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この危機に対処すべく緊急会議を招集した

ウクライナ・キエフ:  ウクライナは6日、ロシアの制圧下にあるウクライナ南部で主要なダムと水力発電所をロシア軍が爆破したとの見解を発表した。破壊された施設からは大量の水が流出しており、大規模な洪水の危険性がある。ウクライナ当局は、下流に住む数十万人の住民に避難を命じている。

ロシア当局は、カホフカ・ダムは問題の地域でのウクライナ軍の攻撃によって損傷したと反論している。

この影響は広範囲に及ぶ可能性がある。下流では家屋、道路、企業事業所が浸水し、上流ではヨーロッパ最大の原子力発電所の冷却水を供給するダムの水位が低下し、ロシアが不法に併合したクリミアへの飲料水の供給が奪われることが予想される。

ウクライナ軍は、ウクライナ東部と南部の1,000キロを超える前線に沿って、待望の反攻作戦を展開していると広く見られていたため、ダム決壊は、今月で16か月目に突入したロシアのウクライナ戦争に複雑な新要素を加えることになった。

ウクライナの原子力事業者Energoatomは、テレグラム上の声明で、ダムの爆破は、ダムに近いザポリージャ原子力発電所に悪影響を及ぼす可能性があるが、現時点では状況は「コントロール可能」であると述べた。

国連の国際原子力機関(IAEA)は、ツイッター上の投稿で、専門家が原発の状況を注意深く監視しており、同施設には「直ちに原子力安全のリスクはない」としている。

ウクライナ戦争環境影響作業部会によると、ダムが完全に崩壊すれば、左岸の大部分が氾濫し、貯水池の水位が著しく低下すれば、同発電所に欠かせない冷却水の供給が停止し、クリミア北部への水の供給が枯渇する可能性があるという。

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の大統領府顧問ミハイロ・ポドリャク氏は、「地球規模の生態系災害が今現在進行しており、数千の動物や生態系が今後数時間のうちに破壊されるだろう」と述べている。

氾濫を撮影した動画もネットに投稿されている。あるものは道路が長距離にわたって浸水する様子を映し、あるものは増水から高台に逃げ込むビーバーの姿を捉えている。

ウクライナ当局によると、ゼレンスキー大統領は今回の危機に対処すべく緊急会議を招集した。

ウクライナ内務省は、川の右岸にある10の村と下流のヘルソン市の一部の住民に対し、家電製品の電源を切ったうえで重要書類やペットとともに避難することを呼びかけつつ、想定される偽情報への注意喚起も行っている。

ロシアから派遣されたノヴァ・カホウカのウラジミール・レオンティエフ市長は、今回の攻撃は「非常に深刻なテロ行為」であり、モスクワが任命した当局は「最悪の結果に備えている」と表明しているが、住民の避難呼びかけは行わなかった。

ウクライナは、北のベラルーシとの国境から黒海まで流れるドニエプル川の6つのダムのうち5つを管理しており、国全体の飲料水と電力供給の要となっている。

SNSでは、ダムを見下ろすように設置された監視カメラが閃光、爆発、ダムの破損を捉えたとされる映像が出回っている。

ヘルソン地方軍政局長のOleksandr Prokudin氏は、午前7時前にテレグラムに投稿した動画で、「ロシア軍はまたしてもテロ行為を犯した」と述べ、水位は5時間以内に「危機的水準」に達すると警告した。

ウクライナの国営水力発電会社は声明で「発電所の復旧は不可能」とし、カホフカ・ダムは完全に破壊されたとした。Ukrhydroenergoはまた、ロシアが発電所を機関室の内側から爆破したと主張している。

レオンティエフ市長は6日、カホフカ水力発電所への多数の攻撃によりバルブが破壊され、「カホフカ貯水池の水が下流に制御不能なほど流れ始めた」と述べた。同発電所の損傷は修復不可能であり、建て直しが必要だと付け加えた。

原子力事業者のEnergoatomは声明で、水位が「急速に低下」しているカホフカ貯水池は、「発電所のタービン復水器とZNPPの安全システムへの水供給に」必要だとしている。

「現在、発電所の冷却池は満杯で、午前8時現在、水位は16.6メートルであり、発電所の必要量には十分である」

ウクライナとロシアはこれまで、互いにダムへの攻撃を非難しており、昨年10月にはゼレンスキー大統領が、ロシアが洪水を引き起こすためにダムを破壊するとの予想を示した。

当局、専門家、住民は数か月前から、カホフカ・ダムの水流(そして越水)に懸念を示してきた。

2月には、水位の極端な低下から、ザポリージャ原子力発電所のメルトダウンを危惧する声が上がった。

5月中旬になると、大雨と雪解けで水位が通常以上に上昇し、近隣の村が浸水した。衛星写真では、破損した水門を水が押し流す様子が確認された。

ウクライナは、北のベラルーシとの国境から黒海まで流れるドニエプル川の6つのダムのうち5つを管理しており、国全体の飲料水と電力供給の要となっている。最も下流にあるカホフカ・ダムはロシア軍に掌握されている。

AP

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