
ナブルス:イスラエル軍は25日に占領下のヨルダン川西岸地区北部で銃を持ったパレスチナ人容疑者3人を射殺したと発表した。長年のイスラエル・パレスチナ間の衝突の中で最も暴力的な地域のひとつで起きた新たな流血事件となった。
イスラエル治安部隊はヨルダン川西岸地区の都市ナブルスで、車内から発砲してきたパレスチナ人過激派に発砲したと発表した。この都市は地域の商業の中心であり、最近増加しているイスラエルによる捜査の主な焦点となっている。銃撃後間もなくアル=トゥールの丘陵地帯で、イスラエル軍は使用済みの薬莢に囲まれ粉々に破壊された黒のシュコダを取り調べた。
パレスチナのメディアによると、イスラエル軍による銃撃犯の殺害は、ナブルスを見下ろす位置にあるユダヤ人入植地の近くで、過激派がイスラエル軍への攻撃を試みたことを受けての待ち伏せによるものであったという。イスラエル軍は車内からM16ライフルその他の装備を押収したと発表した。
同地域でのイスラエル・パレスチナ間の争いは急増している。同地域は1967年の中東戦争でイスラエルがヨルダンから占領したものだ。パレスチナ人は占領下にあるヨルダン川西岸地区を、東エルサレムおよびガザ地区同様、待望される将来の国土として求めている。
この数ヶ月間ヨルダン川西岸地区の状況は、地元のパレスチナ人武装勢力の台頭と、ほぼ毎日行われいっそう危険さを増してきているイスラエル軍による捜査とによって、混迷したものとなっている。今月初めには、この20年ほどで最大規模のイスラエルによる強引なヨルダン川西岸地区襲撃により、12人のパレスチナ人と1人のイスラエル兵が死亡した。
高まる緊張の中、イスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相による極右・超国家主義の連立政権はパレスチナ人指導者らとの交渉を拒絶し、ヨルダン川西岸地区へのユダヤ人入植地拡大を追求し、パレスチナ人過激派による攻撃に対してより攻撃的な対応を続けてきた。
24日遅く、パレスチナ人過激派はナブルスのすぐ南に位置するパレスチナの街ハワラ近くでイスラエル人入植者を乗せたバスに発砲したが、人的損害はなかったと発表した。イスラエル軍は検問所を設けて容疑者を捜索していると発表した。「夜明けの旅団」と自称する、地域のほとんど無名の武装勢力が銃撃事件の犯行声明を出した。
今年これまでに、ヨルダン川西岸地区で150人のパレスチナ人が殺害されており、この10年間で最も多い死者数となっている。そのうち半数近くは過激派組織に所属しており、イスラエル軍による捜査中の戦闘で殺害されたものだが、しかし襲撃に抗議して投石した少年らや無実の通行人もまた殺害されている。
パレスチナ人によるイスラエル人を狙った攻撃により、今年は少なくとも25人が死亡した。
AP